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発達障がいの園児を「進級させるべきじゃない」と言う保育士

今日はかなり腹の立つ出来事がありました。

今年度1歳児クラスの園児で、1歳半健診で発達障がいと診断されているお子さんがいます。

今は満2歳を過ぎていますが一語も発語なく、目も合いにくく、癇癪を起こして泣くこともあります。発達障がいと言われればそうなのかもしれませんが、職員配置や対応を色々と工夫しながら日々の保育に取り組んでいます。

週に一度発達支援センターに通っていますが、来年度もうちの保育園に通いたいとの親御さんの要望もあり、進級が決まっています。

それにも関わらず、認可保育園の来年度申し込みなどとっくに終わった12月に、担任ではない保育士が急に
「この子は進級するのは無理だと思う」
「障がい児枠のある認可保育園に移るよう保護者を説得するべきだ」
「その方がこの子のためになる」

と言い出しました。

なぜ急にそんなことを言い出したのか、これは推測に過ぎませんが、何日かその子の癇癪がひどく、職員が長時間かかりきりになることが続きました。
おそらくそのことが業務的に負担で、「なぜこんなに大変な思いをしないといけないのか」という気持ちがあったのではないでしょうか。

人間の心情としては理解できますが、だからといって手がかかる子を「進級させるべきでない」というのは、保育士の職業倫理の観点から言うと非常に短絡的で、言語道断です。

そもそも、保育所は園児を選んでいいのでしょうか?子ども・子育て支援法の中では下記のように記されています。

第三十三条
特定教育・保育施設の設置者は、教育・保育給付認定保護者から利用の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

子ども・子育て支援法

この場合の「正当な理由」については、子ども家庭庁のガイドラインは下記の通り規定しています。

①定員に空きがない場合
②定員を上回る利用の申し込みがあった場合③その他特別な事情がある場合

この③その他特別な事情については、子ども家庭庁の事業者向けQ&Aに事例の記載がありました。

「その他特別な事情がある場合」については、今後、 
・特別な支援が必要な子どもの状況と施設・事業の受入れ能力・体制との関係 
・利用者負担の滞納との関係
・設置者・事業者による通園標準地域の設定との関係 ・保護者とのトラブルとの関係
などについて、慎重に整理したうえで、その運用上の取扱いについて示していく。

子ども家庭庁Q&A

発達障がいや医療ケア児など、特別な支援が必要な子どもについて、「子どもの状況と施設・事業の受入れ能力・体制との関係 」について慎重に整理したうえで運用方法を示す、とあり、ただ発達障がいのある子どもの保育が大変だからといって拒めるという根拠はありません。

私が強く違和感を感じたのは、この保育士が「(進級は)この子のためにならない」と強調したことです。
市内に障がい児を受け入れる認可園はありますが、その受け入れ枠や人員配置はおろか、どの園が受け入れているかも開示はされていません。

他の選択肢の情報収集もせず、現状の保育の見直しもせず、保護者の方への情報提供と意思決定の期間も考慮せず、ただ数日癇癪が続いて大変だからというだけで12月に進級させるべきでないと言い出し、あげく「子どものため」と正当化しようとする。

以前読んだ本に「人間の知能の大半は自己正当化に用いられる」とありましたが、(確か橘玲さんの本だったかと思います)全くその通りだと感じた出来事でした。

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