地方公立高校の休校対策 VOL.11 本校の授業動画の作り方 前編
地方公立高校である本校が、1000人の生徒に時間割通りに授業動画を配信し始めて2週間がすぎました。(1学年8クラス、1日6〜7時間)
毎日100本以上の動画を配信していますので、2週間で1000本以上の動画配信を行うことができました。
本校ではどのような形で全教科で配信を行っているのか、というところをご紹介していきます。
授業動画のルール
配信する基本的なパッケージは
・使用する教材の説明(授業動画内でもPDFの添付でも可)
・この時間のテーマ、習得させたい内容(同上)
・10分の授業動画で解説(200〜300Mbの大きさ)
・課題を指示
芸術科目以外はすべての教科で動画配信を行っています。(芸術科目は指定されたYoutubeを見て感想をまとめたり、指示されたテーマで絵や書を書くという課題を配信)
他校から質問の多い、体育の授業も動画配信をしています。
「体づくり」などのテーマで動画で見本を見せ、部屋で行わせるという方法などをとっています。
一方で、本校は動画配信のみで、他校が行っているようなZoomなどを使ったオンライン授業は(現在は)おこなっていません。
本校では積極的に授業や行事でZoomを使ってきましたが、休校による授業動画配信スタート時にはあえて動画配信のみに制限しています。
オンライン授業の問題点については、武蔵野大学附属中学校・高等学校の日野田直彦校長の発信などを参考にしました。
「オンライン授業の問題点
一方で、武蔵野大学附属中学校・高等学校(西東京市)の日野田直彦校長は、SNSに【ZOOMなどの生授業、やめませんか?】という提言をして波紋を呼んでいる。日野田氏は、偏差値50・地域4番手だった大阪府立箕面高校を、わずか4年で海外トップ大学へ多数の進学者を出す進学校に「改革」した名物校長だ。現在、ネット上では「ZOOMによる生授業をどうするか?」「私はこんな風にやっている!」「こんなやり方をすればいい!」という発信が飛び交っている。これを受けて、あくまで個人の意見だと前置きした上で「反発を受ける覚悟で、私は大反対です。すぐにでもやめるべき」と一石を投じる。日野田氏がオンライン授業をやめるべきだと主張する理由は以下の通りだ。
(1)インターネット全体の負担が大きすぎる
1990年代末のMMORPG流行時と同じような状況になっている。現にZOOMはビジー状態やハッキングの対象となり、Classiはシステムダウンが続ている。
(2)オンライン授業に慣れてない素人がいきなりするのは無理がある
心理的安全性や信頼関係ができていない中で、リアルタイム授業はリスクが大きい。
(3)リスクマネージメントが全くできていない
「隣のクラスの先生はやっているのに、うちのクラスの先生はやってくれない」を解消できているか?「学校」という組織の中で「個人プレー」をすることがリスキーであることに気づいているか?」(HPより引用)
それ以外の理由として本校では
・生徒の家庭の視聴環境にばらつきがあり全員同時参加はハードルが高い
・一方的な講義型の授業であるならば、オンライン授業の必要性は乏しい
・1日6〜7時間のオンライン授業は生徒の精神的・肉体的負担が大きい
・生徒の学びに対する取り組みが受動的になりやすい
と考え、動画配信のみでは不十分であることは承知しながらも一方的な動画配信からスタートしています。
授業動画のパターン
1 黒板に授業をする様子をスマホやiPadで撮影する。
もっとも普段の授業に近い形です。
メリット:教員の顔が出ているので生徒に安心感を与えられる
普段通りの準備でOK
編集が簡単
臨場感が出しやすい
デメリット:効率よく進めないと10分に収まらない
写真や動画の提示が難しい(後で編集して足すことは可能)
黒板の文字が見づらい場合がある
在宅勤務時に動画作成することが難しい
マイクを使わないと聞きづらいことがある
2 パワーポイントで作った資料を黒板やスクリーンに投影しながら説明する
メリット:教員の顔が出ているので生徒に安心感を与えられる
普段からパワーポイントを使っているなら普段通りの準備でOK
効率よく進めることができる
編集が簡単
臨場感が出しやすい
デメリット:画面が光った見づらい場合がある
マイクを使わないと聞きづらいことがある
(パワーポイントは作成できるが)、
在宅勤務時に完全に作成することができない
3 iPad上でパワーポイントを展開(音声で説明)
メリット:普段からパワーポイントを使っているなら普段通りの準備でOK
効率よく進めることができる
編集が簡単
文字数が多くなければ生徒から見やすい
マイクを使えば非常に聞きやすい
在宅勤務時に動画の作成・アップロード・予約配信まで行える
デメリット:教員の顔が出てこないので親近感がわかない
単調になりがちで生徒が飽きやすい
テレビのように進むので、生徒は流し見しやすい
文字が多いと見づらい
・・・中編につづきます。