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素読。谷川流に見る「比喩の文章表現」
比喩表現!
情景描写にはつきものです。小説がいま紡いでいるシーンはどのような状況なのか。穏やかなのか、危機的なのか、ポジティブなのか、ネガティブなのか。はたまた風が吹いているならどのような勢いで、雨が降って濡れたのなら自分はどのような様相を呈しているのか。
そうした様々な状況を読み解くために比喩は役に立ってくれます。比喩とは心象を直に描く記法で、そのイメージの豊かさが書き手読み手にも試されるという日常でもよく顔を出す表現技法です。
比喩はその手法様々で、「〜のように」とダイレクトに例える直喩、文脈から諭すように書いて例える隠喩(暗喩)などが有名です。他にも擬人法や定喩、諷喩など様々な方法があり、それを体系化した比喩技法の回はまた別に設けるとして、今回はライトノベルで特に有名な谷川流氏の『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズより比喩の文章を見ていきたいと思います。
佐々木が俺を親友だと言うのを隣で聞いていると、そしてハルヒの奇妙な表情を見ていると、五分後に雷雨が来るのが解っていながら傘を持たずに外出してしまった三分後みたいな気がしているのは、これはなぜだろう。(引用元:谷川流『涼宮ハルヒの分裂』)
高校生なのに自覚してた浮気がバレた旦那みたいな心境ですね。
とにかく、これは文章こそ長めで会話的な調子の地の文なこともあってやや見えにくいですが、典型的な直喩による比喩表現です。
ポイントは「みたいな」の部分。ここが「〜のように」の働きを持って「五分後に」からそこまでをひとつの比喩でまとめています。
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