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[書評] ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」-5つの段階で考えるユーザー中心デザイン 2025年01月25日

というわけで、UXerなら誰もが知っているJesse James Garrettの書籍です、
20年前の本なので黄ばんでいます。

1. 著者紹介

Jesse James Garrettは、サンフランシスコを拠点に活躍するユーザーエクスペリエンス(UX)コンサルタントで、著名なデザイン会社「Adaptive Path」の創設者の一人です。1995年からウェブプロジェクトに携わり、数々の大手企業(AT&T、インテル、ボーイング、モトローラなど)のUX設計を手がけました。彼の最大の功績は、情報アーキテクチャを視覚的に表現するためのオープンな表記法を作成したことです。この表記法は現在、世界中で多くの企業で採用されています。

また、Garrett氏はユーザーエクスペリエンスに関する豊富な知識を持ち、多くのカンファレンスで講演を行い、専門家としての地位を確立しています。

2. 本の紹介

『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」』は、Garrett氏が提唱するユーザー中心デザインの5つの段階を基に、ウェブサイトをどのように設計すればユーザーにとって最適な体験を提供できるかを解説した本です。この本は、ウェブデザインやUXの基本概念を理解し、実際にどのようにデザインに落とし込むかを示しています。

Garrett氏は、ウェブサイトやアプリケーションの設計において重要な「戦略」「要件」「構造」「骨格」「表層」という5つの段階を提唱し、これらがどのようにユーザーエクスペリエンスを形作るかを明確にしています。この本は、特にウェブデザインやUXの分野に携わる初心者から上級者まで、広い読者層に向けて書かれています。

3. 感想と主張

本書を読んで感じたことは、ユーザーエクスペリエンス(UX)がどれだけ重要かを改めて実感したことです。Garrett氏が説く「ユーザー中心デザイン」という考え方は、単に使いやすい製品を作ることに留まらず、ユーザーの心に残る体験を提供することを目指しています。この本は、ただの理論書ではなく、実践的な視点を提供しており、UXを深く理解するための第一歩として非常に価値があります。

特に印象的だったのは、ユーザーがどのようにウェブサイトを使うか、どの段階でつまずくのか、そしてそれをどう解決するかという視点です。Garrett氏は、ユーザーが使う過程で感じる「不便」や「不快」を細かく分析し、それをどのように改善できるかを考えることが重要だと強調しています。この点は、UXデザインに携わるすべての人々にとって、日々の設計に役立つ気づきを与えてくれる部分です。

4. 要約

本書は、ウェブサイトやアプリケーションのデザインにおける5つの重要な段階を説明しています。これらは、戦略、要件、構造、骨格、表層という5つの段階で、どの段階も他の段階と密接に関連し合い、最終的にユーザーにとっての体験を形作るものです。

  • 戦略段階では、サイトの目的やユーザーのニーズを明確にし、ビジネスゴールとユーザーゴールのバランスを取ることが重要です。

  • 要件段階では、サイトで提供する機能やコンテンツを決定し、それがどのように実現されるかを定義します。

  • 構造段階では、サイトの情報やナビゲーションの構造を決定します。

  • 骨格段階では、ユーザーがサイトをどう操作するか、インターフェースやナビゲーションのデザインを行います。

  • 表層段階では、最終的なデザインがユーザーにどのように伝わるかを調整します。

これらの段階は、すべてユーザーがどのようにウェブサイトを使用するかを念頭に置きながら進められるべきであり、ユーザー中心のデザインが最終的な成功に繋がります。

5. 問題提起

本書を通じて提起される大きな問題は、ウェブサイトやアプリケーションの設計において、ユーザーの体験がどれほど無視されているかという点です。多くの企業やデザイナーは、機能性や美的要素に重点を置くあまり、ユーザーの実際の使い勝手を軽視しがちです。しかし、Garrett氏は、良いユーザーエクスペリエンスが競争優位を生む鍵であり、それこそが企業の成功に繋がると強調しています。今日の市場では、単に見た目が良いだけのサイトではなく、ユーザーにとって使いやすく、満足度の高い体験を提供するサイトが求められています。

6. 重要なポイント

本書で学んだ重要なポイントは以下の通りです。

  • ユーザーエクスペリエンスは、ウェブサイトやアプリケーションの成功に欠かせない要素である。

  • 5つの段階(戦略、要件、構造、骨格、表層)を通じて、ウェブサイトのユーザーエクスペリエンスを設計することが重要。

  • 良いユーザーエクスペリエンスを提供することが、競争優位性を生み、ビジネスの成功に繋がる。

  • ユーザーが直面する問題を解決するために、細部にわたる配慮と改善が必要である。

7. まとめ

『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」』は、ウェブデザインやUXに関心がある人にとって必読の一冊です。特に、ユーザー中心のアプローチを採用したいと考えるデザイナーや企業にとって、非常に有益な内容が詰まっています。Garrett氏が提案する5つの段階を理解し、それを実践に落とし込むことで、より良いユーザーエクスペリエンスを提供できるようになります。これからウェブデザインを学ぶ人、すでに実践している人のいずれにも大いに役立つ内容です。この本を通じて、ユーザー中心のデザイン思考を身につけ、ウェブサイトやアプリケーションにおける体験を革新する第一歩を踏み出してみてください。


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松崎 希  │  隣り合わせの灰と青春
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