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いざ、出発!魔物が待つ黒の森の神殿へ|創世の竪琴・その6

(ひょっとして、これから大冒険が始まる?黒の森の魔王退治?…なんちゃって…ついゲーム感覚になっちゃったけど…夢だから、何が起こってもいいわよね?)

渚の頭の中では、カッコよく魔物退治しているシーンが繰り広げられていた。


翌朝、太陽が昇りかけた頃、渚は元気良く飛び起きる。
部屋を出ると、すでにグナルーシとイルはテーブルに着いてた。

「おはよう、おじいさん!イル!」

「ああ、おはよう、渚。」

「おはよう・・・。」

「なあに、なあに、イル、もしかして緊張してるの?駄目ねぇ!私を見習いなさいって!大丈夫だって!」

イルとグナルーシが幾分緊張気味のような感じであるのと反対に渚がごきげんである。

(そう!何といっても私の夢だもんね。悪いようになるわけないわ!)

「さあ、朝御飯、朝御飯!腹がへっては戦ができぬってね!」

食事はできあがっているようなのだが、テーブルに座ったままで一向に支度をしないような2人に代わり、渚はさっそく食事の支度を始めた。

「ほら、ほら!」

渚に追い立てられるように食事を済ませると、出発の準備をし始めた。

「じゃ、おじいさん、行ってきます!かる~くモンスター共を倒して、武具を手にいれてくるからね!」

「・・・・・・・・・気をつけてな。」

もしかすると帰らないかもしれない2人を見送るグナルーシは、呆れてしまうような明るさの渚に、彼女でよかったのだろうかという不安を感じずにはいられなかった。

が、今更後には引けない。
後は2人が無事に帰って来ることだけを祈るのみ。

道ならぬ山道を登り、小1時間後、渚とイルは切り立った崖の岩壁にある2メートル程の高さの、がっしりとした門の前に立っていた。

門柱も扉も銅でできているらしく、緑青が一面にふいている。

蔦がびっしりと覆っており、相当長い間開けれられたことがない事が容易に判断できる。

「ふう・・・。」
溜息をつくとイルは袋から鍵を取り出し、門を開けにかかった。

-ガチャリ-

「開けるぞ。」

「う・・・うん。」

緊張した面もちのイルを見、そして、いよいよ冒険が始まるのだと、渚も自分顔が強張ってくるのを感じていた。

-ギ、ギギギギギィィィィ・・・・・-

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