金剛の滝~今熊山。撮影ハイキングのつもりが秘境アドベンチャーになった件
「暗さに宿る美しさ」のようなものが気になる今日この頃。思いつきで地図を調べて近場の滝に出かけてきたけど、思いのほかアドベンチャーだった件です。
薄暗がりの中に光が差す感じとか、ちょっと神秘的・ミステリアスな雰囲気の写真が撮りたくて・・・「そうだ、滝に行こう」と思いつき、奥多摩方面の地図を眺めたところ目に飛び込んできた「金剛の滝」。アクセス方法も難しくなく、情報が少なめなので人気もなさそう。
ということでやってきました、広徳寺(廣徳寺)。ここをスタートに設定して、左手の小道から登っていきます。
ちょっと進むとすぐに、害獣除けの高圧電流トラップがあり、いったん引き返す。しばらく逡巡した後、意を決して電流トラップを跨いで山に入ることに。(動揺して写真は撮り忘れました)
綺麗なアザミ。
心の余裕があるかに見せかけ、超えてはいけない一線を越えているかもしれない不安を胸に抱きつつ、足を進めます。
紅葉シーズンにはまだ早く、一部の葉が色づきはじめたころ。
この辺は例の古めのズームレンズで撮ってます。
お寺を出て0.3kmほどで、すっかり山の中。案内板はあるので安心です。
そうそう。こういう雰囲気。森っぽさ。悪くない。Sonyのミラーレスっぽい。Nikonだけど。
暗い中に赤い実は映えます。
細い道をふさぐ倒木があったりして、アドベンチャー気分が増してきます。
子供も連れているのでここまで40分ぐらい。あと、20~30分ぐらいで到着かな。と思って安心するじゃないですか。
え!
クマ出るんだ。
なんか、一般的なクマ出没注意の看板より説得力がある。
というか、ここ東京ですよね?
狭くて急な斜面を降りていきます。鎖につかまらないと不安な足元です。
このへんで、三脚を肩にぶら下げていることを後悔し始めます。
あと、0.4km。なんとかなるでしょ。
苔だかなんだかわからない緑色の物体。そして暗い。全体的に湿ったじっとりとした空気に包まれ、秘境感が20%増しです。
道順は合っているらしい。落石注意ね、確かにゴロゴロしている。
この苔むした感じ。おどろおどろしさの演出に一役買っております。
ハーフマクロが威力を発揮して、もののけの森に迷い込んだような気分にもなる。
そして、
お!あれか?
見えました。切り立った崖の谷間に一筋の滝。ちなみにここまで人に出会っていない。ここから広角ズームにレンズチェンジ。
崖の迫力はなかなか圧倒的ですが、それに比して、
滝、小さ!
これだけだとさすがにがっかりですが、これは、雌滝と呼ばれる金剛の滝の一部だそうで、右わきの洞窟を登っていくとお目当てのものがあるそうです。
知らなければ、ここで引き返すでしょう。野生のカンが危険と言っている。アドベンチャーどころか、アスレチックの要素まで足されています。
足元はちょろちょろと水が流れ、見るからに滑りそう。リュックとカメラと三脚を担いでくぐれるんだろうか?幸いにも自分はカメラはぶつけずに通れたけど、カメラはリュックにしまってから進むことを強くお勧めします。
実はここでようやく一人の青年と出会い、道を譲って先に登ってもらいました。
でた~。これが金剛の滝(雄滝)!
この隠されたお宝っぽさがすばらしい。秘境ボーナスポイントゲットです。そして左手中央付近にあるのが金剛様です。
落差は約18m(八王子市ホームページより)、金剛様は不動明王とのことです。
水は澄んでいてとてもきれいです。
夏場なら滝つぼに飛び込みたいところですが、きっと夏は虫がすごいんだろうな。。。
滝の撮影といえば長秒露光ということで、水の中に三脚を立てて(このために担いできたのだ)やってみました。可変NDを持っていたけど、付ける余裕がなくて、ISO64で1.3秒(F25)行けたので、水面も糸引きもそれなりにはなりました。
行きはよいよい、帰りは怖い。次男はまんまと滑って、しりもちをついていました。普通のスニーカーでは危険かもしれません。
滝を撮って帰るぐらいの予定だったけど、まだ9時台。森と滝のマイナスイオンでバイタリティをチャージして24時間戦える感じがするので、山に登ってみることにしました。(いや、ほんと自然相手に無計画はダメですよ)
愛の力があるからって、こういうこともしちゃだめですよね。森の精霊がトイレの中まで追いかけてきます。
そして、こんなところにも境界標。東京都の仕事量の多さが感じられます。
結構登ったところで、休憩所があったので一服。
ん?「いよいよ、これから登りです。」と。
いままでのは、違うの?道は狭く斜度もあり、結構頑張ったはずだけど。
岩場や急な上り坂が続き、ようやくカメラを構えられてこんな道。息が上がって、マスクを着けていられない状態。
山頂が近づいてきた予感がするも、両側が崖の道もあったり。なかなか、ハードです。あとで調べたら、700mぐらいの区間の間に200mを登るという斜度にして16度弱(勾配28.5%)という値。低山といえど、こんなにハードな山があろうとは。
ほうほうの体で山頂にたどり着き、お社に到着。この質素な感じが山の厳しさを物語っているよう。
今熊山。標高505m。高尾山より低いとか、侮っていてすみません。
東京タワーを階段で登るのってこんな感じかしら。。。
お弁当を食べて、お稲荷さんにお参りして、下山します。
来た道を戻るのは精神的にもしんどいので、反対側に降りることに。(この辺も無計画)
でも、その反対側は「表参道」とのことで、道幅は広く歩きやすい。登山客ともすれ違う。
「なんだ、こっちの道で来るべきだったんだ」なんて、話ながら下っていきます。ところどころ崖を下るような場面もありますが、アスレチック気分でいけます。なにしろ、表参道だけあって明るい。
整然と植林された木々の青さが目に心地よいです。
今熊山の麓に下ると今熊神社があります。
神社の由緒を記す碑があったので、補正で読みやすくしてみました。「當社は縁起久遠にして詳ならずも」としつつ、「紀州熊野本宮大社を」とあるので、熊野神社に縁起があるようです。
「その後~」のくだりにはこの山が「呼ばわり山(行方不明者を呼び戻す)」になるに至ったあたりが書かれています。
神社から舗装道路に出て、ほっとするのもつかの間、山を反対側に降りてしまったわけで、さてどうしたものか?
そして誰も通りかからないし。ひょっとしてキツネかタヌキに化かされてるのか?
あれはなんだ!
コアラでした。
これ、なんの乗り物でしょう?セグウェイ?ナウいな。
一応、電波はきてるのでGoogle先生にお尋ねして、広徳寺に戻る道を探します。舗装路をしばらく進むと、分岐があり東京電力の変電所の脇を通るルートを選択します。
イチョウが色づいていて綺麗。胃腸の調子も悪くありません。先週、ポリープ取ったばかりだけど。
その辺の都市郊外にある変電所とは様相が違います。何から何までデカい。
縮尺を間違えたミニチュアセットのようです。
なんとなく、ウルトラマンシリーズ(特にウルトラセブン)の世界観を彷彿とします。
「ヴぃ~ん」と低めのベースノイズが聞こえ続けるので、人体に影響がないのか気になります。きっと山奥にしか作れない設備なんでしょうけど、こういう設備のおかげで日々の電力が安定的に供給されてるんですね。
そして、再び山の中へ戻ります。
在宅勤務と行動制限のおかげですっかり体力が落ちているのか、膝が笑ってます。
行きに見かけた倒木を見つけて、帰ってきた実感が。
そして、広徳寺に到着。4時間ほどの行程でしたが、疲れどっとこむです。
とてもいい被写体なんですが、気合が入らない。
絵をかいてる人が結構います。人がいる安心感ってすごい。
この苔むした(というか上に向かって生えてる植物なんでしょうね?)萱ぶき屋根とか、もっとじっくり撮影したかったけど、同行したマイファミリーの早く帰りたいコールでそそくさと引き上げるのでした。長いものには巻かれて生きていくのです。
秋の広徳寺。それだけを撮影に来るのもいいかもしれない。
そういえば、滝の撮影の際にメモリーカードがトラブって珍しくエラーが発生。長男のサブ機で乗り切るも、カミさんのスマホカメラでもエラーが発生。
しかしてうちに帰ってきたらちゃんと撮れてる。
何がおきていたやら…