子どもの性別の確率クイズ

だいぶ前に、平成教育委員会という勉強のバラエティ番組で取り上げられていた問題について書きます。
確率の問題です。

当時の映像をちゃんと見て問題文を確認しないといけないのですが、ネットで調べたところ、このような問題だったようです。

問題
子どもが2人いる人に、子どもの性別を尋ねたら、1人は男の子、と答えました。
もう1人の子どもが女の子である確率は?

という問題でした。

いかがでしょうか?おわかりになるでしょうか。


番組としては、解答者や視聴者が、普通に考えて$${ \frac{1}{2} }$$じゃないのか?と考えることを意図していたと思います。

しかし、番組は正解を$${ \frac{2}{3} }$$とし、解答者や視聴者をおどろかせる、というものでした。

なぜ$${ \frac{2}{3} }$$か?

男の子が1人いるということは、1人目、2人目の性別の順のパターンが、

①男男
②男女
③女男

の3パターンにしぼられる。

もう1人の方の性別は上から順に、

①男
②女
③女

となるので、確率は$${ \frac{2}{3} }$$となる。

という解説でした。
おわかりになりましたでしょうか?


しかし本題はここからです。

実は、問題文が最初の通りだったとすると、この問題の答えはやはり$${ \frac{1}{2} }$$になります。
番組が答えとした$${ \frac{2}{3} }$$は誤りとなります。

二転三転してややこしくなってしまい申し訳ありません。

どういうことか。

問題文が

2人の子どもがいる人に、男のお子さんはいますか?と尋ねたら、
はい。と答えました。
もう1人が女の子である確率は?

こういう問題文であれば、番組の解説通り、確率は$${ \frac{2}{3} }$$です。

何がちがうのか?

もう一度並べます。

問題A(番組での出題)
子どもが2人いる人に、子どもの性別を尋ねたら、
1人は男の子、と答えました。
もう1人の子どもが女の子である確率は?

問題B
2人の子どもがいる人に、男のお子さんはいますか?と尋ねたら、
はい。と答えました。
もう1人が女の子である確率は?

簡単に言うと、Aのほうは、1人目か2人目の、どちらの性別を答えたか、それがわからないということです。

男の子と女の子が1人ずつの親に、Aと同じ質問をしていて、1人は女の子、と答えていた人が、分母から漏れてしまいます。

Bの方では、これを拾います。

これが、AとBでのちがいです。


単純化して具体的に考えます。
まずAから。

2人子どもがいた場合、1人目、2人目の性別の順について、以下の4パターンはすべて確率が等しいとします。

①男男
②男女
③女男
④女女

では、例えば800人の子ども2人の親に、Aと同じように、1人の性別を答えてもらいます。

男の子と女の子を1人ずつ持つ親は、確率的に半々でどちらかの性別を答えることになります。

①から④はそれぞれ200人ずつとなります。

そうすると、以下の内訳になります。

①200人全員が男の子と答える。
②100人が男の子、残りの100人が女の子と答える。
③100人が女の子、残りの100人が男の子と答える。
④200人全員が女の子と答える。

集計すると、
男の子と答えたのは、

①200人
②100人
③100人
④0人

の、計400人です。

問題Aでは、この400人について考えていることになります。

では、もう1人の性別が女の子である人数は、

①0人
②100人
③100人

の、計200人です。

ですから確率は、$${ \frac{200}{400}= \frac{1}{2} }$$となります。



いちおう、問題Bの場合も確認します。

同様の800人、①~④

①男男
②男女
③女男
④女女

に、
男のお子さんはいますか?
と尋ねます。

はい、と答えるのは、

①200人
②200人
③200人
④0人

の、計600人です。

このうち、もう一人が女の子であるのは、

①0人
②200人
③200人

の、計400人です。

ですから、確率は、$${ \frac{400}{600}= \frac{2}{3} }$$となります。

問題Aの尋ね方では、男の子と女の子1人ずつの親御さんが必ず、1人は男の子、と答えるわけではないということです。
この親御さんの半分は、1人は女の子、と答えていたかもしれないからです。以上が、問題AとBのちがいです。


しかし、番組側として考えてみると、$${ \frac{1}{2} }$$と思ってしまうところを、実は$${ \frac{2}{3} }$$だ。という問題のアイデアはネタとしてぜひ使いたいところです。

そうすると、この問題Bの意図で出題するにはどういう問題文にすればよかったか、と考えると、むずかしいです。

どちらか1人は男の子、ということが強調される問題文だと、意図がばれてしまい、答えを聞いたときの驚きが減りそうです。

1人は男の子であることが分かっている。だと、結局問題Aになってしまいます。

ということで、違和感を感じながらも、クイズの答えのインパクトを優先した結果かもしれません。

ただ、ここまで書いてきましたが、もしかしたら問題Bの意図であることがわかるように出題をしていたのかもしれません。当時リアルタイムで見てはいたのですが、この度再度確認しようと思ったところ、正確な問題文は確認できませんでした。他の取り上げているサイトをいくつか確認して、問題Aの出題のし方だったようだと判断して今回は記事にしました。


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