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保育観を見直すときに読む本3選。

読めば読むほど、味わい深くなる。

積読しがちなのは読みたい本が多いからだという言い訳で自分を納得させながら、本屋に立ち寄るとつい買って帰ってしまうのです。

そんな私でも繰り返し読む本は数冊ありまして、その中でも自分の保育観のズレを確かめる上で大切にしている3冊を紹介します。


① 幼稚園真諦|倉橋 惣三著(フレーベル館)

学生時代に、バイト先の先輩(前職が幼稚園教諭)からいただいた一冊です。

珠玉の言葉が続くなかで、保育の変革は「懐かしい未来」へと向かっていくことを実感します。

現代の保育現場での悩みの多くは幼稚園真諦を読むことでヒントが得られるのではないでしょうか。

自由と放任の違い、画一的な教育への批判等、子ども主体の幼児教育とは何か。

初版は1976年。「序」が書かれたのは昭和9年(1934年)。

80年以上前に書かれたことから始まりますが、いつ読んでも新鮮なメッセージを受けます。

生活を生活で生活へ

こちらのマガジンで『幼稚園真諦』に沿ったnoteを書いています。

キーワード
#生活へ教育を #先生のあり方

② 幼児期ー子どもは世界をどうつかむかー|岡本 夏木著(岩波書店)

「しつけ」について考えるとき、必ずこの本を読み返します。

また、日に日に生活が便利になっていく一方で、五感を刺激する機会が減り、身体的経験が奪われる生活様式では、感覚や感性が磨かれにくくなることへの理解が深まりました。

内容は、発達心理学の立場から
・しつけ
・遊び
・表現
・言葉
の4つについて書かれています。

“幼児期において子どもが「世界」を「人間」を、そして「自分自身」をどうつかみ、それらをどういうものとして意味づけるか、それは、子どもがその後の自分の生き方の基礎をどうつかむかの問題に他なりません。”
ー序章より

「保育」を含め、幼児期を生きる子どもを支える原理の探究は深められていないという現状を本書を読み進めていくと痛感します。

この探究を深めていく上で5つの観点が示されていました。

1.教育や保育的働きを受ける「子どもの側」から見直すこと
2.それぞれの子どもを一人の全体としてとらえること
3.子どもをわれわれ大人とともに生活を実現している「生の共同者」として見ること
4.現在の文化的・社会的環境のもつ性質を、それが何を子どもに及ぼすのかという視点からとらえること
5.学校教育での問題を小学校期や中学校期に閉じ込めず、保育を含めた長いライフスパンの中で考えること。

しつけや遊びってそもそもなんだろう?

踏み込んで考えたい方におすすめの一冊です。

キーワード
#幼児期の空洞化 #しつけ論の貧困

③ 子どもの心はどう育つのか|佐々木 正美著(ポプラ社)

児童精神科医の佐々木正美先生による著書に出会ってから読み漁る時期がありましたが、今回は我が家にあるなかで最も最近に出版された(2019年10月)こちらの一冊を紹介します。

私たち保育者は、目の前にいる子どもたちの人生においてどういった部分と向き合っているのか、大きい枠でとらえることも必要だと思っています。

エリクソンのライフサイクル論を佐々木先生がわかりやすく展開しており、保育者の視点から言うと、自分の保育を客観視することができる内容になっています。

心理学は、「ないものがもしあるとしたら」を扱う学問ですが、愛とはなんだろう?の探究を深めることにつながるのではないかと感じました。

心の成長にも目安があります。

見えないものを見ようとする感性を磨く一冊にもなるのではないでしょうか。

キーワード
#ライフサイクル論 #その子らしさ

おわりに

三冊とも共通しているのは、私にとっては偉大な存在で、著書から感謝を尽くしても足りないほどの学びを得ていますが、三者ともどこまでも謙虚で、自分の専門性の課題や非力さ、不完全な部分を伝えているところです。

その姿勢にも尊敬の念に堪えません。

今回紹介した本をすでに読んでいる方、これから読んでみようという方のご意見やご感想を聞かせていただけると嬉しいです。

また皆さんのおすすめの一冊があればぜひ教えてください。

読書の春を一緒に楽しみましょう。

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