地域おこし協力隊インタビュー vol.3
【白老町】羽地 夕夏さん
白老町の協力隊となった経緯を教えてください。
幼い頃から本が好きで、大学卒業後は出版社に勤めていました。移住のきっかけは、昨年、白老在住の友人から、「白老町には本屋がない」と聞いたことです。「ちいさな本屋なら自分でもできるかも!」と思い立ちました。実は、大学在学中に白老町を訪れたことがあり、自然が豊かで面白い人が多く、居心地の良い場所だと感じていました。そんなご縁のある土地だったからこそ、白老町に地域おこし協力隊として移住することを決めました。
現在までの白老町での活動内容について教えてください。
活動開始当初は、町内で物件を借りて書店を開こうと考えていましたが、移住してきたばかりで、なかなか物件が見つかりませんでした。そんな中、町内でカメラ屋を営んでいる方からアドバイスを受け、移動本屋を思いつき、「またたび文庫」として、町内外の様々な場所で出店することとしました。移動本屋は週5回のペースで、出店場所のお客様の層に合わせ、小説や雑誌、図鑑などの本を100冊ほど持って、町の元隊員が経営しているゲストハウスや、観光協会、古い酒蔵を活用したイベントスペースなど、様々な場所に出店していました。夏場の土日は洞爺湖町や札幌市にも出店していましたので、昨年の10月まではアクティブに活動していたと思います。
その後は、先輩隊員が町内で使わなくなった物件を見つけてくれたため、最初は改装せずに、マルシェや作家さんのトークイベント、映画鑑賞会などを開催していました。これまでの移動本屋の活動が、広報誌や新聞で取り上げられていたこともあり、イベントには町の方にもたくさん参加していただきました。
手応えを感じていること、やりがいを感じていることを教えてください。
出版社に勤務していた時は、作った本を書店に流すだけで、その本を誰が手に取ったのかも分かりませんでした。しかし今は、人の顔が見える活動ができていると思っています。活動を通して、様々な場所で、幅広い年齢層の方と直に接することができるので、地域の人の反応を見ながら活動できることが良いなと感じています。また、地域の方と連携し、地域内外の店舗を集めたマルシェの開催や、アイヌ文化や漁業文化を発信するイベントができることにもやりがいを感じています。
任期中や任期終了後にどのような活動をしていきたいか教えてください。
まずは、令和6年5月のオープンに向けて、この物件の改修を今年中に終わらせ、今以上に「またたび文庫」を知っていただけるようPRしていこうと考えています。オープン後からは、経営面で自立できるようにやっていくだけではなく、さらに幅広いお客様に来ていただけるように、住民の方がどのような本を求めているのか理解を深めていきたいです。将来的には、この「またたび文庫」という場所を多様な文化の混ざり合うスペースにし、白老町の文化をさらに広げていきたいと思っています。
この記事は、「創る」第26号発行時点(令和5年12月時点)の内容です。