食材費・光熱費の高騰に疲弊する幼保施設 月20万円の給食コスト増の試算に~不足分は食材の変更など独自に対策~
写真と食の力で子どもの幸せを創ることを目指す総合保育テックサービス「はいチーズ!」を提供する千株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 千葉伸明、以下 当社)は、保育園やこども園、幼稚園などの幼保施設325施設を対象に給食食材費に関する意識調査を実施しました。
昨今の新型コロナウイルス感染症、円安や緊迫する国際情勢など、様々な原因によって食材費や水道光熱費の価格高騰が起きています。そのあおりを受け、負担を強いられて倒産する企業が出てくるなどの問題も表出しています。当社は子どもへ食を届ける企業として、幼保施設の給食に関する実態を調査し、改善に繋げたいと今回の調査を実施いたしました。
今回の調査では、給食運営について悩んでいる点として食材費・光熱費高騰による給食費のコスト増を挙げた幼保施設は67.1%と、2位の「アレルギー食、宗教食への対応が複雑化している」(38.5%)を大きく上回り幼保施設の主要な悩みであることがわかりました。
また、1年前と比較した給食費の増加については1食平均約81円増加しており、定員120名の幼保施設で月20日給食を提供していると仮定した場合、月額約20万円のコスト増となっています。そして、保護者からの徴収や行政からの補助では不十分だと感じる幼保施設は78.9%に上り、幼保施設の実態と行政の支援には乖離が生まれているようです。
調査結果のトピックス
1.食材費・光熱費高騰によるコスト増について悩んでいる幼保施設 67.1%
2.1年前と比較した給食費の増加 1食平均81円
3.現在保護者からの徴収や行政からの補助でコスト増を補うに十分でないと感じる 78.9%
調査結果トピックス詳細
1.食材費・光熱費高騰によるコスト増について幼保施設が悩んでいる 67.1%
幼保施設に現在の給食運営に関する課題・悩みとして感じているものを聞いたところ、「食材費・光熱費高騰によるコスト増」が67.1%と、2位の「アレルギー食、宗教食への対応が複雑化している」(38.5%)を大きく上回り幼保施設の主要な懸念点となっていることがわかりました。
また、「調理職員・栄養士への処遇改善(給与水準)」(36.6%)も悩みとして多く挙げられ金銭面で特に課題を感じている中、「保護者からの徴収額を上げることは困難」「補助金も限られている」というコメントも目立ち、給食にかかるコストと予算の乖離が大きくなっていることが今回の調査から読み取れます。
2.1年前と比較した給食費の増加 1食平均81円
1年前の食材費と比べて、1食あたりどの程度コスト増となっているかを調査したところ、1食あたり平均で約81円のコスト増となっていることが明らかになりました。定員120名の幼保施設で月20日給食を提供していると仮定した場合、月20万円、年間約240万円のコスト増となります。
また、中には1食当たり500円以上もコストが増加したと答える幼保施設も全体の2.4%おり、給食にかかる幼保施設の負担は施設によっても様々と言えそうです。
3.現在保護者からの徴収や行政からの補助でコスト増を補うに十分でないと感じる 78.9%
1食あたりのコストは増加していますが、そのコスト増を補うのに、現状の保護者からの給食費徴収や行政からの補助については「あまり十分ではない」(51.9%)「十分ではない」(27.0%)と、78.9%の幼保施設が不十分だと感じています。
コスト増を補うための対応策・工夫として各施設「単価の安い食材に変更」(50.0%)、光熱費補助など、食材費以外での補助制度を使って相殺している(19.3%)、産地を変えた(15.7%)、使用する食材の数量を減らした(13.8%)、保護者からの実費徴収額を増額した(12.2%)、1食あたりの品数を減らした(2.0%)など、各施設で品数や使用食材を減らさないよう様々な努力は行っているものの、その一方で食材を減らしたり品数を減らしたりする幼保施設もありました。施設によっては、「(不足分は)施設が負担している」との回答もあり、光熱費補助などを使って相殺していることからもわかるように、幼保施設にとって財政的な負担となっていると言えそうです。
また、コスト増に対処するために乾物や缶詰などの加工品が多くなったり食材数が減ることによって彩りがなくなってしまい、子ども達の偏食や食への関心の薄れを心配する意見もありました。実際に13.8%の幼保施設は食材の数量を減らしており、給食・食育に関して、国や自治体に検討して欲しい課題として、給食費の「完全無償化」やスピード感のある対応を求める声がアンケートでも目立ちました。
■調査概要
・調査方法 :はいチーズ!利用幼保施設へのWEBアンケート調査
・調査対象者:保育園、こども園、幼稚園などの保育施設325施設
・調査実施日:2023年9月28日~2023年10月10日
【「はいチーズ!」 とは】
「はいチーズ!(https://sencorp.co.jp/service)」は『こどもにピース』をモットーに、保育園・幼稚園など子どもを預かる団体や保護者とともに子どもの幸せを育むことを目指す、総合保育テックサービスです。
運動会や発表会など季節行事の写真撮影から販売、問い合わせ対応まで、トータルでサポートする写真に特化したインターネット写真販売「はいチーズ!フォト」をはじめ、保育ICT「はいチーズ!システム」、アルバム制作「はいチーズ!アルバム」、動画配信「はいチーズ!ムービー」で子どもの記憶や記録を残し、給食・食育サービス「はいチーズ!ベジ」では子どもの健やかな成長を支援します。未来ある子どもたちの人生がより豊かで幸せに溢れたものになるように、心と身体の両面へアプローチするサービスを提供しています。
【「はいチーズ!ベジ」とは】
全国12,000以上の団体に向けて総合保育テックサービスを展開する「はいチーズ!」と、農家と強いネットワークを持つ給食食育サービス「ベジリンク」が提供する、Eat & Educationを軸とした給食食材配達&食育サービスです。子どもたちが安心安全に食を口にできるように、農家と品目や生産量などを連携してこだわりを持った食材を保育園へお届けします。「生産者の顔が見える」ことを大切にしており、生産者が野菜の紹介をする「農家通信」を定期的に発行したり、直接生産者と顔を合わせる機会として収穫体験ができるツアーを行ったりしています。また、保育士や栄養士など給食に関わる職員の負担軽減と子ども向け食育活動の充実を目的に、無料の食育出前授業や食に関する配信物の提供、更には収穫体験など農家さんとの交流をデザインしています。幼保施設に通う子どもたちにとって、農家や野菜がより身近なものとなり、自分自身を形成する「食」に少しでも興味を抱くような活動を行っています。