ウクライナ平和の鐘 005 愚かさと智慧
■2022(令和4)年3月17日 005 愚かさと智慧
(動画の3:22~7:00)
三毒の根本は愚癡、苦しみの原因と気付かず悪業を積む愚かさです。世界は今、苦しみを手放し皆が安らかに生きるための智慧を必要としています。
合掌
昨日は三毒のうちふたつについてお話をしました
貪欲(とんよく)、貪りの心。
瞋恚(しんに)、怒りの心
これらは、私たちが生命を長らえ未来へ繋げていくために必要な本能です。でもそれがひとたび暴走した時、私たちを幸せにする筈のものが、かえって私たちを不幸に追いやる悪業になる。そのようなお話をしました。
では、貪欲・瞋恚が生命を維持する大切な機能として働くのか、それを超えて悪業になってしまうのはどのような時か。この問題が、三毒の残るひとつと関わります。
これを愚癡(ぐち)といいます。愚かさということです。
愚かといっても、学校の勉強が出来る出来ないとか、そういう話ではありません。因果を見誤ることを言います。
原因があって、結果がある。悪い業を積めば、人は苦しむ。良い業を積めば、人は安らかに生きることができる。それが世の中のありのままの姿(法=ダルマ)なのだと、仏様の教えでは捉えます。
この因果の関係を見誤って、幸せになりたいと思っているにも関わらず「善いことをしても損をする」「悪いことをしたほうが得だ」とばかりに悪業を積んで、不幸に陥っていく。このように因果を捉え損ねた考え方が愚癡であり、ここから貪欲や瞋恚の暴走が始まる。つまり愚癡が三毒の根本なのです。
例えば「あの国を攻め落として属国にすれば俺たちは幸せになるぞ」と戦争を仕掛ける 。でも、思った通りにならず、どんどん事態が悪化していく。それでも一度始めてしまった戦争は止められないから、「勝つまでやるぞ」と攻撃を激化させる。これが今、ロシアのウクライナ侵攻で起きていることです。
これは明らかに愚癡に陥っています。ロシアが自分たちの幸せのために始めた筈のことが、どんどんウクライナの人たちを不幸にし、ロシア自身も不幸にしてしまう。
同じことは、私たちの人生の身の回りでも、いくらでもあるはずです。どうぞ皆さん、それぞれの経験から想像してみてください。
そのような、どうしようもなく悪業を繰り返してしまう状態から、ふっ、と悪業を手放し善業を積む。それによって初めて、私たちは苦しみを手放し幸せに至ることができます。
原因と結果を正しくわきまえて、悪業を手放して善業を積むこと。これが智慧です。私たちがそのような智慧をもって苦しみを離れ幸せに生きていくこと、それこそが仏様の願いです。
どうか一日も早く今の戦乱が終わって、皆が平和に暮らせる日が戻ってきますように。
再拝