芸能マネージャーがひょんなことから統一教会とつながった①
安部首相が亡くなり、久しぶりに統一教会の名前を耳にした。
私は無宗教で、身内にも統一教会の信者はいない。
だけど、ひょんなことから統一教会に足を踏み入れかけたことがある。
仕事や子育てで忙しくて思い出すこともなかったけど
久しぶりに思い出したので、ここに記録として残しておこうと思う。
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それは15年ほど前のこと。
仕事中にも関わらず、私は都内某所をあてどもなく歩いていた。
その日の現場は、担当するタレントが寝坊して収録直前に現場に入るという大失態があり、謝罪ばかりしていたせいか神経が磨り減ってヘロヘロだった。
なんとか現場を終えタレントとは別れたものの、他の仕事が山積みだった。
ヘアメイク手配、請求書発行、ホームページの更新、雑誌の写真チェック、インタビュー記事の校正…
今のようにモバイルPCもなく、オフィスでのデスク作業が必要な時代。
事務所に戻らなくてはならないのに、連日の現場立ち合いで疲れ切り、
あてどなくボーっとしながら歩いていたときのこと。
すれ違った人に突然声を掛けられた。
「あのう、突然すいません、芸能関係の方ですよね?」
確かこんな言葉だったと思う。
声を掛けてきたのは、真面目そうな目の澄んだスーツ姿の男性だった。
いかにも私は芸能プロダクションに勤めるマネージャー。
だけど、タレントならともかく、なぜ裏方である私が「芸能の仕事をしている」と分かったのだろうか?
不思議に思って立ち止まると、その男性は続けざまに
「芸能関係の方で・・・弟さんがいらっしゃいませんか?」
ビンゴ。
弟がいるなんて、出鱈目言っても何分の一かの確率で当たりそうだけど
芸能関係の仕事なんて、なかなか当てられるものじゃない。
その二つを同時に当てるとは、この人は何者なのだろうか?
なんだか不思議な経験になりそうで、妙に気分が高揚したのを覚えている。
「すれ違った瞬間に見て分かりました。手相を見せて貰えば、もっとあなたの事がわかると思うんですが」
そんなことを言われた。
その頃、地元の駅周辺で、おばさんたちから「手相を見せて」と声を掛けられることが多かったけど、なんとなく怪しい雰囲気を感じて、その人たちの事は無視していた。
それなのに。
渋谷で声をかけてきたその男性に、いきなり「芸能の仕事と弟」を当てられ、この人の手相占いは当たるのではないか、と俄然興味が湧いた。
「無料というわけではないんですけど、三千円で手相占いをやっています」
手相占いで三千円なら妥当な感じだし、何より占いは嫌いじゃない。
後日オフィスで占ってくれるといい、日程を決めてその日は別れた。
芸能という仕事柄なのか、占いにハマっている人がまわりに多く、同僚や編集者の人からの紹介で「一言さんは占わない」という人に占ってもらったことが何度かあった。
「一言さんお断り」の占い師の人を紹介してもらうのは「自分がちょっと特殊な環境にいるから」なんて特別感があって嬉しく、誘われると占ってもらっていた。
もしかしたら、私も「めちゃあたる占い師」を見つけたのかもしれない!
いつも誘ってもらうばかりだったけど、私も周りに紹介できるような人を見つけたのかも!
事務所に戻ってから同僚に「すごいことがあった!」と興奮して話したのを覚えている。
その日からしばらくして、予約した日時に指定された場所に足を運んだ。
すごく忙しい時期だったのに、その日だけ偶然にもスケジュールが空いたことも「素敵な偶然」な気がしたのを覚えている。