涙が人に伝わるとき。『もらい泣き』冲方丁
昨今、世の中のいたるところに「感動する話」があふれています。
そういった話の中には、自分のことを省みるきっかけになるようなものもある一方で、わかりやすく感情に訴えかけた、泣けるには泣けるけど1時間後にはきれいさっぱり頭から消えている、そんな話も少なくありません。
「手っ取り早く泣ける話」は次から次へと求められ、ひたすら消費されるばかりです。
今回紹介する「もらい泣き」は、一味違います。
本作は、作者である冲方丁(うぶかたとう、と読みます)が『小説すばる』上で連載したショート