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ウクライナ平和の鐘 017 殺さぬ戒
■2022(令和4)年4月1日 017 殺さぬ戒
(動画の3:05~5:13)
本日の「平和の鐘 鳴鐘の輪」。苦を逃れ安らかに生きる道を求める仏道の戒律の筆頭は不殺生。他人を苦しめ命を奪う悪業は、自分自身の苦しみを招きます。戦争はそのような因果を見失った行為です。
合掌
仏教の戒律は「私は仏道修行をする上でこれを守ります」という仏様との約束です。一番基本的な五つの戒律(五戒)の筆頭に来るのが不殺生戒、つまり生き物を意図的に殺さないという戒律です。
何故このような戒律があるのか。それは仏教が、苦しみを離れるための修行だからです。
これには二つの側面があります。まずひとつは、私たちが他の生き物を意図的に苦しめることを止められないのならば、私たちもまた他の生き物から意図的に苦しめられることを避けられないという抽象的な側面。もうひとつは、誰かを苦しめたなら相手は怒って反撃をし、争い(=修羅)に巻き込まれてしまうという具体的な側面。
どちらも自分の積んだ業が自分の苦しみとして報いる因果です。だから、自分の苦しみという結果を避けたいのなら、まず自分が他の生き物を意図的に殺さないと誓う必要があるのです。
戦争は、そのような誓いのない世界です。侵略者は、他国を自分に従わせるために、殺戮を行う。侵略を受ける側は、自分や家族や仲間を護るために、敵を殺すことを余儀なくされる。まさに侵略者は自らの悪業から自身の苦しみを生んでいるのです。
惨たらしい戦争の有り様を突きつけられている今、私たちはあらためて不殺生戒の意味を思い知らされます。
再拝