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Photo by
negi_man
《聴覚過敏》目には目を屁には屁を
聴覚過敏の私は上の階の住人の『屁』が爆音に聴こえる。
『わあっ!』
ってなる。
ビクッってなる。
(自販機の唸り声やエアコン室外機レベルで『ゔゔ…』ってなるのに…)
やめてくれぇぇ!
と思うけど、オナラなんて生理現象だから
『へぇこかんといてください』
なんて言うのは理不尽だし。
だいたい、上の住人だって
『よしっ、下の女をビビらせてやろう!』
って屁ぇこいてないだろうし…
そもそも
『屁でビビらせる』
なんて発想はフツー持たない。
まさか、自分の屁が原因で下の階の女が飛び起きてるなんて…知らんわなぁ。
だんだん屁ノイローゼ状態になってきた頃、『あ、屁ぇに耐えたらご褒美作戦だ!!』
と飴玉を買ってきた。
上の階の屁ぇに10回耐えたら飴玉ゲット!
よし、数えてやる。
「ピーッ!!」
わあっ!
…いち、
「ぷぃーっっつ!!」
わあっ!
…に、
「ブォーッッ!!」
ビクッ!
…さん、
紙に正の字を書いていく。
「ぷぅうっ!」
お!
…はち、
「ぷぃんっ!」
う!
…きゅう、
………………。
ん?
おい、
静かになっちゃったぞ?
『こらぁ!
屁ぇこけ、コノヤロー!!』
あと一回で飴ちゃん食べられるんじゃ!
このたわけ!!
あれ?
私、何怒ってるんだろ?
まあいいや、
『屁ぇこかんか!!』
やめとこ。
なんか馬鹿馬鹿しくなっちゃった。
そうだ、今度カラオケで
『ヘーコキましたね』唄おう♪
そうして、私はMEN'S 5の『ヘーコキましたね』を練習し、丸暗記。
最初は笑えちゃって上手に唄えなかったけど、いまは振り付けつきミュージカル風に唄える。
一切、笑わずに。
毎日、練習していたら『おはようございます』とか『おやすみなさい』みたいにナチュラルに慣れた。
そして、上の階から滅多に屁は聴こえてこなくなった。
※聴覚過敏なのに何故カラオケなんかするんだ?!と思われた方へ。