秋の花、思い出。
6年前に付き合っていた男性と、川沿いの一面の彼岸花を見に行った。
私の車で。
駐車料金がものすごく高くて、うろたえながら私が払った(笑)。
綺麗だね…
私がそう言っても彼は上の空。
時折私の腰に手を回して、手が下がってくる。
…ダメですよ。
…人前で見苦しいです。
払いのける。
残念そうにしたを向き、一張羅のズボンのポッケに手を突っ込む。
…そろそろ買い替えてあげないと…
股擦れした彼のズボンは穴だらけ。
縫っても縫っても当て布すら破いてしまう。
股擦れって服をだめにする。
…そんなこと考えてる私も彼をだめにしてるのだろう。
彼岸花に雨が降る。
私は持ってきた傘を広げ、彼を入れる。
…風邪引くよ?
…え?お腹減ったぁ?
仕方ないなぁ。
出店は地元高級肉を使ったものしかなく、
〇〇牛ハンバーガーを頼んだ。
彼岸花の時期は〇〇市はちょっとしたお祭りなのだ。
ハンバーガー1個1600円…う〜ん、2つは買えない。
…半分こだよ?
…うん、俺ここまで食うね
…うん
どうでも良かった。
私には彼岸花の絨毯を、雨で散ってしまう前に見られたことが嬉しかったから。
…〇〇ー、食ったぁ
…はいはい
ギャンブル依存症の無自覚アスペルガー症候群に、私はたかられている自覚はあった。
私がいなければこの子はご飯も食べられないのだ。
でも、この子は私に振られてもまた依存先を見つけて生きていく。
虚ろな彼の瞳には、私が食べている残りのハンバーガーしか映ってなかった。
金木犀が咲く頃に一昨年お付き合いした男性と公園でデートをした。
清々しい青空だった。
…みてみて!珍しいよ!
しばらく暖かかったから間違って桜が咲いちゃってる!
はしゃぐ私に、写真でも撮ったらと彼が言う。
幸せな時間だったのに。
彼は自分が不倫をしていたこと、親に私と別れるように言われていること、3日に一度しか歯を磨かないことなどぶち撒けた。
「ああ、〇〇は親の介護とか考えなくていいからラクだよな…
羨ましい。
虐待されてたからって親から逃げた〇〇が羨ましい
うちのオカンが泣くんだよ、そんな不良女許さないって、息子の俺に女ができたことが許せないって、泣くんだよ、俺つらいよ…」
そんな話が8時間続いた。
聞かされる側の気持ちにはなれないのかな…
軽口叩いてトラブルによくなってるけど、
この人も…
それから私は金木犀の香りが嫌いになった。
秋の花。
好きと嫌いが交錯する。
甘ったれたバカ男を思い出してしまう。
花に罪はない。
ただ、命の限り咲いている。
恨み言を言うでもなく。
私とは違うね(^^;)