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【ゲームレビュー】Marvel’s Spider-Man Remastered【アクションアドベンチャー】

XBOX Series Xコントローラーを使用。クリア済み。※本稿はPC(Steam)版『Marvel’s Spider-Man Remastered』のプレイを基に執筆しています。


『ラチェット&クランク』シリーズでお馴染みの『インソムニアックゲームズ』が贈る、オープンワールドの3Dアクションアドベンチャー。親愛なる隣人『スパイダーマン』となって、ニューヨークの摩天楼を縦横無尽に駆け巡り、犯罪や巨大な陰謀と戦おう。

--------------------【良い点】--------------------

キャラクターと物語

◆ 主人公は初代スパイダーマンこと『ピーター・パーカー』の物語を中心に進んでいく。彼は通常の生活と『スパイダーマン』というヴィジランテとしての二重生活を送っている。

大まかな流れとしては、裏社会のボス『キングビン』を逮捕した事が発端となって発生する様々な事件を『スパイダーマン』がニューヨークの摩天楼を駆け巡りながら解決していくというシンプルなものだ。

陽気な主人公。

今作は『ピーター』がスパイダーマンとして活動し始めてすぐの時期やオリジンからではなく、既にヴィジランテとして何年か活動した経験豊富な状態からのスタートとなる。

そのため、原作を知っている人は『ピーター』がクモにかまれるシーンや『ベンおじさん』が酷い目にあうシーンを再度観る必要はない。知らない方、気になったのなら映画版や原作コミックを購入して自分で確かめてみよう!

普段の主人公『ピーター・パーカー』。彼は『スパイダーマン』としての活動の傍ら、普段は研究者として仕事をしている。

冗談はさておき、このタイプの作品ではキャラクター性がしっかりと描写されているし、アメコミがそうであるようにどのシリーズから入っても楽しめる作りとなっている。なので、原作を知らない方でも心配はいらない。

シリーズお馴染みの『MJ』や『メイおばさん』といったキャラクター、そして『ドクター・オクトパス』や『エレクトロ』等のヴィラン達が登場するのでファンは必見だ。

ヴィランの一人である『バルチャー』との迫力ある戦闘シーン。

もちろん、これらのキャラクターが活躍するムービーパートでも迫力のあるアクションを観る事ができ、一部のシーンではQTEが挟まる。今作のQTEはゲーム性とマッチしており、面白いモノになっているが、苦手な方はオプションから自動で行うように設定できるので心配する必要はない。

QTEはメニュー画面から『自動』に設定する事も可能だ。

メニュー画面からは今作の魅力的な登場人物達の簡単な物語や説明を見る事もでき、そういった点でも原作を未読の方にもしっかりと配慮されている。

敵も味方もオリジンが語られないので、知らない方はメニューから確認しよう。

戦闘

◆ 戦闘は『PS2』や『GC』で発売された『アルティメット スパイダーマン』、その他に『Web of Shadows』や『Shattered Dimensions』等の『スパイダーマンらしい』攻撃法などを取り入れつつ、別のヒーロー物作品を例で出して申し訳ないが、『バットマン アーカム』シリーズでお馴染みの現代的なシステムを今作様にチューニングしたものとなっている。

ボス戦では近接戦ばかりではなく、敵を追いかけたり、スキができるまで回避をしていくなどの特殊な戦闘も楽しめる。

ストーリーの進行での戦闘の他に、探索をしているとサブミッションやランダムな戦闘が発生する。
様々なコンボを繰り出そうとすると最初は戸惑うかもしれないが、基本的に戦闘では手軽にボタンを連打しているだけでもカッコよくて爽快感のあるコンボを繰り出すことができる。コンボや技は後述する強化要素で新しく解放していくことができる。

解放した技はリストから確認する事ができる。

回避行動もイカしていて、敵が攻撃する際にスパイダーマンは特殊能力『スパイダーセンス』によって危機を感知する事ができ、それがプレイヤーには視覚的に『敵の頭部に白いエフェクト』として表示される。そのエフェクトが表示されたタイミングで回避ボタンを押すだけというお手軽さで、回避の向きや状況によって主人公はアクロバティックに敵の攻撃を回避してくれる。

スパイダーマンらしい攻撃方法としてガジェットの一つである『ウェブ・シューター』を使用しての(中)遠距離攻撃もある。こちらには弾数に制限があり、時間の経過と共に自動的に回復していく。
『ウェブ・シューター』以外にも強力なガジェットを使用可能だが、こちらは敵の撃破でしか弾数が回復しないので、計画的に使用すると良いだろう。

『ウェブ・シューター』は強力なので、積極的に使っていこう。

これらのアクションを行い、コンボをキメる事で『フォーカス』ゲージが溜まっていく。フォーカスゲージは消費する事によってライフの回復や、一定値消費する事でザコ敵を瞬殺する必殺技『フェイタルムーブ』を繰り出すことができる。
この攻撃事態はは強力なボス相手でも発動する事ができるが、その場合『ボス』は即死せずに大ダメージを被るだけとなる。

まわりの敵を一掃する事が可能な必殺技『ウェブ・ブロッサム』。

こういった通常の戦闘以外でも、敵に発見されていない状態からのステルスキルを行う事もできる。高所から敵を釣ったり、背後からガツっとやるやつだ。直接の戦闘が開始される前にある程度の敵の頭数を減らすことは重要だ。

このタイプの作品ではお馴染みのシンプルなステルス要素

仕組みとしては前述した『アーカム』シリーズをプレイした方であれば、そちらのステルス要素と同じだと思って問題無い。

別視点

◆ 一部のミッションでは別のキャラクターでプレイする事になり、特殊なステルスパートとなる。
基本的にプレイヤーが操作する事となるキャラクター達は主人公である『スパイダーマン』のような身体能力や攻撃能力を持っていないので、良い意味で本編とは変わった形のプレイを強制される。

成長要素

◆ 簡単に分けるならば『スキル』『スーツ』『ガジェット』という成長/強化要素が今作にはある。

スキル:スキルツリーで、レベルアップ時に取得できるポイントを一定量消費する事によって新しいアクションやパッシブ等をアンロックしていくスタンダードな仕組みになっている。
スキルツリーには『イノベーター』『ディフェンダー』『ウェブスリンガー』という三種類の系統があり、順に『攻撃能力系』『回避/回復/防御系』『ガジェット等の強化』となっている

どのスキルも有用なので、好きな順番でアンロックしていくと良いだろう。

スーツ:スーツはレベルアップしていく事でアンロックされ、作成/改造が可能になる。アンロックされた後、スーツ自体は後述する各種『アクティビティ』で取得できる『トークン』を消費する事によって作成/強化が可能だ。

アンロック可能なスーツはゲームを進めて行く事で増えていく。

スーツはただの外見変更用のアイテムでは無く、作成した時点で『スーツパワー』という能力が解放される。
それぞれのスーツパワーは発動後に強力なバフを一定時間プレイヤーに与えるものになっているが、クールダウンが発生するのでここぞという時に使用すると良いだろう。

一度アンロックした『スーツパワー』はアンロック元のスーツ以外にも付与する事ができるので、お気に入りのスーツにお気に入りのパワーを付けて冒険できる。

また、スーツに改造パーツを取り付ける事によって攻撃力と防御力の強化、パッシブ効果の付与を行う事ができる。こちらは単純に強くなるので、積極的に行うと良いだろう。

プレイヤーレベルが上昇する事で、改造パーツが新規に追加されていく。

ガジェット:スーツと同様にアクティビティで取得できる『トークン』を消費する事によって強化を行う事ができる。
こちらの強化内容はシンプルに『弾数の増加』であったり、『効果範囲の拡大』などになっている。

ガジェットの強化はいたってシンプル。初期から使用可能な『ウェブ・シューター』は早めに強化しておくと戦闘が大分ラクになる。

マップの移動

◆ 歴代の『スパイダーマン』ゲーム作品の多くで『摩天楼を移動する』というのは面白いと同時に『壁に引っかかる』『予期せぬ場所に出る』『移動に失敗する』など問題点も多かった。
今作では技術の進歩もあって、それの問題を上手く解決しており、爽快にニューヨークの摩天楼をスウィングで“サーフ”する事ができる。

過去のスパイダーマン作品に登場したスウィング時の問題点はほとんど改善されており、ストレスなく街を移動できる。

舞台となる『ニューヨーク』は美麗なグラフィックスで描写されており、PC版ではレイトレーシングや各種オプションから更に高画質に設定する事もできる。
特にレイトレーシングと各種反射周りの設定をオンにしてプレイすると、重くなることは仕様が無いとして、没入感が大分変わる。

街の移動はそれ自体が面白い要素になっている。

移動はスピーディで爽快感があり、それだけでも楽しいが、ゲームを進めてスキル『エア・トリック』をアンロックすると空中でトリックをキメて経験値稼ぎやフォーカスを回復させる事ができるようになる。

移動自体が爽快であるため、アクティビティが発生する場面への移動や単純に街の散歩(?)自体がゲームとして面白い、楽しめるように作られている。

アクティビティ

◆ マップ内には『サイドミッション』、『収集要素』やちょっとした『パズル要素』といった、このタイプのオープンワールド作品ではお馴染みの様々なアクティビティが配置されておる。

どれも攻略する事で経験値やスーツやガジェットをアンロックする為に使用する『トークン』を入手する事ができる。

ランダムに発生する犯罪のアクティビティ。これ以外にも犯罪者を追跡する、単純に敵を撃破するアクティビティがランダムに発生する。

これと言って今作独自のアクティビティがあるわけでは無いが、くどい様だがマップの移動自体に爽快感があるため、ついつい攻略したくなる。

--------------------【悪い点】--------------------

カメラワーク

◆ このタイプの作品ではしばしば起きる現象だが、今作でも稀に一部の狭い場所での戦闘シーンではカメラが変な場所で固定したり、主人公の位置が見えないという現象が発生する。

特定の場面で存在しない場所へと移動した事もあったが、非常にまれだ。

ステルス要素

◆ 悪い点と言うほどではないが、敵AIはこちらが物音や特定の行動を取ってもなかなか気づかずに、プレイヤーに有利に事が運ぶ。
この手の作品ではよくある仕様なので、筆者としては問題無いのだが、ガッツリしたステルスが楽しみたいプレイヤーは少し肩透かしを食らうかもしれない。

キャラクターの掘り下げ

◆ 大量のヴィランが登場する作品であるため、殆どのヴィランの掘り下げがされていない。
そのため、ファンはともかく、初見のプレイヤーには余り印象に残らないような登場と退場をしたキャラクターが多い。要は一部キャラクター本来の魅力をあまり引き出せていないという事だ。

アーマーのデザインがイカしている。

ただし、その分キャラクターのデザインやビジュアルには凝っている。

---------------------【総評】--------------------

ヒーロー物作品として成功している事は伊達ではなく、アクション、演出、オープンワールド周りの作り、どれをとっても高品質にまとまっている。このタイプのジャンルとしては最高の作品の一つと言っても良いだろう。

キャラクターを知らないプレイヤー向けにも配慮されているので、『スパイダーマン』を知らないとしても、今作から“スパイダーマンを知る”というのもありだ。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:


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