【世界史探究】インドネシアのイスラーム教徒にイスラームの授業をしてもらいました! VOl.2
リアル・イスラーム教徒によるリアル授業
静岡サレジオ高校の世界史探究の時間に、インドネシアのイスラーム教徒(ムスリムといいます)3名の方にお越しいただき、生徒と交流していただきました!
授業の設計についてはこちら↓
最初はイスラームやインドネシアのイスラームについての講義
最初に日本人のムスリムである菅ヶ谷マコさんからイスラームについて、そしてインドネシアのイスラームについてお話しいただきました。
以下はマコさんのスライドです。
最初にマコさんから生徒たちに質問。
マコさん「ムスリム(イスラーム教徒)の友人がいる人?」
マコさん「インドネシア人と今まで接点があった人?」
ところが、全く手があがらず。
いかにイスラームやインドネシアが生徒にとって遠い存在なのか!ということが明らかになりました。
グラフを提示
マコさん「このグラフはなんでしょう?」
左がインドネシアの人口分布。右が日本。
日本が昨年70万人の出生数に対して、インドネシアはなんと480万人!
インドネシアのポテンシャルがこのグラフだけでも明らかになります。
インドネシアの人口が2億7000万人であることを示した後で、
インドネシアの宗教について説明します。
インドネシアの90%近い人々がムスリム。ところがインドネシアはイスラーム国家ではありません。その他、キリスト教やヒンドゥー、仏教・儒教が認められています。
ただ無神論は認められていません。
このような状況の中で、国民の大多数であるムスリムの子どもたちはクルアン(コーラン)を読む練習を小学生くらいから始めていきます。
クルアーンは信仰書としては翻訳してはいけないので(翻訳したものは解説書として扱われます。)ムスリムはアラビア語の勉強をします。
世界史的に見るとこれは大きな意味を持ちます。
つまり20億近くいる世界中のムスリムは程度の差こそあれアラビア語ができるのです。
歴史的に巨大なイスラーム経済圏が作れられてきた背景には、このアラビア語の習得があったと思われます。
実際に東アフリカの共通言語になっているスワヒリ語も、現地語とアラビア語の融合によって出来上がった事例があります。
そしてこの歴史的な経緯から考えると、今後ムスリムが増加している状況から、アラビア語を共通の文化とした新しいイスラーム経済圏ができあがるのではないか、と僕は予想しています。
インドネシアの高校
インドネシアも日本と同じように6ー3ー3制です。
公立高校は普通校と職業高校の2種類がありますが、
私立高校は多様で、宗教系の学校が多くあります。
その中でもイスラームを学ぶ全寮制の学校が増えており、エリート校として評価されているようです。
多様性を大切にするインドネシア
インドネシアでは「パンチャシラ」という建国5原則が大切にされています。
このパンチャシラを象徴するガルーダ・パンチャシラ。
ガルーダの足元には、古ジャワ語で「多様性の中の統一」と書かれています。
この「多様性の中の統一」がインドネシアの国是になっているのです。
ですからインドネシアは他の宗教にもとても寛容。
マコさんから示された写真には以下のようなものがありました。
キリスト教の聖堂の敷地内でも行事の際にはムスリムが礼拝しています。
そしてイスラーム以外でも認められている全ての宗教のイベントの日が、国民の祝日になっているそうです。
このような多様性を認めたイスラームがマジョリティの国家。
世界の多文化共生を考える上でも、とても重要な役割を担っていると思います。
続く