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【ゲームレビュー】Protodroid DeLTA【3Dアクション/プラットフォーマー】

PS5 コントローラーを使用。クリア済み。※本稿はPC(Steam)版『Protodroid DeLTA』のプレイを基に執筆しています。


あらすじとゲーム概要

◆ 『ロックマンX7』風ハイペース3Dアクションプラットフォーマー。超高性能アンドロイド『DeLTA』を操作して、自らを強化しながら、迫りくる敵と戦おう。

主人公の『DeLTA(デルタ)』。性能のテスト中に奇襲を受け、不本意に戦闘が始まる。

物語の舞台は近未来。技術が進歩しつつも、自然と共存する“ソーラーパンク”な世界『Radia』。
この世界では共存と平和を謳歌する人々もいれば、一部の地域に圧政をしき、技術と資源を独占する『ヴァイパー・マスター』と呼ばれる独裁者の様な人物達も存在する。

本作の悪人枠。ボスは本人たちでは無く、ロボット/アンドロイドとなる。

圧政をしかれ、苦しむ人々を救うべく、プレイヤーは『ノア・シェルトン』博士によって作られた超高性能アンドロイドの『DeLTA(デルタ)』を操作して、『ヴァイパー・マスター』達を“説得”して回る事となる。

紹介文からややヤバイ人臭のする『シェルトン』博士。紹介文がアレだが、良い人である。

ゲーム性に関しては別の項目で詳しく解説するが、軽くさわりだけ。
本作は所謂ステージクリア型のアクションプラットフォーマーとなっており、ステージを選択して、好きな順番でクリアして進めて行く。

本作はメインとなるステージが四つ+αしかなく、他の同タイプの作品と比べるとステージ数は少な目だ。

基本的な操作/アクションは『ショット/チャージショット』『剣による近接攻撃』『ジャンプ』『ダッシュ』となっている。
近くに敵がいると自動的に敵はロックオンされ、ショットは敵のいる方角へと飛んでいく仕様になっている。

これらにプラスして、ボスを撃破する事によって得られる特殊武器や後述する強化パーツによるアクションなどが追加されていく形だ。

敵は自動的にロックオンされる仕様だ。

アクションを上手く組み合わせ、地形やギミックを攻略していき、ステージラストに登場するボスを撃破する事でステージクリアとなる。

ハイペースなプラットフォーマー

◆ もう一つのメイン要素である戦闘面については別の項目で解説するとして、『Protodroid DeLTA』最大の特徴はそのハイスピードな移動能力、それを活用できるステージ構成とプラットフォーマー要素にある。

ダッシュ+ジャンプを使用しながら高速でステージを攻略していこう。

基本的にステージとギミックは主人公の能力を活かすことで素早く攻略ができ、移動をしているだけで、プレイヤーに爽快感を与えてくれるような作りになっている。

足場から足場へと高速で飛び移りつつ、ギミックを攻略していく面白さをしっかりと出している点はプラットフォーマーらしくて好感が持てる。

道中の敵を倒すメリットはあまり無いため、地形攻略に集中できる場面が多い。

また、ステージ内には強化パーツや技、自キャラの体力などの最大値を上昇させるチャレンジステージも隠されているので、気になったら探してみよう。
こういったチャレンジステージはその名の通り、挑戦的な内容になっている事が多いので、腕に自信のある方は楽しめるはずだ。

ステージ内で入手できる通貨を使用して、いくつかのパワーアップアイテムを購入する事も可能だ。

ちなみに、『二段ジャンプ』や『空中ダッシュ』等の移動能力を追加/強化してくれるパーツも存在するのだが、基本的には無くとも問題ないようにステージが作られているので、無理に探す必要は無い。

影響元への愛

◆ ゲーム性とは少し異なっているが、『ロックマンX』シリーズのキャラクターをモチーフとした『キャラクターの外見変更スキン』などの要素、本作をプレイしていると様々なオマージュや小ネタから開発元が影響元である『ロックマンX』シリーズが好きだという事がしっかりと伝わってくる。

主人公の装備を何処かで見たような外見に変更するスキン。筆者のお気に入りはこの『タイプX1』だ。

些細な事ではあるが、こういった姿勢は好感が持て、しっかりと評価したい。

余計な変更点

◆ 本作には戦闘面で大きな問題点があるのだが、それの本質を解説するには少々本作の影響元である『ロックマンX7』の説明をする必要がある。詳しくは長くなるので、問題となる部分だけまとめよう。

まず『ロックマンX7』は主人公である『X』が隠しキャラクター扱いになっている事はご存じだろうか。
主役が隠しキャラクター扱いという時点で色々と疑問に思うだろうが、そちらに関しては脱線してしまうので、詳しい情報は自分で調べて欲しい。

本題に戻るが『X』が隠しキャラクターになった理由は良くも悪くも色々とあるのだが、その一つは『X』の性質上、彼は『トレードマーク』とでも言うべき非常に強力な遠距離攻撃『チャージショット』を有しているからだ。

『チャージショット』は安全圏から一方的に、チャージが必要という事以外はデメリットも無く、敵を攻撃できる非常に強力な能力になっている。
それが3Dアクションになった事でゲーム性が変わってしまった『X7』ではさらに“強力”になったのだ。適当な場所に隠れつつ、撃ちまくれば良いわけだ。

前述したように本作の主人公である『DeLTA』もチャージショットを撃つことが出来る。

ここで本作の話に戻るが、ここまで読んでくれている方の一部はもう察していると思うのだが、本作は『X7』系の作品で主人公は『チャージショット』を使う能力も持っているのだ。

そのため、『チャージショット』が強力になりすぎない様に制限が設けられており、エネルギーゲージの概念があり、これが切れていると『チャージショット』を撃てなくなる。このゲージは近接攻撃を敵にヒットさせる事で回復できるようになっている。

近接攻撃以外の回復手段としては、チェックポイントを通過する、エリア移動を行うとエネルギーが最大まで自動的に回復される。

このシステムは上記した『X7』の問題点を克服するために取り入れらた要素だと思われるのだが、正直上手くいっていない。これから解説するが、正確には、ボス戦以外では上手く機能していないと言える。

まず、『エネルギー』という制限がある影響で、ボス戦ではこちらが一方的に遠距離から攻撃できない様になっている点は上手く機能している。
影響元とは異なり、戦闘中に遠距離と近接攻撃、それらをタイミングを見計らって使う事が出来るようになって、主人公の性能がしっかりとゲームとして成立している。

ボス戦では、エネルギー周りの仕様は上手く機能している。

一方でこのエネルギーによる制限はステージ攻略中に大きな足枷となっており、プレイヤーにストレスを与えてしまっている。
想像して欲しいのだが、ステージ攻略中には大量のザコ敵が登場するのだが、『チャージショット』が制限されているため、プレイヤーは近接を混ぜつつ攻略する事になるわけだ。だが、そうすると攻略の足が止まってしまう。

こちらの動きを阻害するような、ゲーム性と合っていないザコ敵が多く配置されている。

前述したように本作はハイペースなプラットフォーマー要素が売りであるにもかかわらず、無理矢理に足を止める要素がそこら中にあるのだ。
もちろん、戦闘自体がダメという話ではない。この場合は本来のゲーム性と合っていない足止めが発生する事からくる“面倒さ”が問題となる。

特に初見ではどのタイミングでチャージショットを撃つべきか分からないために、ザコ敵にくぎ付けになり、ステージ進行を止められてしまう場面が多い。

いくつかのザコ敵はしつこく追いかけてくるので、撃破した方が良いだろう。

この制限からくる問題は、本作がボス戦よりもステージ攻略自体が面白い作品であるだけに、同タイプの作品である『X7』の問題点を克服しようとして、完全に裏目に出てしまっていると言えるだろう。

細かい調整ミス

◆ 戦闘面やステージ構成に関してはその他にもいくつか問題点がある。一部のストーリーとゲーム性に関わるような、気になった点をいくつかだけ挙げよう。


①:ボスを撃破する事で入手できる特殊武器/能力を使用する必要性が殆ど無く、魅力に欠けている。

②:ボスの特殊武器/能力を使用する際に消費されるエネルギーゲージが『チャージショット』のゲージと共通しているため、迂闊に使用できない。

全く役に立たないというわけでは無いが、特殊武器は使い勝手がイマイチである事と、チャージショットと同じエネルギーを使用するために出番が殆ど無い。

③:各ステージは『3エリア+中ボス+大ボス』、計5の区画に分かれているのだが、各ステージが悪い意味で異様に長い。チャレンジエリアも含めると更に長くなる。

ステージをクリア後は好きなエリアからスタートできる点が唯一の救いだ。

④:全てのステージで登場するギミックや構成が似ており、背景が変わっただけのステージになってしまっている。ただの延長になっており、個性/テーマが欠けてしまっている。

⑤:明らかにゲーム性と合っていないような、こちらの動きを阻害/一時的に拘束するタイプのザコ敵が登場する。難しいとかでは無く、ゲーム性に合っていないために面倒な部類だ。

重力の渦を作り、プレイヤーを引き寄せてくるザコ敵。

⑥:ストーリーに要素を詰め込みすぎてまとめ切れていない。そう見せたいわけでは無いとは思うのだが、主人公側が武力を背景に人々を無理やり従わせている格好になっている。

そういうつもりではない事は分かっているが、ストーリーの流れから『DeLTA』という圧倒的な武力を背景に、特定エリアを牛耳っている人物を従わせているようにしか見えない。

⑦:攻撃時のロックオンが自動であるため、実際に狙っている対象とは別の敵をロックオンしてしまう事が多い。

等が大きな問題点となる。ちなみに筆者がプレイした時点では『オプション設定』が存在しなかったのだが、本レビュー投稿時点では追加されている。

-------------------【良い点】-------------------


+ ハイスピードで移動可能なプラットフォーマー要素

+ 原作への愛

-------------------【悪い点】-------------------


- ゲーム性とイマイチ噛み合わないキャラクター性能

- 各ステージが長すぎるだけでなく、テーマやギミックが殆ど同じ

- 無理に色々と詰め込んで、まとめ切れていないストーリー

--------------------【総評】-------------------

ハイペースなプラットフォーマー要素と原作愛は評価するが、それ以外の調整が可笑しなことになっており、本作の良い部分の殆どをダメにしてしまっている。

ストーリー面でも色々と詰め込みすぎた影響でまとまりがなく、本来は“善玉”である主人公達が見せ方の影響で可笑しな思想のヤバイ集団の様に映ってしまっている。物語の内容が散らかってしまっている。

ゲーム面ではせめて、ステージ毎のギミックや構成にもう少し違いがあれば良かったのだが、非常に残念だ。


プレイ動画をアップしているので、本作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:


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