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#68 子どもたちとの対話的な振り返り

中学生が職場体験に来てくれるときに、数日でも子どもと生活をともにする「保育者」の1人になるため、事前の打合せを丁寧に行います。

伝える内容のひとつに以下の項目があります。


「やばい」「きもい」「だるい」「マジ」などの言葉を使わないようにする
その言葉の「中身」で表現するように心がけてください。子どものロールモデルになるような態度や振る舞いを意識してみましょう。


例えば、「やばい」と言おうとしたとき、自分はどんなことを「やばい」と感じたのか。

「やばい」になる前の気持ちや感覚を言葉にしてみるということです。

  • 子どもの発想に驚いて「やばい」と感じたのか。

  • 優しさに触れて感動して「やばい」が出たのか。

  • どうしていいかわからずに戸惑って「やばい」と思ったのか。

癖のような、いろんな気持ちや感情をひとまとめにするような、便利だけど大事なことをぼやかすような言葉。

ふだんのコミュニケーションよりも少し丁寧にしてみる。
子どもの育ちにとって大事なことはもちろんですが、意識している自分にとっても、新たな自分との出会いが生まれることもあるのです。

「楽しい」の中身だって、ハイな盛り上がりを楽しいと感じるときもあれば、静かで穏やかな時間に楽しさを味わうこともあるでしょうし、同じことをしていて楽しいと感じていてもその中身は、それぞれに違いがあるはずです。

ひとつの言葉の厚みや深さには、このマガジンでも#61で書きました。

そして「対話の技法」という本のなかでは、言葉の豊かさの大事さについてこのように記されていました。

言葉の豊かさが感情の豊かさと連動すること、反対に、言葉が貧困になると感情をコントロールできなくなることです。
語彙やニュアンスが貧しいと、自然と語句や語気が強くなります。つまり、自分の言いたいことを丁寧に発信できないと、言葉以外の部分で相手に圧力をかけざるを得なくなります。

「対話の技法」(納富信留|笠間書院)p97

そして、こう続くのです。

まさか腕力で威嚇するわけにはいきませんので、強硬で荒っぽい言葉を使うのです。「断固」とか「けっして」とか「絶対に」とか言うのは、そんな事態の兆候です。

「対話の技法」(納富信留|笠間書院)p97

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私にとっての「保育」という存在にも向き合っていきたい。子どもにとっての「保育」も、保護者や社会にとっての「保育」も考えていきたい。その営み…

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