大事なもの
日経新聞のエッセーをよく読む。
少し前の10月19日付の川内有緒さんのエッセーを読み、数年前の出来事を思った。
一部抜粋:「それぞれの大事なもの」より
「その人は私のことを分かってくれていると思い込んでいた。そして私の大切なものは、その人にとっても大切なはずだと思い込んでいた。しかし、現実はそんなことはなかったのだ。」
「期待や愛や友情という素晴らしいものは、やがて、寂しさや失望で上書き保存されてしまうかもしれない」
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私にはその記憶がある。それまで仲の良かった人を何かの拍子に怒らせてしまった。しかし、何で怒らせてしまったのか、わかっていない。なかなか会う機会のない人なので、表面上普通の付き合い(LINEのやり取りなど)は、するが以前していたような、長電話をする親密さを失ってしまった。
多分、相手の大事にしている何か(気持ちや言葉)を軽んじる(そんなつもりはないのだが)発言なりをしてしまったのだと、思う。
一度、怒っていることを教えてほしい、と相手に伝えたが、関係性の修復はされないままとなってしまった。
一度失望で上書きされて、保存されてしまった関係を別のものでプラスに上書きすることの難しさを知った。
川内さんは5年後、完全修復とまではいかないが、関係性がプラスに変わる瞬間を相手から得ている。
私もいつか、マイナスの上書きを修正することが出来るだろうか。