元 地域包括支援センター保健師が家族介護について考える。
どうも。ペーパー保健師黒井です。
以前働いていた地域包括支援センターでは、色々な家族と出会う。
そんな中で思ったことは、必ずしも家族が介護を担う必要はない、ということ。
介護や医療と関係ない仕事をしている友人たちから聞かれるのは
「やっぱり、こどもとしては親の介護をしないと」という言葉。
世間的にもそう思っている人は多いのではないかと思う。
でも、包括職員としては、利用者のこどもさんや親戚関係の人が「この人とはもう関りたくないので」と言った場合、「そうですか」と納得する。その場合家族に頼らない手段を考えることになる。(意外となんとかなる)
家族関係は長年蓄積された結果。家族だからと言って世の中すべての家族が仲が良いわけではない。
だから「親の介護をしないと」と思う人たちは少なくとも良い家族関係の中育ってきたのだろうなと感じる。
地域包括支援センター勤務していたころの黒井のスタンスとしては、「家族だからって介護したくなければ拒否してもらって問題ない。でも、ちょっとでも協力してくれたらラッキー☆」という感じ。
ひとり暮らしで身寄りがなくて、お金がなくって、認知症が進行してしまったとしても、最期まで生活を整えることはできる。(世の中色んな手段がありまして。その手段をうまく組み合わせられるかどうかは包括職員の技量次第)
なので、家族だからと言って無理に介護しようと思わなくても大丈夫。
ただ、仲が悪い家族関係でもなんとかやっていけることは間違いないけれど、やっぱり家族の人が動いてくれるとスムーズに事が運ぶのは間違いないので、ちょっとでも協力してもらえると包括職員としてはとても嬉しい。
実は、包括で働く中でちょっと大変だな~と思うのは、仲が悪くて全く関わらない家族ではない。
関わりがなかったり、仲が悪い家族の場合、大抵「そちらの良いように動いてください」と丸投げになるので、包括としては自由にやりやすい。(と思っているのは私だけだろうか…)
一方、遠方や多忙により、関われる時間がとても制限されているのにも関わらず、口だけ出したいタイプの家族は内心、面倒だな…と思ってしまう。
自分のご両親を心配する気持ちやより良い生活を送ってほしいという気持ちはとてもよくわかる。
でも、口や手を出したいタイプの家族は、結構利用者自身の気持ちを無視したり、制度上できないことを押し通そうとしたりする人が割合的に多いと感じる(黒井の勤務していた地域だけかもしれないけれど)
結局支援方針が迷走して、振り回されてしまわないように、ちょっと引いた目線で見ることも包括職員として必要になってくる。
一番楽なのはご家族の理解が良く、ちゃんと制度上可能な範囲でのみ要望を出してくれるケース。
時には、制度の穴をくぐるようなグレーゾーンな手段も存在する。
そんな手段に対する態度は、家族により色々ある。
「グレーということは、基本的にダメ、ということですよね」と言って引き下がる方。このパターンのご家族は一番楽で神様のようにありがたい存在。
「グレーということは、制度上できるってことですよね」と言って堂々と手段を使おうとする方。このパターンの方は、理屈で攻めれば大体納得してくれるので、割と対応しやすい。
「この方法でグレーということは、どの辺からはアウトなんですか」とグレーゾーンのギリギリを攻めようと試みる方。このパターンの方は、何かあるたびにあの手この手で抜け道を探ってくるので正直面倒。
時々、「なるほど、そう来たか」と思うような反応もあり、実に興味深い。
何はともあれ、言いたいことはただ一つ。
「家族が介護の担い手となることは当たり前」という考えはやめてほしいということ。
両親と仲が悪い黒井から、黒井の両親が将来お世話になるであろう包括職員へ向けてのお願いでした。
(両親と仲が悪い、病院は嫌い、酒好きの三拍子がそろっている保健師の隅にも置けないような黒井であった)