【ゲームレビュー】Death Stranding【3Dアクションアドベンチャー】
PC版『Death Stranding』のレビューとなります。
主人公『サム・ブリッジズ』が『デス・ストランディング』によって完全に姿を変えられた世界に立ち向かう、荷物運搬系3Dアクションアドベンチャー。
※ゲームシステムについて触れられることの少ない作品の為、システムとプレイ内容を中心にレビューさせていただきます。
----------------------【良い点】----------------------
登場人物
◆ 俳優が豪華かつ演技が上手い俳優が多く、物語に重みを与えている。主人公の『サム』の『ノーマン・リーダス』や『謎の男』役の『マッツ・ミケルセン』、はてには映画監督の『ギレルモ・デル・トロ』まで出演している。映画好きとしては、たまらない。最高だ。
ゲームの流れ、『歩く』というゲームプレイ
◆ 基本的には配達、『荷物運搬』の依頼を受注し、それらをこなしていく事で物語が進行していく。メイン以外にも『サブミッション』扱いの依頼も多いが、物語を進めたい場合はメインのみを進めて行くことも可能だ。
この『荷物の運搬』をただの単純な作業では無く挑戦的な体験にする為の工夫が、プレイヤーの通過する事となる地形には施されている。
例えば、それは渡らなくてはならない『川』であり、登るべき『山』、もしくは地形だけでは無く『天候』がプレイヤーの進行を妨げてくる。これが『歩く』という行為をゲームに昇華させている要因の一つに感じた。
主人公『サム』は足場や場所によってはよろけてバランスを崩し、背負っている荷物を取りこぼしてしまう。ゲーム的には、よろけた際にはボタンを押すことで『踏ん張る』事ができるが、これにも限界がある。
荷物には『劣化率』が設定されており、これが『100%』になると運搬失敗になってしまう。その為、プレイヤーは否が応にも一定の緊張感をもって、歩く場所に気を付け、悪路を回避する必要が出てくる。
他の多くの『オープンワールド』システムを取り入れた作品の世界、マップが探索するべき場所なのに対して、今作の世界は探索する為の場所では無く、『プレイヤーを阻む最大の敵』として機能してると言えるだろう。
どのようにして『先へと効率よく進むか』をプレイヤーが考え、『梯子』や『ロープ』といった道具を使って工夫して進めて行く事が今作を『ただのウォーキングシミュレーター』では無いモノにしている。
また、道具に関してはゲームを進めて行くと新しい物がアンロックされていく為、ゲームのプレイスタイルが徐々に変化していく点がプレイヤーの『マンネリ化』を防いでいる。
例えば、『乗り物』は危険な地形を通過する際に有効活用でき、プレイに大きな変化をもたらしてくれる。
余談だが、今作の舞台は荒廃した世紀末の『アメリカ』のハズだが、どう見ても普通の夏場の『アイスランド』が舞台だと言われた方がしっくりくる。
歩くだけではない
◆ 基本的には荷物を『ポイントAからBへと運搬』する事がゲームのメインとなるが、戦闘やステルスといった要素が全くないわけでは無い。
野党やモンスター(BT)が主人公を阻む場合もある。多くの場合は戦闘をするよりも、逃げた方が賢明だ。ネタバレになってしまうので、理由は伏せるが『敵(人)を殺す』事はオススメできない。
戦闘を行う為の道具や武器には当然だが、重量がある為、多く持ち歩くと運搬できる『荷物』が減ってしまう。その為、何を持っていくかを取捨選択していく必要が出てくる。武器には非致死性武器もある為、状況によって使い分けることが可能だ。
武器の重量と敵を無力化する戦闘、このシステム自体は同監督作品の『MGS5』のモノに似ているように感じた。
成長要素
◆ 今作の成長、建設&作成可能な道具のアンロックシステムは他のゲームで言うところの『成長要素』とは名称と『方法』が多少異なっているが、概ね『レベル』と『経験値』で説明可能だ。
依頼を達成すると評価ランクに応じて『依頼主との親密度』の上昇と『いいね!(経験値)』がもらえる。依頼達成時間や荷物の損傷具合等の要素で評価ランクが決定される。
主人公『サム』には『数量(持ち運べる荷物の量、積載力)』『安定性』『速度』等のステータスが設定されており、各ステータスは『配達人グレード(今作のレベルの様なモノ)』を上昇させる事で上がっていく。
『配達人グレード』を上昇させる為には依頼をこなしたり、下記する協力プレイ関連で『いいね!』を取得する必要がある。依頼毎に上昇させやすいステータスがあり、例えば『制限時間付きの依頼』をこなすことで『速度』を上昇させやすいようになっている。
『親密度』を上昇させるメリットは二つあり、一つは作成可能な『建造物』『装備』『アイテム』等が追加されること。もう一つは各施設、拠点に保管できるアイテムの量が増加するという点だ。
仕組みを説明する時に簡単かどうかは別として、『いいね!』というシステムは人との繋がりや、助け合いを強調する為の仕組みなので、今作のサブテーマに合っていて、面白い表現方法だ。
協力プレイ
◆ 他のプレイヤーが建設した道路やアイテムが自分の世界にも出現するシステムは斬新で、誰もいない世界で『他の誰かと協力してる』という不思議な体験ができる。
他のプレイヤーの建造物には評価『いいね!』をする事ができる。上記したように『配達人グレード』を上昇させる為には『いいね!』が必要になる為、他のプレイヤーに評価されることで『グレード』を上昇させやすくなるといったメリットもある。
ただし、自分の『配達人グレード』に見合った建設物しか出現しない為、必然的に自らも誰かを助けて『配達人グレード』を上げる必要がある。
自分の助けになり、他人の助けにもなる物を作っていけば良いという事だ。
また、戦闘では他のプレイヤーに助けを乞う事で、その場で弾薬などのアイテムを入手する事もできる。
他にもプレイヤーの落とした荷物がフィールドに落ちている場合があり、これを依頼主に届けることで『いいね!』だけではなく、『親密度』も上昇させる事ができる。
難易度
◆ 難易度は『Very Hard』『Hard』『Normal』『Easy』『Very Easy』の5種類から選択できる。アクションが苦手であれば、『Very Easy』を選択して、ストーリーを楽しむ事ができる。
ただし、いくつかの実績を達成する為の条件は『Hard』以上でしか達成する事ができない為、プレイの際には気を付けて欲しい。難易度自体は何時でも変更する事が可能なので、実績をコンプリートしたい場合は、アクションに慣れてから、もしくはクリア後に変更すれば良いだろう。
音楽
◆ 凄く個人的な事で申し訳ないが、BGMやゲーム内で流れる楽曲の趣味が良い。『MGS』シリーズの時からそうだったので、期待していたが、裏切られる事は無かった。
----------------------【悪い点】----------------------
テンポ
◆ 少しばかりゲーム全体のテンポが悪く、ゲーム内の要素の多くがアンロックされるまでに非常に時間が掛かる。ストーリーを追う為には何度も『運搬』をする必要があるし、最初の戦闘がゲーム内で発生するまでに5時間以上もかかるのだ。
ストーリーだけを追うにしても、サブミッションを多少はこなさなければ建設物がアンロックされない為、『難しくなる』点もテンポを悪くしてしまっているといえるだろう。
世界
◆ こちらは世界観にマッチしている為、悪い点と言うほどではないが、マップの環境の違いが少なく、同じような場面が多いように感じられた。動物も少ない事も残念だった。この世界の環境に適応した動物を見てみたいと思った
オプション
◆ グラフィック周りと音量調整で設定できる項目が少ない。特に音量調整に関しては『マスターボリューム』しかなく、『BGM』『SE』『ボイス』を個別で調整する事ができない。
ただし、音量周りは物語上の重要な演出にも関係している為、仕様が無いといえば仕様が無い。
-----------------------【総評】----------------------
『歩く』という操作を『ゲームプレイ』として機能させている事、道具や建設物、乗り物で徐々に変化していくゲームプレイ、これらによって、ゲームが単なる『ウォーキングシミュレーター』になってしまう事を防いでいる点は斬新だった。
今作は多くの問題点もあり、人を選ぶ作品ではあるが、間違いなく名作と呼べるゲームだ。革新的で意欲的な新しいタイプの作品である点も評価したい。
ただし、序盤はアクションが少なく、RPG要素がメインな作品では無いし、多くの探索要素(アクティビティ系)がある作品でもない。それらを期待して購入すると肩透かしを食らうので、注意して欲しい。
個人的にはあくまで『ストーリー』ありきな作品に感じた。
プレイ動画をアップしているので、気になった方はこちらを参考までにどうぞ。
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