《駄文》神経質なサザエさん。
ここしばらく、精神的にもだけど一人で曝露療法(エクスポージャー)を継続して、身体を壊していました。
身体に異変が明らかな形で現れて、『ああ、ダメだ…これ以上やったら再起不能になる』と悟り、プロがついてくれるまでは保留に変更しました。
そりゃそうだわな…と思いつつ、結構粘ったので悔しいです。
思い出して、書き出して、読み上げて…
やっぱり頭では『自分に非はなかった』と理解していても身体がショックを起こしてしまう。
しばらくは、与えられている作業。
最低限の食事。
最低限の家事。
それができたらよしにしてあげないと…
しばらくは情報も全て断ち切って、静かに静かに過ごしていました。
半月ほど大人しくしていたら、急に長渕剛の『ひまわり』が頭の中をぐるぐる流れ出したため、近所迷惑にならないように民家も人もいない海辺の岩の上で『かわ〜をく〜だ〜る〜ぅうう〜♪』
「ギェアーッ!!」
「あ"ーっっ!!」
『えっ?!』
私は振り向きました。
もう日は沈んでいたから、ウォーキングの2人連れマダムが悲鳴を上げていました。
普段人がいないところだから、驚かせてしまったようです。
サーチライトのようにマダムのライト2つが私に向かいウロウロしながら交差する。
まるでルパン三世。
何も考えたくないときにパズルをやるけれど、何も考えたくなくても手元に何にもないとき『歌う』のもありだから…とまた❝沖縄風❞にアレンジされたフォークソングなどを覚え始めました。
********************
ここ一番のお気に入りは『沖縄風サザエさん』。
(…フォークソング?ん?)
私も知らなかったのだけど、サザエさんのオープニングソングは4番まである。
お魚くわえたドラ猫を追いかけて、草野球して、財布を忘れて、明るい笑顔に幸せがついてくる最強の女性。
彼女は常に晴れ女。
明日まで❝いい天気❞にしてしまう。
しかも草野球はなんと二刀流。
あの大谷翔平を彷彿とさせる。
もはや、カツオもナカジマも出番がなさそうだ…
そんな彼女の曲を、
『ハーイーヤ、イーヤーサーサー!』
『ッハッハッハッハッ!!』
かけ声つきで、
沖縄風の独特な調子で、
たまに声を返しながら歌うのだが…
私はしばらく運転も控えていたため、気晴らしも兼ねて海辺を走っていたら、いかにもヤンチャそうな車が煽ってくるではありませんか。
ちゃんと迷惑や危険がない程よい速度で走っているのに…
車通りが少ないからと飛ばすと痛い目に遭うのが、海辺の道だ。
それを除いたって、煽るなんて危ないじゃないか。
スゥゥウー…
『♪ハーイーヤッ!
♪ハーイーヤッ!
♪ハーイーヤ、イーヤーサーサー!!
んぉさかなくわぇたドラ猫♪イーヤーサーサッ!
おぉおっかけぇ〜て♪ッハッハッハッハ!』
明らかに後ろのアホグルマのスピードが落ちた。
サザエさんが怖いんだったら煽るんじゃねぇ。
その後数回近寄られたが、掛け声を発してやると、明らかに減速するため、どうも本当に気味が悪いらしい。
コッチが中古の軽自動車だからって気軽に煽るな。
ぼんやりと考えた。
運転がメインだから、別のことは考えちゃいけない。
だが、『武装したもの』『強そうなもの』『攻撃してきそうなもの』。
そんなものより『理解できないもの』がきっと人間にとって脅威なのだ。
実際、後ろのアホグルマは中古でボロボロの軽自動車から、沖縄料理店のBGMみたいなかけ声つきのサザエさんがかなりの高音で聴こえてきたため、たじろいでいる。
かなり長い直線道路に入った途端、アホグルマは私を追い越していったが、田舎道だからこそ追い越しは危険だ。
当たり前のように……横断歩道はただの模様だからだ。
誰もそこまで歩かない。
たま〜に、降って湧いたようにおばあちゃんが現れたりする。
家に着いてから、
サザエさん…か。
ずいぶん見てないなぁ。
早とちりして、勘違いして、間違えて、ポカして、スカして…あーっ忘れてた!
おんなじミスをいつも自分もするから、
『あかんてぇ、目ぇ離したら忘れてまうで』
『ほれみぃ、何やっとったか忘れてまったがね』
と自分を見ているみたいでイライラしちゃうから、あまり好きじゃなかったんだよね。
『そんなもん、メモとっとかな〜』
『壁に貼っとけ?』
たぶん、彼女のポカは彼女の人柄でちゃんとカバーされていて、私はそこを努力でカバーしてきちゃったから『イライラする』んだよね。
これは私の人生テーマ。
今もなっている。
やってしまうことが一緒でも、生真面目で綺麗好きで几帳面な私は表層では笑顔でも内心は『ちょっと!何してくださいやがる!』と怒り心頭なときって結構多い。
いわば私もサザエさんなのだ。
神経質なサザエさん。
やらかすミスは似たようなもん。
だけど、神経質で、几帳面で、潔癖だから、ミスしないように細心の注意を払っている。
周りからは『明るいやっちゃな〜』と言われるがストレスはかなり溜め込んでいる。
きっとサザエさんってしっかり自己肯定感とやらが存在する人なんだろうなぁって。
私は思う。
ネアカみたいに思われている私の正体は、きっとめっちゃ神経質なサザエさんなんだろうな…
自己肯定感のひく〜い神経質なサザエさん。
彼女のようにポカもスカもまとめて『認めている』ひとを私は嫌悪してしまう。
嫌悪しながらもきっとどこかでは私は彼女をリスペクトしている。
何の話や。