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ヒラタブンブク。
「さっむぅ!
寒っ!!
こんなに風強いなんて!
ごめんね、付き合わせて💦」
私は、
いや私たちは車を出して岬まで来ていた。
ブワブワと吹き荒れる風。
飛び立つカモメたち。
シーグラス拾いに来たのに、シーグラスが落ちてない。
浜を一つ間違えた。
んむ?
これはブンブク!
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珍しいものを拾った。
「ありがとう!私もう満足!
ブンブク拾った!」
「それ何?」
「ウニの仲間の死骸(笑)。
私集めてるの、タコノマクラとか」
家に着いてから正式名称を調べたら、
ヒラタブンブクというらしい。
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生きているときはこんな姿で、砂地に生息しているとか。
踏むととても痛いらしい。
食用にはならない。
ウニとは思えない速度で砂に潜るらしい。
不思議な生き物。
いいもの拾ったとはしゃぐ私を、嬉しそうに彼が見ている。
二年前にケンカ別れした男性と再びお付き合いをはじめた私。
彼は変わっていた。
私も状況が変わった。
心境も変わった。
やり直せるかも…。
彼の
「もう一度だけチャンスをくれないかな」
に、私が応じた。
ヒラタブンブクみたいに毛深い彼。
この写真を見せて、
「見てみて!
生きてるときはこんなだって!」
「うわっ!もじゃもじゃじゃん!」
「人のこと言えるの?(笑)」
懐かしいような、夫婦漫才のような。
不器用な二人が、やり直しています。