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【徒然20241023】「タスクがいったん手離れしている状態」の解放感

こんなポストをしました。

ADHDの人には、見返りとなる「賞賛」「笑顔」「金銭」などといった報酬の高さによって行動が極端に左右されてしまう、報酬系機能の障害があるとされています。

であれば、自ら「高い報酬」をつくりだすことで、報酬系機能の障害を逆に利用して、行動力を上げることができるのではないでしょうか。

とはいえ、常に賞賛されたり、笑顔をもらったり、すぐに給料の額を上げることはできません。

そこで私は、タスク管理を活用して「タスクから(いったん)解放される」という報酬を得られるようにしました。

やり方は簡単で、「タスクを受け取ったら、自分がやるべきことをやって、すぐに次の人へ渡す」という仕事の基本動作を意識するだけです。

さらに、それが一目で実感できるよう、

・タスクを受け取って自分の手元にある状態
・タスクを渡して自分からは手離れしている状態

これを書き出したタスクに端的に書き添えています。

この「タスクからの解放感」という報酬は、少なくとも私にとってはかなり価値が高いです。

自分にきたタスクを一刻も早く手離れさせたい(報酬を得たい)がために、いち早く自分の作業を終わらせたくなります。

「仕事の基本動作の意識」「手元/手離れの見える化」のセットで、仕事のスピードを上げやすくなると考えています。

これに関連して、拙著『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』では、こんな話をしています。

「紙1枚」仕事術は、退社後や休日だけでなく、会社にいるときも「仕事に追われる感覚」から解放させてくれます。「自分がボールを持っているか? 相手がボールを持っているか?」を意識しながら仕事に向かえるからです。
(中略)
パスを回して自分にボールがないタスクについて、あれこれと考える必要はありません。「あの件のことはいったん忘れよう」とこまめに距離を置くことができます。相手にボールがあるタスクは自分には何もできないので、考えてもしかたがないのです。私のように自責傾向が強い人は、「そんな無責任な」「実は自分がミスしてたらどうするの?」なんて思うかもしれませんが、そこは「紙1枚」に全幅の信頼を寄せて、心の荷物を預けてみましょう。相手ボールは相手ボールです。

発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術(SBクリエイティブ)

この、「タスクがいったん手離れしている状態」の気持ち良さ、解放感に気がついていない方は、意外に多いと思っています。

そんな方は、「タスクが発生して抱えている状態」「タスクを完了させてなくなった状態」のどちらかしかないと理解しているようです。その2つの間に「タスクは抱えているが、自分のコントロール下から外れていったん手離れしている状態」が、実はあるのです。

「会議の資料を作成する」というタスクで、その資料の原案を先輩にチェックしてもらっているとき

「経費精算の申請」タスクで、上司の承認を待っているとき

そんなときが、「いったん手離れ」状態です。

タスクを実行していて思うのは、実は「タスクをいったん手離れさせるための作業」が非常に多い、というものです。そして、手離れした瞬間は、ふっと緊張の糸が解ける実感があります。

つまり、仕事ではこの「緊張→弛緩」を繰り返しているわけで、この緊張から弛緩への流れは、「ちょっとリラックスできる」という報酬になります。

タスクは、この報酬が得られる瞬間をどれだけたくさん作れるかが腕の見せ所となります。全部自分でやってしまおうとすると、手離れする瞬間はまったく訪れません。できるだけ人とやりとりをしながら、あるいは物に頼りながらタスクを進めようとすると、それだけ手離れする瞬間が訪れて、「ホッとする」報酬が多く得られるのです。

目的(どのようにしたら完了になるのか)が明確なタスクであれば、それに向けてできるだけ手離れする瞬間が多くなるようデザインしておきたいところです。そうすれば、抱えるタスクをコントロールしている実感も得られ、手離れする報酬も頻繁に得られ、気持ちよくタスクをこなすことができるようになります。

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