指示されたことを忘れてしまう人へ
記憶力の弱さは、大した問題じゃない
せっかく指示を受けたのに何かしら指示内容が抜け落ちている、といった「仕事の抜け漏れ」問題、私はかなり頭を悩ませていました。しかも、忘れてしまったなら再度確認すればいいのに、忘れてしまっていることを知らせたくないために推測で仕事を進めてしまって、余計に事態を悪化させてしまったりしました。
長い間、私は仕事の抜け漏れは自分の短期記憶の弱さが原因だと思っていました。たしかに、短期記憶が弱いと忘れがちになってしまいます。
でも、問題の本質は「覚えられないこと」ではなく、「指示された内容を正確に保存できないこと」です。記憶力の弱さはネックではありません。
記憶力の弱さを「定数」として受け入れる
そもそも、私の先天的な傾向である「発達障害」の特徴の1つ「短期記憶の弱さ」は、改善するのはなかなか難しい、いわば「定数」です。
自分で自由に値を代入できる「変数」に比べて、定数は動かしようがありません。私の記憶力の弱さは、定数として受け入れる方が良いと思っています。
言い換えれば、「記憶力を鍛えよう」と考えないということです。それ以外の方法で、指示された内容を正確に保存するという目的を達成すれば良いわけです。
とにかく、書きだすしかない
自分の記憶力の弱さをサポートする方法としては、とにかく「書きだす」しかありません。当たり前のようなこの事実を、どこまで腹落ちさせているかが大事です。書きださなければ忘れる。書きだせば忘れない(思い出せる)。
ところが、書くのを面倒くさがって「これくらいなら覚えられる」「あとで書こう」「いまはほかのことを優先しよう」と考えてしまいがちです。私も、割とこの衝動と日常的に戦っています。記憶力が弱いことより、こちらの方が問題の本質だと思います。
書きだす習慣が記憶力の弱さをカバー
ということで、仕事の抜け漏れのネックは、短期記憶が弱いことではなく、「書かなくてもいいや」と書きだす手間を惜しむことだと思います。逆に言えば、いくら短期記憶に自信がなくても、書きだす習慣をつけて「記録」を味方につければこっちのものです。
書きだしは命綱、そこは図太く
目の前で口頭で指示をしてくれているとき、メモをするスピードが遅くて焦るかもしれません。でも、メモし終わるまで相手を待たせるくらい図太くいきたいところです。私は、「そのくらいしないと自分の記憶力の弱さをカバーできない」と考えて開き直っています。
ということで、「書きだしておくと忘れても大丈夫なので安心できますよ」という、ごくごく当たり前のことを書いてみました。当たり前だからと言って侮るなかれ、そういった「当たり前」の積み重ねが、落ち着いて暮らしていく土台になっていくものだと日々感じています。