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白いねずみさんと尻尾。
白いねずみさんは、昨日はまん丸だったお月さまから不思議な話を聞かされて、木の実集めに集中できません。
「…あっ、また落としちゃった…
ダメだなぁ、僕」
今日見つけた木の実の中で一番立派なものを落としてしまいました。
ねずみさんはため息をつきました。
…もう、今日の木の実集めはこのくらいにして、お家に帰ろうかな…
ねずみさんは後ろを振り返りました。
「う〜ん、やっぱりわからないよ!
僕にも長い尻尾があるのに!」
抱えられるだけの木の実を持って帰り、洞に大切にしまいました。
ふかふかのわらのベッドに転がり込み、口を尖らせながら自分の尻尾を見つめます。
わかんない!
お星さまに尻尾があるなんて、
僕、わかんないよ!やっぱり!
昨夜、お月さまから聞いたのは、
「もうすぐ尻尾のあるお星さまがやってくるよ」
ねずみさんはびっくりして目をパチクリするばかりでした。
尻尾のあるお星さま?
なにそれ!
翌、早朝、白いねずみさんはヤマネさんを訪ねました。
「…ヤマネさん…起きてるぅ?」
「ふぁ〜あ、ねずみさんかな?
なぁに?どうしたの?」
ねずみさんはお月さまから聞いた尻尾のある星の話をしました。
「ふ〜ん…尻尾のある星か…
とにかく、お上がりよ。
中に入ってきてよ」
「ヤマネさんはどう思う?
こーんな尻尾の生えた星なんてあると思う?」
「ふふふ…ねずみさんは自分の尻尾みたいな尻尾を想像したんだね。
ヤマネの僕の尻尾は君と同じかい?」
「え!…あ、ううん、僕のと違ってふわふわした毛が生えててふっくらしているよ」
「じゃあ、野うさぎさんは?」
「野うさぎさんの尻尾はうんと短くてピンと上を向いているよ」
「じゃあ、牧場の牛さんはどうだい?」
「あんまり見たことないけど…スッと細くてさきっちょだけふさふさだったかな?」
「みんな違う尻尾が生えているよね」
「うん…」
「だから、きっと星さんには星さんなりの尻尾が生えていると思うよ?」
「確かに、僕は自分の尻尾しか見ていなかったよ」
今度の日暮れ時に、その尻尾の生えた星がやってくるといいます。
「ヤマネさん、一緒に尻尾の生えたお星さまを見てくれるかい?」
「ああ、いいとも」
ふたりはこの後、彗星を観たのでした。