第25回 「倉橋惣三に学ぶ|生活態度による分団の組合せ」
『幼稚園真諦|倉橋惣三 著』
読むたびにあふれる気づきや学びを書き留めていきたいと思います。
この本は、昭和8年(1933年)夏の
「日本幼稚園協会保育講習会における講演の筆記」となっています。
実践からきている内容であることを踏まえると、およそ100年前の状況を見ることができると言えるのですが、知らずに読んだとしたら、現代に書かれたものだと思うほどに時を越えて響く内容です。
第25回は、
分団のとらえ方が
ポイントとなります。
第3編-5「生活態度による分団の組合せ」
保育の事項だけ見ていれば、前回の「個の時間割」だけでいいが、個はおのずとグループ(分団)になっていくことも考えていく必要があると。
自然とグループが起こっていくのだが、幼児の場合、任せていおけないこともあり、保育者が注意していなければならないと倉橋は言います。
では、それは何を標準にして注意すればいいのか。
複数の子どもがいて生活する以上、管理上の組合せがやむを得ない場合もあると。
しかし、個から自然とグループが起こっていくときに、何に取り組むかだけでなく、子どもの「生活態度」の一致からも出てくるものだということを保育者はしっかり理解しておく必要があります。
生活は、していることの種類よりも態度によって生きていくのですから、ただしときとしてはわざと生活態度の異ったものを混じて、それによって保育効果を増進しようとすることもありましょう。(P118-119)
ただし、分団の固定化は避けた方がいいと倉橋は続けます。
子どもたちが自分たちで自然と分団を作るといった、流動的な自然性をできるだけ備えることが大切だということです。
つまり分団の社会生活的自然味を生かして、方法的作為味をあまりあらわしたくないのです。(P119)
おわりに
方法的作為味は、保育者側が満足感や有能感を味わいやすいため、知らず知らずにそこに陥っていないかを常に確認する姿勢が、全ての保育現場、全保育者に必要だと言えるでしょう。
ー第26回に続くー
倉橋 惣三|くらはし そうぞう
1882年(明治15年) - 1955年(昭和30年)
静岡で生まれ小学生のときに上京。
フレーベルに影響を受け、日本の保育や幼児教育の礎を築いた人物。
日本での“幼児教育の父”、“日本のフレーベル”と呼ばれている。
食べることが好きで、幼稚園真諦の本文中に出てくる例えでは、「食事」が用いられることが多い。
享年72歳。
[参考文献]
・倉橋惣三 「幼稚園真諦」(フレーベル館・1976年初版発行)