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【徒然20241203】否定形の指示ではなく肯定形のタスクとして書き出そう

こんなポストをしました。

ASDの人は「否定的なことは意味を失い、肯定的なことが意味を持つ」傾向があるそうです。

たしかに、「廊下は走るな」より「廊下は歩こう」の方がスッと入ってくる印象があります。

否定形は抽象的で曖昧な印象を与えやすく、具体的で明確な表現を好む傾向にあるASDの人には「意味を持たない」となりがちです。

さらに一般的にも、「廊下は走らない」→走るところを想像する→走る行動を抑制する→代わりに歩く、というプロセスは回り道感がすごいです。

私は仕事上のメールでよく誤字脱字があるのですが、この考え方でいくと、「メールの誤字脱字をしない!」と書いて目につくよう貼っておいたところで、効果が薄いでしょう。

ところで、否定形はタスクにしづらいです。達成できるものかどうか判定が難しいからです。「メールの誤字脱字をしない」というタスクを実行して!と言われても困りますね。

そこで、「肯定形で」「達成可能な」タスクとして書き出すと、やりやすさを感じることができ、結果的に誤字脱字を防ぎやすくなります。

私の誤字脱字の例でいうと、

「メールを書く」+「2回チェック読みをする」

というタスクにすれば、少なくとも「誤字脱字をしないぞ!」と気をつけながら書くより、やりやすさは上がり、結果的に正確な文章につながるかと。

否定形を肯定形に変えて、「具体的で」「達成感が得られやすい」表現にすることで、実行のハードルは下がります。よろしければやってみていただければと思います。

これ、私としてはとても重要な論点だったんですが、反応があまり大きくなかったですね。

もともと、「タスクの名付け」については、私は応用行動分析という学問の「行動」の定義を参考にしていまして、その一部を切り取って説明したつもりだったんですけど、伝わりづらかったようですね(あるいは、単に私の文章構成力や表現力不足か、テーマがニッチ過ぎるか)。

でも、本当に大事なこととしてお伝えしたいのは、「タスク名次第で、そのタスクがやりやすくもやりにくくもなる」ということです。

引用してくださったこちらの方のポスト、まさにおっしゃるとおりです。

応用行動分析では、否定形は「行動」と認識しづらいとしています。「走らない」「起きない」「食べない」「しゃべらない」など、これら否定形の言葉は「死人でもできること」として、それは行動ではないとしています。これを「死人テスト」といいます。

私は、「行動」と認識できないと、動けないのです。おそらく、私だけではないと思います。自分をいかに「行動」に駆り立てるようなタスクを設定できるかが、タスク管理の「タスクの名付け」では重要です。そういう意味では、否定形の表現のタスクは、あまり実効性は無いと言えそうです。

この論点は、もしかしたら仕事だけではなくて日常生活にも当てはまるかもしれないですね。「食べ過ぎない」「遅刻しない」「欠席しない」「YouTubeを見過ぎない」など。これらは、理論上死人でもできますね。

食べ過ぎない→食べるものをワンプレートにまとめる
遅刻しない→出る10分前にアラームをセットする
欠席しない→夜10時までに床に就く
YouTubeを見過ぎない→同居人に声かけのお願いをする

こんな風にすれば、達成可能な「タスク」として設定できます。前者だと実行できるか疑問符がつきがちですが、後者だと「できる」感があるので、やれそうな気がします。こうやって実行のハードルを下げるは、おすすめです。

死人テストなどの「タスクの名付け」についてもご紹介している本、よろしければご覧ください。


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