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【徒然20241122】タスクリストは自他の境界判断ツールとしても使える

こんなポストをしました。

主にASDの人によく見られる「高い共感性」は、ときに自分がやらなくていいことをしてあげてしまい、タスクが増えてしまって自分の首を絞めることがあります。私もこの傾向があります。

以前私は、助成金の申請に四苦八苦している同僚を見かねて、頼まれもしないのにその手引きをDLしてアドバイスをしたことがあります。

同僚には喜ばれました。しかし、必ずしも私がする必要はありませんでした。しかも相談もされていません。もしかしたら、同僚が自力でやろうとしていたかもしれません。

星新一のショートショートだと記憶しているのですが、「周囲の思い通りに行動する人は、あっちへ飛ばされたり、こっちへ動かされたりして、結局何もできなくなる」という話がありました。

そんなことを引き起こしかねない、ある意味厄介な「高い共感性」とどう付き合えば良いか。

おすすめなのが、客観的な自他の境界をつくることです。具体的には以下になります。

①自分の「やるべきこと」を書き出す
②①に載っていない「やってあげたい」はやらない
③やってあげたいと思ったら、①に書き足したうえでやる(できそうでなければ諦める)

これは、要するに「タスクリスト」です。

「タスクリストに載っている/載っていない」が、「自他の境界のこちら/あちら」の明確な判断基準となり、高い共感性は適度に大事にしつつ、自分の行動を律しやすくなります。

このように、タスクリストを自他の境界判断ツールとしても使うのは、特に自他境界の曖昧になりがちな人にはおすすめです。

このポストに対して、「ASDは共感性が低いものだと思っていました」というご意見をいただきました。たしかに、私もそのように考えていました。しかし、ASDの共感性はもうちょっと複雑なようです。

「Perplexity」という、最先端の自然言語処理と機械学習技術を駆使した、AI搭載の検索エンジンから、このような内容が返ってきました(私が要約しています)。

共感性は「情動的共感」と「認知的共感」の2つに分かれる。

情動的共感とは、他の人の感情を自分も同じように感じ取ること。ASD者は定型発達者と比較して大きな差が見られない、あるいはむしろ高い場合がある。

認知的共感とは、他の人の気持ちや考えを頭で理解しようとすること。ASD者は明確に困難を示す傾向がある。

なので、一様に「ASDは共感性が低い傾向にある」と言えないようです。

おそらく、上記ポストでの私の事例は、同僚が明らかにため息をついていたりして、感情の共有がしやすい人だったのだと思います。

そして、その高い共感性によって、自他の境界があいまいになりがちだという問題点は、確実に私の中にありました。「相手が嫌だな、面倒だなと思っている!代わりにやってあげなければ!」という気持ちです。

ただそれだけだと親切で立派な心がけですが、やり過ぎると自分の身を持ち崩してしまいます。そこで、境界に一線を引くことが必要になってきます。

とはいっても、自分の中だけで「こういったことはしよう」「このようなことはしない」と決めても、そのあいまいさゆえに容易にその境界線を踏み越えてしまいがちです。

そこで、もう具体的に「これはやる」「それ以外はやらない」というリストを作ってしまおうというのが、今回の意図です。

タスクリストは、リスト上に記載されているタスクについての「To Do リスト」ですが、同時に、それ以外のタスクについての「Not To Do リスト」でもあると解釈するのです。

そう考えると、自他の境界を明確に分けてくれる、客観的に認識可能なツールとしても使えるようになります。

その意味でも、タスクリストを作っておくと良いことがあるかなと思います。

そんな「タスクリスト」、もっと仕事を進めやすくするための工夫を凝らしたものを本でご紹介しています。よろしければご覧ください。

※2024/11/23追記

共感性の高さと自他境界のあいまいさには因果関係があるとはいえない、というご指摘を上記ポストにいただきました。ご指摘ありがたく思っております。

私の中では、つい相手の気持ちに共感してしまい、自分のことは棚に上げて相手の課題を一緒に(あるいは代わりに)やってしまう、という感覚でしたので、スムーズにつながっていたのですが、一般的な説明としては不適切だったようです。

では、この「ついやってあげてしまいたくなる」という気持ちは何だろう?と思っています。そして、きっとそれは相手の課題も自分ごととして捉えてしまう考え(これを私は「自他境界があいまいになること」と考えています)と無関係ではないと考えています。

もう少し、ここらへんは考えていきたいと思います。

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