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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第37回 「福利厚生⑤=社会保険・労働保険の仕組み」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第37回)をお届けしてまいります。
第37回のテーマは「福利厚生⑤=社会保険・労働保険の仕組み」です。

 今回の記事では、社会保険と労働保険の基本的な仕組みを詳しく、そしてわかりやすく解説しています。これらのシステムは、職員が安心して働ける基盤を提供し、経営においても重要な役割を果たしています。しかし、これらの仕組みを正しく理解しないと、不要な金銭的リスクに繋がることも。

 本記事を通じて、社会保険と労働保険の知識を深め、事業者側も従業員も安心して働ける職場づくりに繋げていきましょう。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第37回「福利厚生⑤=社会保険・労働保険の仕組み」

 今回は法定福利厚生についてお伝えいたします。法定福利厚生とは、健康保険厚生年金介護保険社会保険(以後、社会保険)、雇用保険と労働者災害補償保険としての労働保険子ども・子育て拠出金を含めた事業所が負担する福利厚生です。
 これらは、職員が安心して働くための基本的なサポートとなります。健康保険、厚生年金、介護保険は保険料全体のうち半分、雇用保険料は毎年決められた保険料率、労働者災害補償保険と子ども・子育て拠出金としての保険料は全額を、事業所が負担しなければなりません。

 この仕組みを正しく理解していないと、職員自身が支払う保険料に大きく影響し、金銭的トラブルになりかねません。例えば、扶養の範囲で働いている職員が扶養範囲を超えて働いていたなど。
 年金事務所の監査で扶養適用除外の認定を受けた場合、国民年金及び国民健康保険に加入しなければならないことや、除外認定期間に遡(さかのぼ)り、未納保険料が発生することが考えられます。
 勤め先の事業所での適用基準を満たす働き方の場合、事業所は年金事務所が認定した遡り期間の社会保険料を一括納付しなければなりません

 職場の管理不行き届きによる、社会保険料の職員負担分の清算も対応しなければなりません。現場のリーダーは、社会保険料がどれくらいかかっているか、年金事務所が公表している標準報酬月額表で確認してみるとよいでしょう。
 現場リーダーが押さえておくポイントは、職員の労働時間と月額給与となります。

 事業所で社会保険に加入しなければならない条件は、現場の所定労働時間の4分の3以上働く者です。例えば週の所定労働時間が40時間で、週30時間働いている場合など。正社員でなくても、労働時間で決まるのです。

 次に、配偶者の扶養に入っている職員で、年間130万円のケースです。この年間130万円の管理は、配偶者の職場で管理されます。よって該当職員と確認しながら管理する必要があります。
 月額換算では概ね10万8千円です。年間で130万円をコントロールすることはお勧めしません月ごとに管理してください。

 今、「年収の壁」問題が話題になっています。年収130万円を超えた場合には、配偶者の扶養から外れることになっています。しかし2023年10月から2年間については、収入が一時的に増加して年収130万円以上となっても、即座に扶養から外れることはありません。
 将来の収入見込みを総合的に判断して認定されることになりました。ただし現段階では公表されていない情報も多いため、確認しながらマネジメントしていきましょう。

 ちなみに社会保険を適用する職員の条件は国の施策により年々変更になっています。24年10月からは、社会保険加入者数が51人以上の「法人」で、月額収入が8万8千円以上、所定労働時間20時間以上を常時雇用する学生以外の者は社会保険の強制加入となります。

 雇用保険の条件週の所定労働時間が20時間以上の者が適用になります。雇用保険におけるトラブルは、雇用保険のかからない時間数で働いていたものの、人材不足やそのスタッフの活躍ぶりから当初より長い労働時間となり、いつのまにか雇用保険が適用になっていたケースが少なくありません。
 退職した場合に発覚することが多いですが、現状でそのような職員がいる場合もありますので、見直しは必要です。労働契約の見直しと雇用保険料の徴収など調整が必要となります。
 ちなみに雇用保険の適用についての時効は2年間です。長年放置すると、職員に不利益が生じますので注意が必要です。

 労働契約は「働いたらお金になる」という基本原則があります。リーダーには労働時間と金銭が大きなトラブルに発展するかもしれないという感性が求められるため、法定福利の仕組みは理解していきましょう。

介護新聞10/27付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202310kaigo/kaigo20231027.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第38回の記事でお会いしましょう!

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