
地方公立高校の休校対策 VOL.14 カリキュラムマネジメントと授業動画配信 前編
本校の生徒に育てたい資質・能力
本校は2019年度の1年間をかけてカリキュラムマネジメントの職員研修を行ってきました。
6月には静岡県総合教育センターから指導主事をお呼びして、「カリキュラムマネジメントの導入」、というタイトルの研修を行いました。そして講演の後には、全職員で本校の生徒に育てたい資質・能力を出し合い、プレゼンしました。
そしてここで出された育てたい資質・能力の大枠を研修課や有志職員でまとめていきました。
1月に再び、職員研修。鳴門教育大学久我教授の講演。そして「えんたくん」を使った再度のグループワークにより資質・能力のポイントを絞り込んでいきました。
そして4つの資質・能力を決定しました。
主体性・協働性・創造性・自己有用感です。
この4つの資質・能力を、授業はもちろん、クラス運営、行事、部活動、委員会とすべての活動に落とし込んでいくことにしました。
カリキュラムマネジメントとは
カリキュラムマネジメントとは、文科省の新時代の教育を支える最重要ポイントの一つ。
社会課題に対応できる能力養成と教育課程を計画的に編成しよう、というものです。
ポイントは
1 教科横断的な視点
2 子どもたちの実態や地域の現状に関する調査に基づいて教育課程を編成
PDCAサイクルに基づく教育活動の質的向上
計画→実施→評価→改善
3 地域と連携し教育に必要な人材・資源を外部に求める
Withコロナの教育
本校ではこの4つの資質・能力に基づく学校経営目標、各分掌の計画・目標、そして部活動やクラス運営に落とし込むところで、今回の新型コロナウィルスによる休校になりました。
さてこの戦争状態とも言われる世界的な危機・混乱状態の中で、各学校は学びを続ける対応に迫られています。
本校も対応に追われることになるのですが、常に頭にあるのが育てたい4つの資質・能力です。
本校の休校対策についてはこちら
このような危機的状況にあっても決して忘れていけないことが、各校がどのような資質・能力を生徒に育てたいのか、その上での休校対策をどのようにとるのか、ということだと思います。
この非常事態において、生徒には主体的に学んでほしい。また協働的にこの危機を乗り越えていきたい。そしてこの危機を乗り越える知恵を一緒に創造していきたい。
休校に入る時、本校校長は1年から3年までの学年集会で自ら熱弁を奮いました。
「みなさんに4つの資質・能力を示してきました。今こそ、我々教員自身も、主体的、協働的、創造的対策をしていきたいと思います。」
また校長名での保護者への通知もいち早く示し、「本校教員による授業動画の配信等を行い、臨時休業期間においても本年度の各教科・科目の学習を進めていきたい」と伝えました。またGoogleクラスルームを使った授業動画の配信により通常の日課通り授業を開始すること、スケジュールについて、各家庭の授業動画を受講できる環境かどうかの調査をすること、そして今後の学びのスケジュールを校長自ら伝達しました。
思いを伝えたことで保護者の生徒も、不安定な社会情勢にもかかわらず、学校を信頼し安心してくれたような気がします。
本校が素早い対応ができたこと、校長のリーダーシップが正しく発揮されたこと、教員が団結して授業動画配信を軌道に乗せたこと、はやはりカリキュラムマネジメントをしっかりと教員全体で行ったきたことが大きいと思います。
また 「3 地域と連携し教育に必要な人材・資源を外部に求める」を意識した外部人材と協力した探究活動を計画していたため、すぐに地元からICTアドバイザーの協力を得ることができました。
またこれが実現したのも校長のリーダーシップのみならず、予算をつくりだしてくださった事務長の強いリーダーシップとカリキュラムマネジメントに対する理解があったからだと思っています。