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#創作
ゾンビの宴会は楽しく続行中?|創世の竪琴・その28
「まっ、もう一杯!・・・なかなかいけるじゃないか。」
「ぷはぁーっ!」
「ようようよう!」
「いっき、いっき、いっき!」
墓場ではまだ和気あいあいと宴会が続いていた。
「次、42番、『魔界音頭』いきまーす!」
「よっ、いいぞ、ゾンビちゃ~ん!」
「お次は渚ちゃん、歌ってくれよな?」
「そうだ、俺とデュエットしよう!」
「あっ、イル、抜け駆けはずるいぞ!」
2人は幻影とは全く気づ
迫り来る魔手、闇の魔導師・ゼノーのワナ|創世の竪琴・その27
「お目覚めですか、渚?」
「えっ?」
目覚めた渚は、見たこともない部屋の寝台の上にいることに気づいた。
目の前のイスにはイルでもギームでもなく、不気味な笑みをみせる黒の魔導士、ゼノーが座っている。
「な・・・なぜ?イルは?ギームは?」
渚は二日酔いでガンガンする頭を抱えながら体を固くした。
「あの方たちなら、私の僕が手厚くおもてなししております。」
「て、手厚くって・・・まさか・・・」
ゾンビの宴会|創世の竪琴・その26
翌朝、夜明けと共に起き、食事を終えると、一行はすぐ森の奥へと向かう。
うっそうと絡みつくように茂げる木々、昼間でも暗く、瘴気が立ち込めている。
草木を払い、道ならぬ道を進んで行った。
勿論時々襲ってくる猛獣も倒しながら。
「どっちに進んでんのか全く分かりゃーしねーぜ。
おい、イル、お前分かって進んでんのか?」
「・・・・・」
「ねぇ、この辺でちょっと休まない?もう足が棒みたい。」
我慢し
闇魔導士の住処・黒の森への吊り橋|創世の竪琴・その24
『チチチチチ・・・』
次の日の朝、渚は小鳥の鳴き声で目が覚めた。
「う~~ん・・」
大きく伸びをすると渚は身支度をし始めた。未だにあれこれ考えながら。
「渚、起きてるか?」
部屋の外からイルの声がした。
「は、はい・・今行きます。」
イルとギームはもうすっかり準備ができているようだった。
渚が起きてくるのを待っていたらしい。
「おはよう。」
「おはよう、渚。」
「よう、いい天気だ
パソコンの画面を通してあっちとこっちでご対面?|創世の竪琴・その23
家に着いた渚たちはまず食事を取ると、明日のため武器や食料の点検をし、それからそれぞれの部屋に行って寝ることにした。
「渚、鍵はしっかりかけて寝るんだぞ!」
「分かってます!」
部屋に入ろうとする渚にイルがきつい口調で言った。
その夜、渚はなかなか眠れなかった。ギームやイルの事が気になったというのもあるが、いよいよ本番、黒の森の魔導士との対決に向けて出発ということで興奮していた。
枕元に置
夢ではない実感|創世の竪琴・その22
グナルーシの葬儀も無事終え、渚は村長の家の居間で1人じっと考えていた。
本当にこれは夢ではないらしい事、ここに来た原因、これからすべき事など。
「ああ、もうっ!考えたってわからないわ!下手な考え休むに似たりだわっ!」
「何を1人でわめいているんだ?」
奥で村長と話していたイルが入って来た。
「ああ、イル、で、話は済んだの?黒の森にはいつ出発するの?」
「その事なんだけどな。」
「よっ
闇王と闇の女王|創世の竪琴・その21
不意に投げかけられた聖獣の声に、すっかり彼の存在を忘れていたことに気づき、渚はハッとしたように声の主を見る。
「な、何?」
『今から千年前に黒の森、そして闇王は現れたのだ。』
「ああ、知ってる。」
「私も聞いたわ。」
『その時、闇王は、我が主、ディーゼ様の力を借りた当時の姫巫女に倒された。』
「だから、今回もそうすべく、渚がやってきたってわけだろ?」
『いや、今回は少し違っているよう
イルの正体|創世の竪琴・その20
「ああ、渚、魔法が使えるようになったんだな。
さすがだな。やっぱり女神ディーゼが選んだ娘だけあるな。」
青年は安心したようににっこりと微笑む。
「えっ、その言い方・・・・声は低くなってるけど・・・でも、でも・・そう言えば・・この服はイルの物だし・・・それに・・似てる・・・。」
「チュララ!」
「ララ!」
その青年の背後から出てきたのは、間違いなくあのブルースライムのララ。
「じゃ、じゃ
精獣との闘い|創世の竪琴・その19
「女神ディーゼの名のもと、我は願う、出でよ、ムーンソード!」
そう、渚はその剣の名前を知っていた訳ではない。
ただ、思いついたままの言葉が自然に口から出たのである。
それは、こういう場面ならというゲーム好きだからこその方向性があったからなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
…と、その瞬間、銀色の光を放ちながら、イヤリングの剣は本物となる。
「やったわ!」
渚は右手に収まったその剣
地下神殿で|創世の竪琴・その18
扉を開けると一本の通路が真っ直ぐ延びていた。
「わあ・・・」
そこは、それまで暗い階段を下りてきた渚には眩しく思えたほど明るかった。
床、壁、天井、全て淡い光を放っている。
「光り苔がびっしり生えてる!それに、これって・・水晶・・エメラルド?・・・・・きれい・・・。」
渚はしばらく全ての事を忘れ、壁、天井など辺りを見渡しながら、その美しい光の中をゆっくり歩いていた。
「扉だわ。・・あっあ
不安の中一人神殿地下へ|創世の竪琴・その17
「やるしかないんだから!夢じゃないんだから!」
と、自分に言い聞かせつつ歩を進める渚だが、その実不安は膨らむばかり。
「イル・・・・あとどのくらいなの?」
「その角を曲がれば扉があるはずだ!それが地下神殿への入口だ!」
ここまで来るのにどのくらい時がたったのだろう・・2人は、ただひたすら、群がってくるモンスターを倒しながら、通路を駈け続けていた。
イルの精神力も、もう底を尽きかけていた。い
夢のゲームの世界じゃなく現実?!|創世の竪琴・その16
歩きながら渚は考えていた。
(何故目が覚めないのか、本当に夢なのか、もしかしたらこれは現実?でも、そんなことあり得ない、あるはずがない!
でも・・・・あまりにもリアルすぎる!・・もし、もしマンガや小説のように異世界にスリップしてしまってたとしたら・・・私は・・・これからどうなるの?家に帰れるの?・・・・何か、何かこれが夢だっていう確証がほしい!夢に決まってる!
・・・でも、死にそうに息苦しても目
ベビースライムの大活躍|創世の竪琴・その15
「チュチュラ!チュララッ!!」
2人の唇が重なり合う直前、ブルースライムのララが渚の肩からゼノーの鼻に飛び移り、思いっきり噛みついた。
「痛っ!な、なんだこれは?・・・・ス、スライムではないか!」
思いもかけないことに驚いてゼノーはとっさにララを鼻から払う。
「チュララチュラアアアアアア!!!!」
地面に落ちたララは青色から赤色に変色し、見る見る間に巨大化し、たかがベビースライムと油断し
怪しい人物|創世の竪琴・その14
「もしもし、お嬢さん・・・どうしたんですか?」
やさしそうな男性の声にふと渚は見上げる。
そこには濃紺のローブをまとった長身の男性が立っていた。
整った顔、紫色の瞳、腰まである長く柔らかそうな銀色の髪、そのやさしそうな微笑みと妖し気な視線に、渚は徐々に思考力を失っていく・・・。
「あ・・・あの・・・・あ、あなたは?」
半分夢見心地で訊ねる。
「私は、ゼノーと申します。道にでも迷われたのです