【教育改革】OECD Education2030 Vol.2 学習者のエージェンシー
Education2030
OECD(経済協力開発機構)では、2015 年からEducation 2030プロジェクトを進めてきました。
https://www.oecd.org/education/2030-project/teaching-and-learning/learning/
このプロジェクトには2015年に30を超える国の産官学の人材が集まり、2030年に望まれる社会のビジョンやその主体として求められる生徒像や資質・能力が話し合われます。
この背景にあるのが2015年9月にニューヨーク国連本部において開催された「国連持続可能な開発サミット」。
150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。
これにより、国連に加盟するすべての国は、全会一致で採択したアジェンダをもとに、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標を達成すべく力を尽くすこととなります。
このような世界的なビジョンの転換から、2030年の主体となる児童・生徒がどのような資質・能力を持つべきなのか、ということの世界的な議論が求められました。
OECD Education2030では求められる資質・能力について次のように説明しています。
2015年の世界では、グローバル化・デジタル化・AI(人工知能)の発達と大きく環境が変化しました。
しかし世界中の教育カリキュラムは、受動的な学びが中心であり、依然として形を変えていません。
多くの学校は職につくことが目的の教育を施しています。
これは工業社会の学習モデルです。
知識の定着や正確な再生が求められ、大学合格や就職実績によって児童・生徒の幸福が実現すると信じて疑いません。
学習者のエージェンシー
しかし現在求められていることは、児童・生徒が望む未来に向かって学び続けることや、学校が社会に開かれ、社会と共に児童・生徒を育んでいくことです。
つまりOECDが求める2030年の生徒像とは、自ら考え、主体的に行動し、責任をもって社会を変革する力をもつこと。これを学習者のエージェンシー(Student agency)と呼んでいます。
この学習者のエージェンシーとは複雑で不確実な世界を歩んでいく力であり、読み書きそろばんとデジタルやデータを使いこなすリテラシー、そして他者と協働する力、創造する力、変革を起こす力、です。
つまり教育の目標は、生徒に成長し続けるマインドを育成することでより良い生き方を実現することなのです。
Vol.3では、OECD Education2030のマインドを表すラーニングコンパスについて説明します。