【小樽市】小樽子育て応援デジタル化事業

 今回は小樽市が、国のデジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプ(TYPE1)を活用した、保育所のICT化などの取組を取材したので、紹介します。

実装の背景

 小樽市では、子育てしやすい環境づくりを目指して、子育て世帯が保育所の入所相談や発達相談をいつでも気軽に行える体制づくりを進めています。
 保育所の入所選考の時間短縮や、入所後の登園管理、保護者との連絡などの業務を効率化することで、子育て世帯の利便性を向上させ、保育所の負担を軽減することを目的として、令和4年度デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプTYPE1を活用し、AIチャットボットによる24時間365日の相談や、AI入所選考システムの導入、保育所のICT化を行いました。

実装までのスケジュール

 交付金の採択後、仕様検討等を行い、施設の工事から機器の導入を含めた一連の整備ができる事業者を選定しました。保育所業務のデジタル化については、現場が混乱しないよう保育所との調整が必須であり、運用を開始する10月までの約半年間で、説明会や会議を複数回開催し、実装等に向けた課題の整理を行い、ICT化した登園管理、保育日誌や保護者連絡帳などを新たに活用するにあたってのルールとしてガイドラインの策定を行いました。テスト運用にあたっては、保護者に専用アプリをダウンロードしてもらう必要がありましたが、日頃からスマートフォンの使用頻度が高い世代が多いため、スムーズに進めることができました。

登校園児の登降園時の受付画面

実装の内容・成果

 子育て相談AIチャットボットは、子育て世帯の生活スタイルに合わせていつでも問い合わせを受け付け、開庁時間外の問い合わせ件数が目標の10倍以上に達しています。
 AI入所選考システムの導入により、毎月実施していた入所選考の時間が短縮され、入所選考時の問い合わせなどにも迅速に対応することが可能になりました。
 保育所業務のデジタル化では、これまで電話等で行っていた登園管理や保護者への連絡などを専用アプリで行い、保育士の業務負担を軽減することができたほか、保護者からも手間の軽減などから高評価を得ています。
 市では保育士不足の課題も抱える中で、保育現場の負担軽減も求められており、こうしたデジタル化により労働環境の改善と就労定着の効果も期待しています。