[このアルバムがすごい!]銀杏BOYZ/ねえみんな大好きだよ
2020年10月21日発売の銀杏BOYZのアルバム「ねえみんな大好きだよ」をレビュー!といってもこの記事を書いているのは2020年も終わり間際の12月30日ですが。
おそらく今年一番聴いたアルバムなので思い入れがありすぎてなかなか書けなかったのですがなんとか年内に間に合いました。
僕は音楽的なこととか専門的なことは全然わからないし書けないので「僕はここにグッときました!あなたはどう?」という超主観的な感想になります。評論じゃなくて初めて聴いた時の気持ちの備忘録も兼ねた感想です。
他のアーティストの話がめっちゃ出てくるし、僕の個人的で些細な思い出話しとか思い込みなど、この記事を読んでくれた方は誰一人興味がないであろう話も積極的に盛り込んで行きますよ!
なんせ銀杏BOYZのアルバムですから。それは仕方ないことなのです。
この作品は2014年の前作『光の中に立っていてね』から約6年半ぶりの4thアルバム。アビちゃん、チン君、村井君のオリジナルメンバーが脱退してボーカルの峯田さんひとりになった後サポートメンバーを迎えて活動してきた新生銀杏BOYZとしては1枚目のアルバム。そう、これは手触りとして1stアルバムなんですよね。もちろんこれまでの銀杏BOYZと地続きなんですけど、新しい出発点でもあると思います。
いきなり強烈なノイズから開幕する本作ですが、アルバム全体を通して聴くとめちゃくちゃロマンチックな作品でした。
そして今回のアルバムを聴いてまず思ったのは峯田さんの「好き」が詰まったアルバムだな〜ということです。パンクやハードコア、歌謡曲、ビートルズ、映画、女の子、友達など今までも作品やインタビューで好きなものはたくさん表現されてはいましたけど、今作ではより正直に、ストレートに音楽でそれが表現されているような気がします。歌詞の中に色々なバンド名や映画の引用が出てくるのもグッとくる注目ポイントです。すごく映画的なアルバム。
収録曲はこちらの11曲。
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス
ではでは早速1曲ずつレビューを!・・・と言いたいところですが、まずご注意を。
この先リンクを貼っている動画は大体非常にうるさいので(うるさくなかったらボリュームを上げて欲しいので)、再生する時はイヤホンとかヘッドホンをしないとまわりの人がパニックになっちゃうので要注意。
そしてひとりの部屋でこっそり読んで、こっそり聴いてください。
というかまだアルバムを聴いてない方は僕の文章なんか読まないでぜひアルバムを先に聴いてほしいです。
今すぐCDショップにGO! もしくは通販でGO!
・・・さてさて、アルバムは聴きましたか?アルバムをじっくり聴いてから「仕方ない、なんか書いてる奴がいたから暇つぶしに読んでやっか」という方だけぜひこの後長々続く取り留めのない文章を読んでみてください。銀杏BOYZよりも他のバンドの話しが多いかもしれないですけど、そこも個人的にこのアルバムを好きになったポイントなのです。
「銀杏BOYZの話し以外聞きたくない!」っていう方は退屈かもしれないので無理しないで欲しいですが、銀杏BOYZを含めたロックの世界が好きな人は楽しめるかもしれません。そしてロックに夢中になってしまったら、あなたはもう帰れない。(怪奇心霊現象のナレーション風に。下の動画がそれ)
このシリーズしょぼくてシュールで好きなんですよね。
低評価ばっかりだし。笑
今度特集しようかな。
そんなことより銀杏BOYZのアルバムを紹介します!Hey! Ho! Let's! Go!
【01.DO YOU LIKE ME】
※ノイズが凄まじいのと気まずいMVなのでイヤホンをしてこっそり再生がおすすめ!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ノイズってきもちーね、カオスって綺麗だね」を体現するような強烈なノイズから始まる今作の1曲目。峯田さんが監督したMVが常軌を逸しててすごい。
MVが強烈なので個人的にはこの曲は先にアルバムで聴いた方が良い気もします。あ、もう遅かったらごめんなさい。
音楽体験的にハードコアパンクを通ってきていない今のメンバーとハードコアパンクをやりたかったという峯田さんの言葉からもわかるように音楽的にはある種の原点回帰もしつつ、今の銀杏BOYZにしか出来ない独特なハードコアパンクになっています。
過剰なノイズが際立っているのですが、途中からメロディアスな瞬間もあったり「DO! YOU! LIKE! ME!」「I! PRAY! FOR! YOU!」と歌われるあたりはラモーンズの「Hey! Ho! Let's! Go! 」というパンクロックを象徴するフレーズを思い起こさせます。
これは意識してオマージュしてる気がしますけど、峯田さんは「RAMONESで泣いちゃうからね」って言うくらいラモーンズに思い入れがあるので自然とラモーンズ感が出てきた可能性もありますね。
「I LOVE YOUが言えないや」「I MISS YOU 息できないや」「サッドボーイはライオットガールに出会う」みたいな初期銀杏BOYZが歌っていた思春期を思わせる歌詞もありつつ「光と闇は今共に」「愛は澱み続ける 永久に」といった「光の中に立っていてね」以降の峯田さんらしい歌詞が混在しているあたりは30代、40代と年齢を重ねても心の何処かに生き続ける10代の自分みたいなものが感じられて個人的には非常に好きです。
「夢のままじゃ遠すぎて 小指と小指が届かない」の切なさたるや。
手と手じゃないんですよね。小指と小指。
曲はハードコアパンクなんだけどそこにいるのはシャイで「I LOVE YOUが言えない」少年なんだよなあ。
「DO YOU LIKE ME?」じゃなくてクエスチョンマークがない「DO YOU LIKE ME」になっているのも返事を期待した問いかけじゃなくて、ひとりぼっちの叫びな感じがして切なさともどかしさを加速させている気がします。
とりあえず久しぶりに銀杏BOYZを聴いた人や初めて銀杏BOYZを聴く人はこの曲が合わなくても、これだけで判断しないでアルバム通して1曲目から最後まで聴いて欲しいです。
それでも合わなかったらごめんなさいします。
【02.SKOOL PILL】
「DO YOU LIKE ME」に続いて銀杏BOYZ的ハードコアパンクな1曲。峯田さんがインタビューで「ハードコアパンクは初恋みたいなもの」と言っていたように、この曲では図書館で太宰を借りて、森くんがミカに告って、はじめてブルーハーツを聴いてという感じで少年時代の峯田さん自身の気持ちが歌われています。
森くんは高校 2年生の時に峯田さんに日本のパンクやハードコアを教えてくれて、はじめて一緒にバンドをやった友達だそうです。
あと個人的には銀杏BOYZの歌詞に「ブルーハーツ」が出てきたのがちょっと意外でした。峯田さんがブルーハーツやヒロトとマーシーが大好きなのはもちろん有名ですし、ゴイステ時代からもわかるように音楽的にも大きく影響を受けていますけど直接的に曲の中に「ブルーハーツ」が出てきたのは初めてですよね。たぶん。
最近のインタビューでは以前よりもブルーハーツの名前が出てくる気もするし、光の中に立っていてね以降は曲の中に自分が好きなものをストレートに出すようになってきた印象があります。
「かなしいあの子の裏の顔を知ってるのはクラスで僕だけ」という歌詞は「援助交際」や「SKOOL KILL」などに感じる切なさと後ろめたい喜びのようなものを思い出させます。この曲は「きもちいい透きとおったあの空に選ばれたのはなんで僕だけ」と言う歌詞で終わるように切なさと痛みとともに思い出される懐かしい過去のイメージが何とも言えない余韻を残します。
個人的には峯田さんがこのアルバムの最初の2曲でハードコアパンクをやるということに昨年の12月に亡くなった遠藤ミチロウさんへの想いも何と無く感じました。
2020年8月に無観客配信でやったスマホライブでもイノマーさん、おばあちゃんと一緒にミチロウさんの名前を上げていましたし。
ミチロウさんは80年代のハードコアパンクバンドTHE STALINのボーカルで福島出身。大学時代は峯田さんが出身の山形に住んでいました。峯田さんが2010年のトリビュートアルバム『ロマンチスト〜THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album〜』に参加したり、ライブで共演したりして親交もあったり。
初期スターリンでのミチロウさんはステージでの破天荒なライブパフォーマンスで有名だったのですが、ステージを降りるととてもシャイで大人しい方だったそうです。
2016年の峯田さんとミチロウさんの対談がとっても良かったのでリンク貼っておきます。
THE STALINの代表曲「ロマンチスト」は個人的には日本のパンク史に残る名曲だと思っていますがここで歌われる「吐き気がするほどロマンチックだぜ」っていう歌詞は本当にすごいと思います。「吐き気がするほどロマンチック」ってまるで銀杏BOYZそのものみたいですよね。初期銀杏BOYZ の狂気的なライブは80年代のハードコアパンクを思い起こさせる感じもあります。
峯田さんが初めてミチロウさんの音楽を聴いたのはスターリンではなくミチロウさんのソロだったらしいのですが、トリビュートアルバムでもソロの曲である「Just Like a Boy」をカバーしています。峯田さんが描くアコースティックな曲にも通じる雰囲気があるかも。
自分の音楽的な初期衝動を思いっきりぶつけた2曲でこのアルバムは開幕します。
【03.大人全滅】
太宰にブルーハーツ、ハードコアパンクに森くん。
峯田さんの原点を感じさせた「SKOOL PILL」の後にくるのが「大人全滅」というこの曲順にもすごく物語性を感じます。
この曲は GOING STEADYの1stアルバム『BOYS&GIRLS』の記念すべき1曲目「DON'T TRUST OVER THIRTY」をリメイクしたものです。このアルバムはハイスタやブルーハーツの影響をストレートに受けたアルバムで、峯田さんのキャリアでも一番メロコアとかパンクっぽいアルバムです。「DON'T TRUST OVER THIRTY」はこちら。
これもカッコいいですね。
この「DON'T TRUST OVER THIRTY」という言葉。「30歳以上は信じるな」はベトナム反戦運動やヒッピーなどのカウンターカルチャーが盛んだった1960年代のアメリカの若者が掲げたスローガンで、ボブディランも引用したりとロックの世界では度々引用されるフレーズです。
ただ、この言葉はいつか自分も年齢を重ねて30代を過ぎた時にどう向き合うのかという課題も内包しているので若い頃に「若者vs大人」という視点から歌ったミュージシャンが年齢を重ねて「大人になった自分」とどう向き合うのかも見所だったりします。
例えばブルーハーツのヒロトさんは結成した1985年に発表した「1985」という曲でこんなふうに歌っていました。
"僕たちを縛りつけて
独りぼっちにさせようとした
全ての大人に感謝します
1985年日本代表ブルーハーツ"
この曲はブルーハーツを結成した年に書かれていて、これを書いた時ヒロトさんは22歳。「DON'T TRUST OVER THIRTY」が収録された『BOYS&GIRLS』が発表された時の峯田さんの年齢も22歳です。
その後ヒロトさんはブルーハーツ解散後のハイロウズで「Too Late To Die 」という曲を書いて年老いて大人になっていく自分を「死ぬにはもう遅すぎる」人間として生きて老いていくことを受け入れていきます。そしてクロマニヨンズを結成してからは「20歳超えたらあとはずっと余生だから何も背負わずに好きなことをして生きればいい。」と言い切ってさらに自由に活動をしています。
「20歳超えたらあとはずっと余生」はドレスコーズの志磨さんとの対談でもハッキリと言っていましたね。この対談も良かったのでリンク貼っておきます。
そういえばドレスコーズもボーカルの志磨さん以外のメンバーが全員脱退してひとりになって活動しています。銀杏BOYZが峯田さんひとりになってから少ししてからのことだったので志磨さんが峯田さんに言及していたような気が。
「DON'T TRUST OVER THIRTY」を死ぬまで体現するには20代で生きるのをやめるしかなくて、実際にロックの世界では20代で亡くなる著名なミュージシャンがたくさんいました。23歳で亡くなったシドヴィシャスや27歳で亡くなったブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリクス、ジム・モリソン、ジャニス・ジョップリン、カート・コバーンなど10代からロックが好きな人は「自分はシドと同じ年齢まで生きられるだろうか」とか「27歳までに何かをしなければ」といった気持ちになったりするものだと思います。
恥ずかしながら僕も「ああ、28歳になったっていうことは僕はロックスターではなかったんだな」とか音楽は全くやっていないのに「27歳で死ぬかもしれないから好きな事だけやって生きるんだ」みたいなことをぼんやり思ったりしました。今でもちょっと思ってます。笑
そんな僕も2020年の今年で29歳になったので「来年からはDON'T TRUST OVER THIRTYの30代になっていくのか」と思っていた矢先に「大人全滅」のMVが公開されました。
まだコロナウイルスの感染拡大は騒がれていない1月15日。4月には銀杏BOYZが新作アルバムをリリースする予定で「今年は銀杏BOYZの新作が出るしライブも観れるんだ!」って思っていた頃ですね。
「大人全滅ってすごいタイトルだな」と思ってドキドキしながらyoutubeの動画の再生ボタンを押しました。
無音で車窓からの雪景色が流れていってシューゲイザーな感じの包み込まれるようなノイズから始まるこの曲。
「おっなんか壮大な感じの曲かな?」と思ってたら歌い出しがまさかの
”どうして僕は生まれたの?
どうして僕は死んじゃうの?”
でびっくりしてひっくり返りました。「これゴイステのDON'T TRUST OVER THIRTYじゃん!」っていう感じです。ちょっと歌詞が違う気がするのと最後になんか違うこと言ってるなとは思いましたけど、その時は「30代を越えたからタイトルは変更なんだな」というくらいの気持ちで「銀杏でこの曲やってくれるのめっちゃアツいじゃん」というテンションでした。
ただ、その後コロナウイルスの感染拡大で外出自粛やイベントの中止が相次いで日常が一変していく中で銀杏BOYZのアルバムのリリースやツアーも延期が発表される頃になると段々と僕自身の不安も大きくなってきて、毎日入ってくる悲しいニュースや納得できない政治の話題やSNS上で飛び交う言葉に苛立ちや焦燥感が強くなってきたりもしました。
そんな中で改めてこの「大人全滅」を聴いたら1月に聴いた時とは全然違う響き方がしたのを強烈に覚えています。
”どうしてぼくはうまれたの
どうしてぼくはしんじゃうの”
の言葉が持つリアリティがものすごく感じたし、明日どうなるかもわからない日々の中で
”いつのひにか ぼくらがこころから
わらえるように
いつのひにか ぼくらがこころから
わらえますように”
という歌詞がものすごく切実に響いてきました。
救われたなんて簡単に言いたくないけど、今年の一番苦しい時期には銀杏BOYZの曲にものすごく助けられたと思います。
ゴイステの「DON'T TRUST OVER THIRTY」時代からこの曲はブルーハーツの「終わらない歌」へのオマージュに満ちていると個人的には思っていたので一応再確認も。こちらはヒロトじゃなくてマーシー作の名曲です。
"終わらない歌を歌おう
クソったれの世界のため
終わらない歌を歌おう
すべてのクズ共のために
終わらない歌を歌おう
僕や君や彼らのため
終わらない歌を歌おう
明日には笑えるように"
僕はゴイステを聴く前からブルーハーツが大好きだったので、ストレートなパンクロックの「DON'T TRUST OVER THIRTY」を初めて聴いた時「この曲を作った人もブルーハーツが好きなんだ!」と嬉しくなって、そこからゴイステや峯田さんが好きになった思い出があります。そう、「終わらない歌」の「クズ共」と「笑えるように」は「DON'T TRUST OVER THIRTY」(大人全滅)にも出てくるフレーズなのです!
ちなみに「DON'T TRUST OVER THIRTY」と「大人全滅」の違いは音だけじゃなくて歌詞の面でもいくつか違いがあります。
「DON'T TRUST OVER THIRTY」では
"ビューティフル・ヒューマン・ライフ
仰げば尊し"
と歌われていた箇所が
"じゆうなんてことばは
ぼくはしんじない"
に変更されていて
ラストに
”DON'T TRUST OVER THIRTY”
と歌われていた箇所は
"You Have Your Punk I Have Mine"
に変更されています。個人的にはこのラストの変更が特に大きいと思います。
「お前はお前のパンクを持ってる。俺は俺のを。」
この「パンク」は「ロック」にも置き換えられるし、「自由」でも「正義」でも「愛」でも良いんだと僕は解釈しました。
「そんなのパンクじゃない」とか「そんなのロックじゃない」っていう言葉は今でもよく聞くけど、相手のパンクを否定せずに自分にとってのパンクも否定させないっていう峯田さんの気持ちが出たフレーズになっていると思います。
政治の話に踏み込んだり、社会的な問題について立場を表明することを避けたいと思う峯田さんの気持ちにはこういうニュアンスもあるんだろうなと思います。
ずっと「正しいかどうかは重要じゃない。間違ってても良いから生きていて」っていう世界観で曲を作ってますし、「自分にとってはこれがパンクだ」っていう主張をするのは良いけど人のパンクを否定することもないっていうメッセージを僕は感じました。
最近もセックス・ピストルズのジョン・ライドンがトランプ大統領への支持を表明したことで「これはパンクだ」とか「パンクじゃない」みたいな何とも言えない議論(?)がありましけど、今年の始めの段階で峯田さんは"You Have Your Punk I Have Mine"って歌ってたんだよなあとなんとなくしみじみ思いました。
何がパンクかは僕が勝手に決めるし、君も勝手に決めてもいいんです。僕は別にトランプ大統領を支持してないですけど、ジョン・ライドンが作ってきた音楽も彼自身もずっと好きです。コロナの外出自粛が解除になったその日に地元の小さなレコード屋さんに駆け込んでセックス・ピストルズの「勝手にしやがれ」のレコードを買ったくらいですし。笑
「何がパンクか」という議論をするのも楽しいかもしれないけど、僕はひたすら僕が好きなパンクを聴いていたいな。本当に今年はパンクにものすごく勇気付けられましたよ。ピストルズに、クラッシュに、ダムドにラモーンズ。ホントに最高ですよ。「僕、パンクロックが好きだ」って歌ったヒロトの気持ちがわかりすぎる1年でした。
全国で外出自粛だった4月か5月くらいにマーシーがヒロトのラジオで選曲していたクラッシュの「全ての若きパンスクども」を聴いた時僕は泣きましたとも。
マーシーからのコメントは何もなくて選曲だけだったんですけど、これだけでもう十分ですよ。だってジョー・ストラマーがこんなこと歌ってるんですよ?
"若きパンクスよ
人生なんて笑うもんさ
涙流すに値するもんなんてあんまりないぜ
若き愚か者よ
今を生きることさ
死に値するもんなんてあんまりないぜ"
マーシーはフェスのバックヤードでひとりで佇んでいたジョー・ストラマーに会った時に「僕はクラッシュがいたから元気を出そう、頑張ろうって思えたんですよ」って話しかけたらジョーは「カモン!」って言ってハグしてくれたっていう話をしてたもんなあ。「この話しすると泣きそうになっちゃうんだ」って言って目をこするマーシーを見て僕ももらい泣きしたり。
ヒロトやマーシーに影響を与えてくれたロックのおかげで僕はヒロトやマーシーの音楽を聴けるし、その影響を受けた峯田さんの音楽も聴けるわけですから過去のロックやミュージシャンをどんどん掘り下げて感動したいんですよね。
好きな人の好きなものは自分も好きになりたいし。
僕、パンクロックが好きだ。
そういう意味でも「言いたくないことは言わない」というスタンスを実践しているヒロトやマーシーの存在が峯田さんの中では震災以降より大きくなっているような気もなんとなくします。「自分の立場を表明することへの抵抗感や違和感」をインタビューで語ることも増えている気がしますし。
”このうたにこころをこめて
くずどもにささげてみます”
"いつのひにか ぼくらがこころから
わらえるように"
峯田さんの中の「自分はこれがやりたいんだ」っていうずっと変わらない原点としてこの歌詞がある気がします。そして「くずども」「わらえるように」っていうフレーズでブルーハーツから峯田さんに僕の好きなパンクロックが受け継がれていく感じも最高です。
だからこそ「SKOOL PILL」でブルーハーツが歌詞に出てきた後に「大人全滅」に繋がる曲順が個人的にはたまらなく感動しちゃったんですよね。
You Have Your Punk I Have Mine!!!!!!!!!!
【04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン】
そしてこのアルバムの中でも大きな意味を持つ名曲がこちら。
タイトルはイギリスのリード兄弟によるロックバンド「ジーザス・アンド・メリーチェイン」からですよね。きっと。
ジーザス・アンド・メリーチェインは強烈なノイズと共にデビューして、後のシューゲイザーやオルタナティブロックに大きな影響を与えたバンドです。
デビューアルバムで成功して夢を叶えた後に成功の虚しさと満たされない心からボーカルのジム・リード強烈な鬱状態に陥ってしまい、ノイズを捨てて絶望とほんの少しの希望を歌う2ndアルバム「Darklands」が個人的に大好きです。
「闇の国に行くんだ 混乱した魂を持って」「天国はあまりにも地獄に近すぎる」と歌う倦怠感たっぷりなこの曲は今年のある時期の僕の気分にあまりにマッチしていて、ひたすらジーザス・アンド・メリーチェイン聴いてました。
「アーメン・ザーメン・メリーチェイン」は峯田さんがリバティーンズのピートとカールも出演するライブで演奏するためにロンドンに滞在していた時にホテルの近くにある公園で完成させた曲だそうです。
個人的にはこの曲にすごくマンチェスターを感じるんですよね。
ストーンローゼズとかオアシスの感じというか。歌詞にも「石と薔薇も」と出てくるのでローゼズのイメージな気もしますけど、これは銀杏BOYZ流の「Live Forever」なのでは、と今書いてて思いました。ドラムの感じもそうだけど曲のテーマも通ずるものがあるような気がします。まあオアシスはストーンローゼズから多大な影響を受けているのでどちらもかもしれませんが。
とりあえずオアシスの「Live Forever」をお聴きください。
ノエルギャラガーはこの曲を作ったきっかけとしてニルヴァーナのカート・コバーンの存在があったことをインタビューで明かしています。その内容がこちら。
ニルヴァーナの悲しさとオアシスの生命力。そのどちらも愛してる峯田さんが作ったこの曲で歌われる
”僕が生きるまで 君は死なないで”
という象徴的な歌詞は昨年亡くなったオナニーマシーンのイノマーさんに向けて書いた寄せ書きの中に峯田さんが書いた言葉で、自分でもなぜこの言葉を書いたのかわからないままだった言葉だったそうです。
そう思うと「ザーメン」「精液」という言葉が曲名や歌詞に入ってくるのは盟友の「オナニーマシーン」のイノマーさんへの大きなリスペクトであり、愛情なんだろうなという気がしてきます。泣ける。
「ライブでみんなが大合唱するようなアンセムを作りたかった」と峯田さんが言っていたので、早くライブでみんなで大合唱できる日が来てほしいな。
【05.骨】
ここからは「恋とロックの三部作」が続きます。
シングルで初めて聴いた時はイントロで「おっめっちゃポップ!」と思ったら
"抱きしめてあむあむしたい"
という歌詞でファンの僕でも「これはキモいぞ」と思った矢先に
"キモいね しゃあないね"
と歌ってくれて「自覚あって良かった〜」とちょっとホッとした直後に
"骨までしゃぶらせて"
で「やっぱりキモわる〜っ」と感情を揺さぶられたのを覚えています。笑
でも最後まで聴くとやっぱりアコースティックでものすごくポップな名曲でした。銀杏BOYZの曲でここまではっきりと女性が主人公の曲って他にありましたっけ?
この曲では
"ビートルズみたく私を笑わせて
NIRVANAみたく私を悲しくさせて"
"ポンヌフの恋人のように踊らせて
浮雲のようにわたしを連れ去っていく"
と歌われます。
ビートルズとNIRVANAは言わずと知れたロックバンドですね。
日本では「抱きしめたい」という邦題の初期ビートルズの名曲「 I Want to Hold Your Hand」の多幸感を「骨」ではちょっと感じます。「抱きしめたい」って歌われてるからかもしれないですけど。
初期のビートルズはアイドル的な売り出し方をされていたので佇まいが可愛いんですよね。この曲が日本でのビートルズのデビューシングルになりました。
告白したい男の子が"君の手を握りたいんだ"って言う内容のピュアなラブソングです。
そしてNIRVANAはこちら。
ロック史に残る大名曲「Smells like teen spirit」ではなくあえてこちらを先に。この後の曲の紹介で出てくるし。
"俺を犯せ 俺を憎め 俺を消費しろ"
と歌われるあまりにネガティブで怒りに満ちた曲。ボーカルのカートが自殺する前に出されたラストアルバム「In Utero」に収録されました。
「Smells like teen spirit」のイントロにあえて似せたという話も聞いたことがある気がしますが、確かに似ています。あまりにヒットしてしまった「Smells like teen spirit」を「嫌いな曲だ」と言ってライブではわざと雑に弾くようになったりしていたくらい想定以上の成功を収めてしまったカートはだんだんドラッグに溺れて精神を病んでいきます。
ただ、ボロボロな演奏やでたらめなギターソロすらカッコよくなってしまうのがカートのカリスマなんですよね・・・。ネガティブな世界観と攻撃性、そして繊細さと悲しさを併せ持ったNIRVANAみたいに悲しくさせて欲しい気分になる時もありますよね?僕はあります。
そして「ポンヌフの恋人」はレオス=カラックス監督の「アレックス三部作」と呼ばれる映画の3作目で、このアルバムの最後の曲「アレックス」もここから来てると個人的には思っています。
こちらが予告編。ホームレスの大道芸人のアレックスと失明の危機にある少女の恋物語。「アレックス三部作」は「ボーイ・ミーツ・ガール」「汚れた血」「ポンヌフの恋人」とそれぞれ独立した世界観の別の物語ですが、三作とも「アレックス」という青年が主人公です。
「浮雲」は1955年公開の成瀬巳喜男監督の映画ですね。不倫を繰り返しどこまでも堕ちていく男女の恋愛を描いた悲劇です。予告は見つからなかったのでポスターを。「アーメン・ザーメン・メリーチェイン」の「二人で街を出ようか」「神様に背を向けようか」という歌詞は浮雲感があるな〜と個人的には思いました。
「骨」を聴くとロックと映画に恋するあの娘の姿が浮かんできます。
峯田さんが主演した「アイデン&ティティ」の続編とも言えるシングルバージョンのMVがまたいいんですよね。麻生久美子さんと峯田さんが真夜中の商店街を二人で歩くだけなんですけど、これ以上ないくらいロマンチックで素晴らしい。
トキメキたいったらありゃしない!
【06.エンジェルベイビー】
「恋とロックの三部作」からの2曲目はこちら。シングルでリリースした時はクリープハイプのMVなども手掛ける松居大悟監督によるMVがなかなか強烈でしたね。
今回アルバムに収録されたバージョンはイントロにノイズが足されていて、音質もなんとなくラジオ風味のざらついた感触になっています。
「エンジェルベイビー」は本当に大名曲だと個人的には思ってます。
ひとりになった峯田さんがこの曲を書いてくれたことが本当に嬉しかったなあ。「どうして僕いつもひとりなんだろう」という歌い出しから初期衝動を取り戻した世界観でここから新しい銀杏BOYZが始まるという予感と高揚感に満ちていて、これは銀杏BOYZ(峯田さん)の「十四歳」だと僕は勝手に思ってます。
「十四歳」はブルーハーツ解散後にヒロトとマーシーが結成したハイロウズの大名曲でヒロト作。どちらも「ロックとの出会い」を描いていて、ロックが語りかけてきた言葉が歌詞に書かれている点が注目ポイントです。
これを聴くとヒロトと峯田さんが同じようにロックに衝撃を受けて、ロックを好きでいるんだろうなという気がして泣けてきます。それは僕の中でブルーハーツの解散からハイロウズを結成したヒロトと峯田さん以外のオリジナルメンバーが抜けてしまった銀杏BOYZが重なっているからかもしれませんが。
ではハイロウズの「十四歳」をお聴きください。
歌詞に出てくる「ジョナサン」はアメリカの小説家リチャード・バックが書いて1970年に出版された「カモメのジョナサン」のジョナサンとロックバンド、モダンラヴァーズのジョナサン・リッチマンからきているそうです。
この曲もあまりに奥深いのでいずれnote内企画の「この曲がすごい!」で取り上げようと思います。「リアルよりリアリティ」ってものすごいフレーズだと思う。
「十四歳」ではロックは「十四歳にしてやるぜ」と語りかけてきて、「エンジェルベイビー」では「君と僕は一生の友達さ」と語りかけてきます。
この二つの曲の決定的な違いとして「喪失感の有無」があると思います。
″どうして僕いつも
ひとりなんだろう
ここじゃないどこかに
行きたかった″
という歌い出しで始まるエンジェルベイビーは「自意識と自慰で息が詰まる頃」の思春期の少年がラジオから流れてくるロックと出会う所から始まります。
やっぱり銀杏BOYZはメンバーの脱退後に作られた曲は喪失感が曲の背後に大きく横たわっている気が個人的にはすごくします。
でもそれだけじゃなくて少年が大人になっていくこととか、ロックとの出会いによって「これまでの自分じゃなくなる」感じとか「みんなと自分はもう決定的に違う世界に行ってしまった」感といった峯田さんがはじめて衝撃を受けてからずっと抱えてきたロックへの想いがストレートに表現されていると思います。そしてその喪失感こそが「一生の友達」との出会いでもあるっていう複雑な気持ちをストレートでポップなロックとして表現しているのがこの曲だと僕は解釈しています。
峯田さんがインタビューなどで「この曲を聴いて世界が変わった。PTSDのようなもので今でもその感覚が残り続けている」というようなことを言っていたのがNIRVANAの「Smells like teen spirit」です。
うーん。やっぱりカッコいい。カート・コバーンはミュージシャンとしてもちろん超一流なんですけど、ピクシーズやソニックユース、その他パンクロックや幅広い音楽の影響を受けていて彼自身はあくまで生涯リスナーだった気がするんですよね。カートの中にはひたすらにロックが好きな少年がずっと心の中に居続けた感じがします。だからこそ成功を掴んだ後は理想と現実のギャップに苦しむことになってしまったとも思いますけど・・・。
そしてカートの引用のセンスはすごく峯田さんも受け継がれている気が個人的にしています。曲の中での他の曲のリフやメロディーを引用する90年代以降のヒップホップ感覚というか。ベックとかにもそのセンスを感じます。
カートの遺書とかなんとなく峯田さんが書く歌詞に近いものがあるもんなあ。カートは最期の時でもニールヤングの「Hey Hey,My My」の歌詞を引用してるんですよね。あとは「フレディ・マーキュリーみたいに楽しむことが出来なかった」とかも書いてあった気が。(カートはクイーンも大好きでした)
"消え去るよりも
燃え尽きたほうがいい"
というフレーズをカートが遺書で引用したのが「Hey Hey,My My」という曲です。
この曲はセックス・ピストルズのジョニー・ロットンがピストルズを脱退する時に言った「ロックは死んだ」というロック好きならみんな知ってるような伝説的な言葉を受けてすでに大御所だったニールヤング がアンサーした曲です。
"ロックンロールは決して死なない"
という有名な歌詞もあり
"これはジョニー・ロットンの物語さ"
というフレーズまであります。
ちなみにジョン・レノンは「Hey Hey,My My」について「生きることを肯定していないから嫌いな曲」といったようなコメントを残していて、それに対してニール・ヤングが「もちろんロックンローラーは生き延びるべきだ。だけどロックは"今"なんだ」とこれまたシビれるやり取りをしています。
そしてカート・コバーンはニールヤング もジョニー・ロットンもジョン・レノンも大好きだった所がまた泣けるんですよね。カートのオールタイム・ベスト50枚みたいな記事は多分今も検索したら出てくると思いますけど、中学生の頃の僕はそのリストを見て一枚一枚アルバムを探しては聴いてました。
このジョニー・ロットンの「ロックは死んだ」という言葉は現代までずっと影響を持ち続けていて、マーシーはハイロウズの時に「スーパー・ソニック・ジェットボーイ」という曲で
"ロックがもう死んだんなら
そりゃロックの勝手だろ"
という歌詞を書いています。
しかもピストルズ来日公演の前座でハイロウズは「ベイ・シッティー・ローラーズ」を名乗ってお揃いのコスチュームを着てこの曲を演奏してたりします。これはピストルズのメンバーがかつて大人気だったベイ・シティ・ローラーズを馬鹿にして噛みついていたことを踏まえての演出だと思います。
「ロックと自分の関係性」はそれぞれのアーティストによって違うので、そこに注目して聴くのもすごく面白いと思います。「エンジェルベイビー」を聴くと僕はこういったロックの歴史とか「ロックとミュージシャンの関係性」に想いを馳せちゃうのでめっちゃ長くなっちゃいました。大好きな曲です。
【07.恋は永遠 feat.YUKI】
来ました!YUKIさんとの14年ぶりのコラボ!
「恋とロックの三部作」の最後の一曲である「恋は永遠」は「骨」と並ぶ今作トップクラスにポップでメロディアスな曲です。
そして「エンジェルベイビー」と同じく「ラジオ」が曲中に出て来ます。それではシングルバージョンをお聴きください。
シングルではYUKIさんのパートはないのでアルバムの曲が発表された時にYUKIさんが参加するという情報を聞いて大興奮しました。
2005年のアルバム『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』に収録された「駆け抜けて性春」以来およそ15年ぶりの共演ですからね。それはもうたまんないですよ。
この曲で歌われるのは「大人になっていく僕ら」で、そこにはバンドを去ったメンバーへの峯田さんの想いが滲んでいます。
個人的にとくに切なくなってしんどい歌詞がここ。
"Oh My Radio
僕らがいつか
ロックのレコードを
聴かなくなっても
ロックはふたりを
あの日のふたりを
きっと忘れないから"
うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!!
ここは本当に泣けちゃいます。
学生時代にロックが好きだった友達のこととか、今はロックが好きで仲が良い人もいつかロックを「卒業」しちゃったりするのかなとか、年齢が離れたロック好きな先輩や友人ともいつか話せなくなる日がくるんだよなとか色々思い出したり考えちゃったりします。
同時に「ロックはふたりを あの日のふたりを きっと忘れないから」という優しさと「永遠」を提示してみせる所が本当に好きです。
峯田さんの「BABY BABY」とかもそうですけど、ロックという刹那的な音楽表現の中で「永遠」を追求するアーティストが個人的に好きで、ヒロトもそういうタイプなんですよね。二人とも「永遠」が歌詞に出てくることが本当に多いのでそのテーマだけでもいつか記事を書きたいです。
「恋は永遠」で提示される「永遠」は未来にあるんじゃなくて「過去」にあるんだっていう所が個人的にすごくグッときます。
時間は止まらないし巻き戻らないから過去は変えられない。つまりそれは不変であるということです。「変わらないものなんて何一つない」と思っていたこの世界で唯一変わらないものが過去の現実で、だからこそそこには「きっと」永遠があるという祈りのような歌詞ですよね。
君を好きになったこと、ロックを好きになったこと、つまり「恋をした」ということをロックはずっと忘れないでいてくれるはずっていう想いにすごく共感します。
エンジェルベイビーで歌われる「君と僕は永遠に無敵さ」という歌詞も同じニュアンスかも。
そして「ストロベリーフィールズの夢」と歌われた後に続くのが「いちごの唄」っていう曲順がたまんないですよね。ほんと。
【08.いちごの唄 long long cake mix】
「いちごの唄」は2019年に公開された同名の映画の主題歌として劇場限定でリリースされていたシングルで、ゴイステ時代を思わせるストレートなパンクナンバーです。ホントにゴイステの「さくらの唄」に入っててもおかしくない気が。この曲はたぶん今年(2020年)の夏に一番聴いた曲だなあ。
この曲が流れる映画「いちごの唄」の特別映像はこちら。
映画「いちごの唄」は峯田さんが出演したNHKの朝ドラ「ひよっこ」で脚本を書いた脚本家の岡田惠和が書いて峯田さんがイラストを添えた青春小説の連作短編集を原作にした作品です。2017年に「ひよっこ」に出演した時の峯田さんの役がビートルズ好きな役柄だったこともあって、2017年は特にビートルズを聴きなおしていたそうです。その影響は「恋とロックの三部作」の中にもちょっとずつ感じるのですが、「いちごの唄」でも「Across The Universe」という歌詞や「いちご畑」でビートルズオマージュが入っています。
「Across The Universe」はアルバム「LET IT BE」に収録されたバージョンよりも後年にリリースされたいわゆる「Naked Version」が個人的に好きです。オリジナルでは回転数を上げていてジョンのボーカルのピッチが変わってたりオーバープロデュースな感じがちょっとするので。(もちろんどのバージョンでも素晴らしい曲なのですが、個人的な好みでアコーステックな弾き語りの生々しい感じが今の気分に合ってるっていうだけです)
こちらはアルバムバージョン。
こっちが「Naked Version」
改めて聴くとどちらも良いですね。笑
そして「いちご畑」といえばこの曲「Strawberry Fields Forever」。そういえばどちらもジョンが作曲した曲だな。
「ストロベリーフィールド」とはジョンが幼少期に過ごした家のそばにあった孤児院で、小さい頃のジョンはそこの敷地内で遊ぶこともあったそうです。
あと「恋に落ちてメタモルフォーゼ」という印象的な歌詞はクロマニヨンズでヒロトが作曲した「恋のハイパーメタモルフォーゼ」のオマージュなんじゃないかな~と個人的には思っているのですがどうでしょう?
「恋のハイパーメタモルフォーゼ」が2018年の10月にリリースされた「レインボーサンダー」というアルバムに収録されていて、「いちごの唄」の公開が2019年の7月だからあり得ない話ではないかなと思いますが、偶然でもオマージュでもこの共通点は最高です。笑
この夏は「だいじょばないけどだいじょーぶだよ」っていうフレーズがずっと頭の中で鳴っていました。
【09.生きたい】
この曲は2016年にシングルとしてリリースされた曲の再録ですが、以前のものよりも聴きやすくなっている印象です。当時はメンバーが去った後に初めてリリースされたシングルだったこともあって、中島みゆきさんの歌を思わせる赤裸々でヘビィな世界観のこの曲はすごく賛否両論だった気がします。
というか2014年のアルバムの時点で「峯田は変わった」「さよなら銀杏。大好きだったよ」みたいなレビューやコメントがかなり多かったですよね(いまでもちょいちょいあるけど)。そのくらいファンも思い入れのあるバンドだっていうことがすごいのですが、そういうコメントを見るたびに「恋は永遠」の「僕らがいつかロックのレコードを聴かなくなっても」っていう歌詞や、エンジェルベイビーがリリースされた時の「僕はやっぱり銀杏BOYZが大好きだ!」っていうあの高揚感を思い出したりします。
ところがそれらの曲が入っているこのアルバムは、それぞれの曲が新録されてることと新曲たちの力があって「あの頃」を引きずっていないすごく前を向いたアルバムな所が個人的に最高だと思っています。
シングルの「生きたい」がこちら。
当時のコメントが残っているコメント欄が味わい深いです。色々思い出すなあ。しみじみ。
峯田さんが次のアルバムは「生きたい」が中心になると言っているインタビューを読んだときのイメージよりも実際のアルバムでは「生きたい」のボリュームというかカロリーが高すぎないのがすごく良い意味で意外で、シングルでリリースしたときの情念というか怨念みたいなものが昇華されていったような印象を受けたりもしました。
大人になっていくことや、過ぎていく時間が忘れられない痛みを和らげてくれるというようなことを考えたり。
「生きたい」以降の峯田さんは映画的な楽曲を作ることが増えたような気がしていて、そういう意味ではこの映画的なアルバムは「生きたい」がなければ生まれなかったとも思います。そういう意味ではやっぱりこのアルバムの核は「生きたい」なんだろうな。と今思いました。
【10.GOD SAVE THE わーるど】
この曲は新曲ですが何度かライブで披露されていて、今のイメージよりもかなりバンドサウンドが強調された疾走感や焦燥感がある曲だったらしいです。峯田さんのインスタに載っていたおそらく初期の「GOD SAVE THE わーるど」の歌詞がこちら。
元の歌詞はアルバムバージョンよりも刹那的で、アルバムリリース後のインタビューや先日のアルバム再現のスマホライブの曲前MCで峯田さんが言っていたのですが、この頃は「コンビニの駐車場の車の中で練炭自殺する二人の男女」の曲だったみたいです。それが2020年にはもっとポップでキラキラした打ち込みのサウンドで作られた曲になり、「あなたを殺して、僕もすぐいくよ。ごめんね。」という歌詞も無くなりました。
この変更こそがこのアルバムの重要なポイントだと僕は思います。
峯田さんは元々ゴイステ時代の曲も歌詞やメロディをちょっとずつ変えながらずっと歌い続けていたりして、「一度作った曲も今一番歌いたいように歌う」というタイプのミュージシャンです。「銀河鉄道の夜」とかはそれが顕著ですし、このアルバムの「大人全滅」とかもそう。
その度に「前のほうが良かった!」っていうファンも一定数いるのですが、きっとこの曲もそういう人がいるだろうなというくらい大きく歌詞が変更されています。だからこそ銀杏BOYZは音源だけじゃなくてライブでも観るべきバンドだと思うんですよね。その時、その瞬間にしかないアレンジや歌詞もあったりするし、そのライブで聴かないともう聴けないものもあるので。
以前のバージョンの「GOD SAVE THE わーるど」もライブ映像とかに残ってたらぜひ聴きたいですけどソフト化はしなだろうな~。
でも僕は今回のアルバムには絶対今のバージョンがふさわしいと思います。「生きたい」と「アレックス」を繋ぐ曲として完璧だし、ここ数年のライブで「とにかく生きていればまた会えるから、どんなことをしても生きてください」って何度も繰り返す峯田さんが「今」歌いたいのは絶対アルバムのバージョンだと思います。
「あなたを殺して、僕もすぐいくよ。ごめんね。」という歌詞の変更にはやっぱりコロナ禍の現在の状況も影響しているみたいですが、今年の夏や冬のスマホライブでもイノマーさんやミチロウさんの名前をあげていたように好きな人たちが亡くなった後の峯田さんは刹那的な気持ちよりも「祈り」や「願い」のほうが強くなったのかなあと僕は勝手に想像しています。
元のバージョンでは心中してひとつになるはずだった二人が「すべてのことが起こって」救われた世界が今回のアルバムバージョンだと僕は思っていて、僕の中ではこのバージョンは峯田さんにとっての1946年の映画「素晴らしき哉、人生!」だと解釈しています。
「人生っていいもんだよ、絶望するようには出来ていないんだ!」というセリフが引用された1954年公開当時の日本版ポスター。
戦後すぐのアメリカ映画で、1945年のクリスマスイブに自殺しようとするひとりの男を救うために二級天使が大天使の力を借りて彼の人生を見ていくといったお話し。もちろん戦勝国側にしかない「これから世界は良くなる」というポジティブな空気もあるでしょうが、戦争でたくさんの人たちが亡くなってしまった後の世界で「奇跡が起こって救われてほしい」「人生は素晴らしいと言いたい」という願いも強くある映画だと思います。
映画の内容は死ぬはずだった男が奇跡によって救われるもので「こんなの現実にはありえない綺麗事だよ」と思う人もたくさんいそうな気がするのですが、学生時代に映画館でリバイバル上映を見た僕は「映画の中でくらい、フィクションの中でくらい奇跡が起こって救われてほしい」というその時の僕の気分にものすごく合っていてすごく感動しました。白黒映画なので古い映画に見慣れていないと退屈に感じちゃうのかもしれないけど僕は大好き。
今でこそ名作として名高いですし、当時から評価もされていたそうですが興行的には惨敗だったみたいです。
「GOD SAVE THE わーるど」で「聖なる夜」っていうフレーズがあるのも「素晴らしき哉、人生!」を思い出させるのかな。「すべてのことが起こりますように」と奇跡を願う感じも。
そして峯田さんと「聖なる夜」といえばやっぱりイノマーさんのオナニーマシーンとずっとやっていた「童貞たちのクリスマスイブ」というライブイベントを思い出しますよね。
先日のスマホライブのMCでも「ずりぃよ。クリスマスの度にあのおっさんを思い出しちゃうのかよ」っていうようなことを言っていたので、「GOD SAVE THE わーるど」にもイノマーさんへの思いが大きく込められた結果今の歌詞になったのかな、とも思いました。
そして旧バージョンでは「ブライアン・ウィルソンのメロディ」というフレーズがあったのですがそれも変更されて「ふたりで聴こっかあのバンドのアルバム」と抽象的な表現になっています。
ブライアン・ウィルソンはビーチボーイズのメンバーであのビートルズにも影響を与えた稀代のソングライターでもあります。ブライアン・ウィルソンで「GOD」と聞くと僕はどうしてもビーチボーイズのアルバム「ペットサウンズ」に収録された大名曲「God Only Knows」を思い浮かべてしまいます。
「God Only Knows」では「君がいない世界に意味なんてない」「生きていても僕に良い事なんてないでしょ?」「君がいなくなってしまったら僕はどうなってしまうかわからない」「それは神様にしかわからない」と歌われます。
この世界観は歌詞を変更する前の「GOD SAVE THE わーるど」とも共通するような気がするのですが今のバージョンの世界観とはズレもあるので変えたのかなと予想。
アルバムバージョンでは「ブライアン・ウィルソン」というフレーズが無くなった代わりに「リバーズエッジ」と「リバー・フェニックス」が追加されていて、これは「リバー」で繋げている言葉遊びだけではなく90年代を代表する漫画家の岡崎京子さんの1993年から1994年にかけて連載された作品と1996年にゲームが発売された「ポケモンのキーホルダー」、1993年に亡くなった俳優の「リバー・フェニックス」というフレーズが重なることで「1990年代感」がかなり強調される効果が出ています。リバー・フェニックスは映画「スタンド・バイ・ミー」で主人公の親友を演じてその後23歳の若さでドラッグの過剰摂取で亡くなりした。レッチリのベーシストのフリーと親友で、ギタリストのジョン・フルシアンテとは一緒にドラッグをやる仲間だったみたいです。
リバー・フェニックスの最期を看取ったのもフリーだったという話を聞いた気がしますけど間違ってたらごめんなさい。
去年映画「ジョーカー」でアカデミー賞を受賞した俳優のホアキン・フェニックスはリバー・フェニックスの弟です。ヒッピーだった両親がカルト宗教にのめり込んでいたため幼少期は悲惨な生活だったという話もあります。
「スタンド・バイ・ミー」の時のリバー・フェニックス。不良っぽいのですが繊細で優しい役柄は彼のパーソナリティとも重なります。映画のラストですっと消えて行くのもその後の人生と重なるようで切なくなります。
僕は大好きな映画。
成長したリバー・フェニックス。かっこよすぎでは?ちなみに峯田さんがゴイステを結成したのは1996年。そういえばゴイステの1stアルバムでも「STAND BY ME」っていう曲がありましたね。
うわぁ。これ聴くと高校時代にトリップしちゃうな。この頃はハイスタとかグリーン・デイとかメロコアの影響も強いような気もしますね。きっと峯田さんが今は会えないたくさんの人に出会ったのがこの頃なんだろうなと思うのと同時に僕も色んな人のことを思い出したりしました。
あと元の歌詞にあった「小指と小指」というフレーズは1曲目の「DO YOU LIKE ME」に使われていますね。
2020年を象徴するフレーズとしてアルバムバージョンでは「ポストトルゥースでぼやけて」という言葉が入っているのも注目ポイント。
元々2016年にイギリスのEU離脱やアメリカのトランプ大統領誕生などを受けて選挙において事実に基づいたニュースよりも事実誤認や裏付けのないフェイクニュースの方が多くの人の感情を揺るがして投票結果を大きく左右したという指摘から頻繁に使われるようになった言葉です。SNSの普及によってデマが急速に拡散し、メディアへの信頼度も低下する状況は日本でも同じで、コロナ禍ではそれがさらに身近に感じられるような気もします。
峯田さんは政治的な話題には言及しないし、SNSからも距離を置いているのでそれに対する意見の表明などはあまりありませんが「ポストトルゥースでぼやけて何が正しいのかわからない世界」に生きる人たちに寄り添うようなフレーズだと思います。
「自分は何が正しいのかわかっている」って言い切れない不安感や寄る辺なさが表現されているし、逆に「自分は何が正しいかわかっている」と言い切れてしまうことのこわさも浮かび上がる気も。
僕はマーシーがハイロウズで作った「即死」という曲の「何が正しいか知らない 何が楽しいか知ってる」というフレーズをなんとなく思い出しました。
「国道沿いのホテル」「硝子のテーブル」「錆びた電信柱」「ポケモンのキーホルダー」「ローソンの駐車場」「炭酸ぬけたコーラ」と峯田さんがチョイスした「エモい」モチーフがてんこ盛りな所も聴きどころな一曲。
【11.アレックス】
そしてアルバムのラストを飾る曲。「アレックス」というタイトルはレオスカラックス監督のアレックス三部作からかな?
この曲は映画のエンドロール感がすごいんですよね。「ああ、これで終わるんだ」という寂しさや切なさと同時にじんわり満たされていくような優しさやあたたかさも感じます。
″白い空 光の庭
夏の午後の夢だった
帽子の君と子どもたちは
ビニールプールではしゃぎながら″
″レトリバー 駆け寄ってじゃれてくる
おまえの名前は僕がつけた″
という「まさかの家族を持った男が主人公!?」といった歌い出しの歌詞が個人的にはこのアルバムで一番意外だったかもしれません。
これまでの銀杏BOYZには無かったタイプの曲です。ところがその後に
″そんな日がくるって夢みていたんだ
まぶしい未来にもう帰れない
雨が窓を叩く音 宛名のない歌
さよなら さよなら 今なら
だいすきだったよ″
と歌われることでこの曲は「もう来ることはないまぶしい未来」との別れを受け入れる曲なんだということがわかる展開でハッとさせられて、このアルバム全体が「大人になること」や「時間が過ぎ去っていくこと」「別れと喪失感」を受け入れて抱き締める作品なんだっていう印象が自分の中でぐっと強まりました。
「さよなら さよなら 今なら だいすきだったよ」というフレーズの「今なら」という言葉がすごく大切で、今なら「だいすきだったよ」とまっすぐに伝えられるけどそのためにはこのアルバムのすべての曲たちが必要だったんだというふうに僕は解釈しました。「だいすきだったよ」と伝えて「別れを受け入れる」ためのラブレターのようなアルバムなのかなと思ったりも。
それは過去のメンバーやこれまで出会った人たち、亡くなった人たちとの別れでもあると思います。
この曲があることによって本当の意味で銀杏BOYZというか峯田さんが「大人になった」ような気がしました。今はもうすでに新曲を作ってるみたいなので、このアルバムを完成させた峯田さんが今後どんな曲を作るのかが本当に楽しみです。
以上で全曲レビューは終了!
いやー、長々お付き合いいただいてありがとうございます。こんな個人の思い込みや感想を書いた支離滅裂な文章ここまで読んでくださった方は何人いるのでしょうか…。笑
貴重な時間を使って読んでくださった方には感謝しかありません。ありがとうございます。だいすき。
【締めのだらだらした私信】
今回やたらとヒロトの話をしてしまったのは雑誌「音楽と人」の2020年12月号でヒロトと峯田さんの14年ぶりの対談があった影響が大きいと思います。
僕がちょうど中学生から高校生になるタイミングで読んだ対談から14年ぶりで興奮したなあ。この14年でヒロトが峯田さんのことをがぜん好きになっているのが伝わってくる対談でした。
そして以前は「毎日楽しくて幸せな奴には銀杏BOYZを聴いて欲しくない」って言っていた峯田さんも2017年の武道館では「(昔のライブで)幸せになったら銀杏BOYZのライブに来なくていいって言ったけど、でも考えてみたら彼女もいなくて仕事もなくて孤独だっていう悲しさと、仕事もあって恋人もいてもうじき子供も生まれて満たされているはずなのにどうしても湧き上がってくる悲しさとむなしさ、比べるものじゃないけど果たしてどっちがキツいんでしょうか。今年で40になりますけどまったく満たされない。多少お金も入ってきましけど、でも全然満たされない。これは20歳のときからずっと変わらない。だから歌っていくしかないと思うんです」と言っていたように、銀杏BOYZは「幸せな人(特別不幸ではない人)」を拒絶しないバンドになってきたのかなという気がします。
「幸せになったら聴かなくていい」という言葉を思い出すと大学生の時に銀杏BOYZが好きで仲が良かった後輩の子に「光の中に立っていてね」がリリースされた時に「銀杏の新作聴いた?」って聞いたら、「僕幸せになったからもう銀杏BOYZ聴けないんです」と申し訳なさそうに言っていた顔が浮かびます。あの子今どうしてるかな?今でもちゃんと幸せかい?
僕は今でも銀杏BOYZ聴いてるよ。たぶん僕は幸せなんだろうけど、ずっと聴いてる。やっぱり銀杏BOYZを聴くのに幸せかどうかは関係ないよ。生きている限り一生満たされない何かは間違いなくあるし、別れも増えるし、寂しさは残り続ける。今の銀杏BOYZも聴いてほしいなっていうそんな気持ちになりました。
アルバムリリース時のコメントで銀杏BOYZの大ファンの俳優の橋本愛さん(橋本愛さんはナンバーガールも好きでロックな所がとても良いです)が「幸せになったら聴かなくていいよって言ったけど、私今幸せだけど」と書いていたように十代で銀杏BOYZに強い思い入れを抱いたファンほど「幸せになったら銀杏BOYZを聴けなくなるのかな」という気持ちも抱えながら銀杏BOYZを聴いてきたような気がします。
その峯田さんが「幸せな人」も拒絶しなくなったことは本当に大きな変化だと思うし、それによって「峯田は変わった」って寂しくなるファンも一定数いるんだと思います。
でも「峯田は変わった」ってゴイステの頃からずっと言われてきたことだからホントに「変わり続けることで変わらずにいられる」を体現してるミュージシャンだとも個人的には思ったり。
ゴイステの「童貞ソーヤング」や「さくらの唄」の時は「1stアルバムの時のストレートなパンクのほうが良かった」って言う声があったし、銀杏BOYZの1stの頃も「ゴイステのほうが良かった」って言われてたし、オリジナルメンバーで作った「光の中に立っていてね」でも「銀杏BOYZは1stの頃のほうが良かった」とかその後メンバーが抜けてサポートメンバーと作ったシングルでは「オリジナルメンバーのほうが良かった」っていう感じで常に離れていくファンがいて、同じくらいずっと聴き続けるファンや新しく増えたファン、一度離れてまた戻ってくるファンがいるのが最高だと思います。「僕らがいつかロックのレコードを聴かなくなってもロックはふたりをあの日のふたりをきっと忘れないから」って恋は永遠で歌ってるから、もし聴かなくなってもロックはあなたのことをずっと覚えていてくれますけどね。
今回の新作は年齢を重ねることや変わってしまうこと、いなくなってしまった人たちのことを強く意識しながらそれでも前に進むことを決めたアルバムだと思うし、個人的には峯田さんが生きて音楽やっていてくれたらそれはどんなものでも聴きたいと今は思います。
それに気にくわなかったらライブに行ってヤジを飛ばしたら良いんですよ。峯田さんはゴイステ時代から「ヤジを飛ばされること」を前提にしてライブやってる気もするし、ゴイステや銀杏BOYZのライブ映像観たらヤジに全力で言い返す峯田がいっつも映ってます。ライブの話をする時はいつもヤジについて触れたりしてますし。
今はコロナでちゃんとしたライブは出来ないですけど、いつか会場がお客さんで埋まって大合唱したりヤジが飛び交うライブが観れる日までなんとか生き抜いていきたいですね。
たくさんの別れや会えなくなってしまった人たちのことを思い出すことがさみしくないと言ったら嘘になるし、大丈夫なんかじゃ全然ないけど「だいじょばないけど だいじょーぶだよ」と今の峯田さんが歌ってくれることにものすごく価値があると思う。
「僕らはひとりぼっちだけどひとりぼっちじゃない」このアルバムはそんな作品でした。2020年にこのアルバムが聴けて僕は本当に良かったです。
ロックって本当にいいものですね。またいつかお会いしましょう。サヨナラ。サヨナラ。
銀杏BOYZ / ねえみんな大好きだよ
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