【文字起こし】大竹まこと ゴールデンラジオ! 井上智介氏(2022年3月9日)
井上智介氏 著作
『「あの人がいるだけで会社がしんどい……」がラクになる 職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』
壇蜜氏
本日のお客様をご紹介します。精神科医、産業医として様々な会社で心理ケアをご担当、昨年発売となりました『「あの人がいるだけで会社がしんどい……」がラクになる 職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』が話題になっています。精神科医、井上智介先生です。初登場、よろしくお願いいたします。
大竹まこと氏
はい、よろしくお願いいたします。
壇蜜氏
アフロなの・・・
井上智介氏
よろしくお願いします。
大竹氏
金髪のアフロですけれども・・・、それはカツラですよね?
井上氏
これ、カツラです。
大竹氏
なんでいつもそれをお着けになっているんですか?
井上氏
撲精神科医をやっているんですけれども、精神科の世界ってやっぱりまだまだ暗いとか怖いイメージを持たれてて、それによって患者さんがそこに受診されるっていうのが抵抗があるっていう人が多いので、まあ少しでもその業界のイメージを変えれたらなあって思って、明るくやってます。
大竹氏
そうですか、それ着けてるとちょっと逆なイメージもしますけれどもね。
井上氏
そうですね、信用を失う可能性はありますね(笑)。
大竹氏
でもね、ちょっと笑ってもらおうとか、そういう意味も入っている・・・
壇蜜氏
明るくね、行きましょうという・・・
大竹氏
先生は笑いの力というのは結構大きいとおっしゃってますね?
井上氏
そうですね、精神科に限らずかもしれませんけど、病院に来られる方って笑顔がなかったりするので、少なくともこちら側が笑いを提供する、笑えるような何か安心とか安全とかとうのを提供するのがすごく大事だと思ってて、笑える人って精神的に余裕がある人だと思うので・・・。
大竹氏
ああ、そうか
井上氏
なので、そこは大事にはしています。
大竹氏
先生自身もお笑いが好きなんです?
井上氏
はい、お笑い、めちゃくちゃ好きで、はい
壇蜜氏
ねえ、何か芸人さん?R1とか、M1の優勝芸人を予想するみたいなことをやってらっしゃるみたいです
井上氏
(笑)そうです、笑い好きが高じて、いっちょ前にだれが優勝するかなんてのは予想させてもらってます。
大竹氏
残念でしたね。
井上氏
今回予想が外れてしまったんですけども・・・
大竹氏
今回来ていただいたのは、巷ではコロナ、それからウクライナの問題など、近頃になって心はかなり痛めつけられています。それでなくてもちょっと以前から、世の中?SNS?そういうのもあるし、会社でも正規と非正規に分けられてその中で働くと、圧力が強くなって、なんかこうあまり健康的に過ごせないと、そういう状況が世の中に多くなってきていますね。
壇蜜氏
なんか居場所をつくろうと思ってもなかなかできない人たち、せっかく出来ても奪われたりとか、そこに居れなくなっちゃう人たちも増えてる気がします。
井上氏
そうですね、たくさん
今日はリスナーさんにどんなことを伝えたいと思っていらっしゃいますか?
井上氏
そうですね、今回僕が思って伝えたいなということはですね、僕は人生というのはゲームと一緒だなと思ってて、やり直しとか再スタートとかはいくらでも出来ると思っているんですね。
なので僕の患者さん、来られる方っていうのは、何か生きづらさを感じていたりとかして、ある意味どん底で人生が終わってしまったというふうに思う人がおられるんですけど、いやそんなことはないよと、いくらでも再スタートは切れるということをお伝えしたいなと思っています。
大竹氏
現実にいらっしゃる患者さんは、どんなことでお悩みになっている方が多いんですか?
井上氏
コロナによって少し悩みの話題は変わったかなと思ってまして、それこそなかなか人と接する時間がなくなったことで、孤立しちゃってる、精神的な孤立ですかね、そういう孤立している人が増えたなという印象はありまして、同じ会社に所属されていても在宅勤務だったりとかでほとんど会社の方と接しないとか、そういうのも含めてひとりぼっちを感じてつらくなっている人は増えています。
壇蜜氏
そうか、ひとりぼっち・・・
大竹氏
そうだね、ひとりぼっちというのもあるけども、今見ていると社会もそうですけれど、日本人は特になんだけど、歳とった時の自分みたいなことを想像、だから歳とったらお金が要るだとか、○○しなきゃいけないだとかっていうのがはっきりなってきちゃったじゃないですか・・・。
よその国なんかじゃあ、年とってもお金なくても暮らせるよ、みたいな国もあるみたいですけれども
壇蜜氏
「何とかなるよ」的な余裕が日本になくなってきちゃった・・・。
大竹氏
この辺先生はそんな先のことまで考えてどうすんの?って思ってらっしゃる?
井上氏
そういう目線で悩む人というのは、将来のこと先のことっていうのを悩んでらっしゃるので、まあ一旦視線を今日だったりとか今週ぐらいだったりとかにして、この一週間どうやって生きようかなんて考え方でやっていったらどうですか?とアドバイスすることが多いです。
大竹氏
どんなことを喜びと感じればいいですか?
井上氏
そうですね、実は私たちって満たされているところがあると思うんですよね、衣食住も含めてだと思うんですね。でもそこに意外と気づかなくて、もうちょっとあれをやりたい、これをやりたいとかで100点満点を目指す人が多いんですけど、もっともっと身近な所で小さな喜びだったりとかでいいと思うんですけど、そのあたりを自分で実感できるように目を向けていく作業が必要になりますかね。
大竹氏
今日、壇蜜のお母さんが差し入れで、あれなに?本当においしい和菓子?
壇蜜氏
「かもめの玉子」
大竹氏
「かもめの玉子」、めっちゃくちゃおいしかったんだけど、はい。おいしかったなあ!・・・みたいなの?
井上氏
そうですね。ホントにそういう経験はできないですし・・・。
大竹氏
このカレーパンおいしかったよ 、みたいなことでも、なんか心って満ちるんですか?
井上氏
満ちます。もっともっとちょっとしたコンビニとかの、少しだけ高級なスイーツだったりとか、普段はあんまり食べないけどもそういうのを補充するだけでも自分にとっては幸せな気持ちが出てくるので、そういったところを自分で積極的に取り入れていく必要っていうのはありますね。
大竹氏
そういう悩みが、そういう小さなことで満たされていくんだろうけども、いま社会の悩みって、聞き及ぶところですが、何か会社の出世でどうのこうのとか・・・
壇蜜氏
対人ですよね
大竹氏
そうそう、だからそういう仕事関係の悩みじゃなくて、この会社の上司がだとか、部下がとか、いつも一緒に仕事しなくちゃいけない「アイツ」がっていう対人関係・・・
壇蜜氏
単に労働じゃあないんですよね
大竹氏
労働は結構しんどくても、そこの悩みは笑いごとというか、こんなに働いちゃったよということで吐き出せるんだけど、対人の方がほとんど社会は対人関係で、みんなそういうことの悩みがとっても私の身近にもいるんですが・・・、そういうことが大問題になっていますね。
井上氏
そうですね。
壇蜜氏
ご本にも、苦手な上司から自分を守ろうとか、ターゲットにされないようにしようとか、あとはどうやって困った行為をしてくる人から自分の心を守るかというのを書いてあるんですよね。
大竹氏
なるほど。その前に、なんでこの対人関係がその心の悩みになるんですか?
井上氏
そうですね、さっき大竹さんが言っていただいたように、仕事の量とか質とかだと結構コントロールが可能というか、ちょっと減らしてくださいとか、自分が嫌じゃない仕事に移動するとか、まあできないことはないと思うんですよね。ただ、対人関係は対人なので、自分の思い通りにはまずコントロールできないというのはすごい大きなことで、それに対してストレスを感じやすいというのはありますね。
大竹氏
昔からあったことなんですか?近年対人関係が突出して悩みの種になってきたことなんですか?
井上氏
そうですね、元々あったとは思うんですけども、かなりこうやってインターネットとか含めてなんですけど、世界が進んだことによって、人間の余裕がなくなってきていることが言われてまして、人間の脳の処理の速度ってそんな変わらないけども、インターネットができることによって短時間に高容量のものっていうのを移動させたりすることがとても簡単になったので、それだけやらなければならないことがめちゃくちゃ増えたんですよね。
なので、そうすると人間やっぱり余裕がなくなるとどこにぶつけるか・・・となると、近くにいる人にぶつけている人が多いんですよね。
壇蜜氏
人にぶつけるんですか?
井上氏
そうですね。
余裕がある人は、スポーツだったりとか、色んなそういうぶつけるところとかストレス発散の場所っていうのを確保しているんですけど、一方それがある種苦手な人っていうのは身近な人にぶち当たってみたりとかすることで可視化しつつありますね。
大竹氏
対人関係がうまくいかないとか、例えば僕が一緒にいるあの上司がどうしても余分なことで口出すとか、飲みに来いだとか色んなことを言われてホント嫌だと、僕は先生に相談しました。
どうお応えになるんですか?
井上氏
まずはしっかり距離を取っていくことはすごい大事なことになります。
もちろん物理的な距離というのを取りやすくなった時代でもあるなと思ってて、それは在宅勤務とかリモートというのを利用させてもらうっていうのは一つ提案にあります。
それ以外に接する時間というのをできるだけ減らすような努力というのは必要で、対面でお話しなくても例えばメールのやり取りを増やしてみるとか、チャットのやり取りを増やしてみるくらいなことをやってみたり。
あとは、それは物理的なやり方だと思うんですけど、精神的にも少しずつ離れていかなければいけませんよというアドバイスはさせて頂いてまして、真面目な人ほど苦手な人にまあ好かれようというんですかね、起死回生の一発じゃあないですけど、仲良くしようと、そうしたらまたこの嫌な関係がなくなるんじゃないかと思う人がすごく多いんですけど、残念ながらそうはいかないので、自分からちゃんと離れていく方が大事だということはお伝えしていますね。
大竹氏
職場で自分の領域が狭くなって、仕事的にもうまくいかなくなったり、もとは上司との関係だったかも知らないけれど、段々仕事がうまくいかなくなって、もう会社は行くのがしんどいなあと思い始めている人がいるとしたらどういうふうにお応えになるんですか?
井上氏
まず他に症状がでてないかどうかは確認させてもらって
大竹氏
症状ってなんですか?
井上氏
例えば、一番出やすいのは睡眠の問題が起こりやすくて、明日仕事に行くことにウキウキしてられないと思うので、もう寝ても寝つけられなかったりとか、3回も4回も目が覚めるようになったりとか、普段とは違った睡眠の症状というのが出てくるというのが良くある症状です。
あとは会社に向かっている最中ですね、電車に乗ってても冷や汗が出たりとか、動悸がしたりとか、「会社に行くのがイヤだな」が「会社に行くのがコワいな」に変わってくるんですよね。こうなってくると病院にはもう行かなければいけない時期になってますので、そういう時に相談に来ると心療内科なりに行くように指示はします。
大竹氏
そういうのに処方するいい薬というのは、いまたくさんあるんですか?
井上氏
そうですね、薬自体はあるんですけれども、やはりそういう現場の問題であったら、根本を解決しないとなかなかその場しのぎになってしまうんですよね。寝れないから睡眠薬というのは悪くはないんですけども、根本を解決しないとそこっていうのはうまくいかないことがまあ多いですね。
大竹氏
最初の先生がおっしゃったことに戻りますけど、だいたい何回も失敗してもいいんだと、仕事が一つ失敗したらまたもっと別の仕事に行きゃあいいじゃないかとか、もっと仕事とか対人関係をいい加減に考える?気楽に考える?・・・そういうことですか?
井上氏
はい、そうですね、ラフに考えてほしいなと僕は常々思ってて・・・
大竹氏
まじめなほどそうできないですね、でも。
井上氏
正にそうです、はい。
名の通っている会社さんなんかにいると、なかなかそこを手放せないという方はたくさんおられるんですけども、自分の健康を害してまでそこにしがみつく理由というのは僕は分からなくて、離れていくことも大事だよということはお伝えしています。
壇蜜氏
何かがんじがらめになった先に、昔々は出世だったり報酬だったり、ご褒美的なものとか、やり甲斐を感じることもあったと思うんですけど、いまはしんどさの先にはしんどさしかないみたいな感じがありますよね。
井上氏
そうですよね
大竹氏
そういう状態になったりするじゃない?うまく体が動かなくなっちゃったり、足がすくんじゃったり、色んな症状が出ますよね。そういう人に、どんなふうに言葉をお掛けになるんですか?薬ももちろんあると思いますけど・・・。
井上氏
そうですね、僕はもうその恐怖を感じている場所から離れることをお勧めしているので、まあ休職という形ですかね、一回休んだりすることをお勧めするんですけど、やっぱり今言っていただいたように抵抗がある方というのはすごく多くて、いや何で休まなきゃいけないんだとか思うんですけど、行こうと思ったら足がすくんじゃうというぐらいですので、一旦休んでそこから仕切り直しということでやることが多くて、次は復帰するときにそこで環境の調整ということが必要になってくるので、僕は産業医という役割もあるので、そこの中で会社でこの人はいままでいたAの場所に行くのは危ないですよと、いままでと同じ症状が出ますよという話をして、それだったらBの場所に変えた方がいいですよという話を、医学的にちゃんと話をするということですね。
大竹氏
会社を辞めるという選択肢もあるんですか?
井上氏
もちろんあります。
本人が同じ部署だといえど、近くにその人が見えてるとか、嫌だなと思うパターンもやっぱりありますので。
大竹氏
若ければそうやってできるでしょうけど、歳を食って、子どももいて、奥さんもいて、みんなを養わなくちゃいけないんだっていう自覚のもとに、家のローンもあるし・・・みたいなことだと、辞められないじゃないですか。
井上氏
正にそうですね。
なので、そういう方はこそですけど、配置転換で部署を変えたりとか、その人がその中で働ける、幸せに働けるところを探っていかなければいけないんですけど、その人からしたらいまのポジションとかを失うし、同じ会社の中だけど今まであったものを手放さなきゃいけないという勇気を持ってもらうこともやっぱり必要にはなります。
壇蜜氏
その中で、先生のご本に書いてあるんですけど、どうしても合わない上司とか攻撃してくる上司から身を守る方法もご本にいくつか書いてあって、私申し訳ないですけれど、一番笑っちゃったのが、「チベットスナギツネ戦法」というのがありまして、チベットスナギツネってご存じですか?
大竹氏
いや、知らない。
壇蜜氏
スゴイ、こういう顔してるんですよ。
大竹氏
こういう顔っておまえ、どこか遠くを見てるけど・・・。
壇蜜氏
スンとした顔をしているんですよ。何に対しても感情的に反応しないとか、ワンテンポ遅れて「あっ、そうなんですか」とか、そういう反応のうすい姿をシレっと見せていくことで・・・
大竹氏
そりゃでもかなりの高等テクニックだねえ
壇蜜氏
そうなんですよ
そういうテクニックもあるよっていう、業務上必要な会話は最低限のリアクションでいいんじゃないかなって
大竹氏
聞こえないものは流しちゃうみたいなねえ、そういうことだと思うんだけど・・・、いや、ただそういうふうにいかない人もいるんだろうなあとオレは思うんだけど。
あのう、オレなんかね、「これはもう」というような何かがあったとするじゃないですか。何日か経つと、このこと考えるのやめたと、このことは考えてもしょうがないし、将来どっかから勝手に結論がやってくるだろうと、どっかこれやめて美しい女のヌードなんか頭の中に浮かべたり、おいしいカレーパン明日食べようかなとか、なんか明日食ってやろうとか、あそこ散歩するのもいいなとか、別のことに切り替えるっていうか、そういう手をたまに私は使うんですけど。
井上氏
めちゃくちゃいいですね、それは。
なかなか切り替えれない人が悩みやすいのは確かだと思うんですけども、こうやって対人の関係がある以上、さっき言ったようにストレスは絶対つきものだと思うので、自分なりに満たされるものっていうのを準備しておくっていうのはスゴイ大事なことでして
壇蜜氏
レスキュー・グッズですよね
井上氏
そうです、正に
大竹氏
それは、例えば好きな映画の鑑賞だとか、ゲームだとかでもいいんですか?
井上氏
でもいいです。
旅行に行くのもいいですし、自分の好きなもの何か一つ二つは皆さんあると思うので、そういったものをたくさん数を集めとく、質ではなくてですね。数をたくさん集め特っていうのはおススメしてます。
壇蜜氏
ストレス解消法100コっていうのがね、ご本にありましたよね。
大竹氏
ストレス解消法100コねえ。さっき言ったけど、この冒頭にはコンビニでケーキを買う、プリンを買う、これで二つ、って書いてありますけど、そういう小さなことでも、いくらでも重ねていって、ストレスを、これはお笑いでもなんでもいいんだけど・・・、ひとつずつそういうので、・・・まあオレのやり方みたいに、考えてもしょうがないからもうこれ放っとけと、忘れちまえというのでも・・・まあね、どうせまた、いくら忘れちまえっていってもまた夜になったりすると、またそれが頭の中に浮かんだりするんだけど、もう一回これを消すとか、そういうことやってますけど・・・。
井上氏
良いと思います。そうやって考えても仕方のないことというのをグルグル考えてる人ってすごい多いんですよね。
大竹氏
そうなんだよね。
考えても仕方のないことを考えちゃうんだよね。これはホントにやめた方が・・・
井上氏
はい、ホントにそうです。
壇蜜氏
行き詰っちゃいますもんね
大竹氏
オレの投げやりなやり方もそんなに間違ってはいなかったってことだ。
壇蜜氏
いやいや、これも正解の一つですから。
大竹氏
一つだけね、面倒くさい人とわかったらどうすればいいかって言ったらね、どうすればって相手は絶対に変われないんだからね、相手を変えようとか思っちゃだめですよね。そうじゃなくて、その方と距離をとるとか、ちょっとあれだねバナナの皮を投げてみるとかね、
壇蜜氏
攻撃じゃないですか。
そろそろお時間が来てしまいました。
井上智介 氏
産業医・精神科医。 島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。 その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。
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