クロノ・トリガーと「やすらぎの日々」。コントローラーは床に置きっぱ。

ゲームで遊んでいると、「なんかすごい良くない?」という曲に出逢えるときがある。

そんなときは、コントローラーを床に置き、体育座りで曲に聴き入った。
レースのカーテンを開けて、白い壁やソファに肩からもたれかかりつつ。



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おはようございます。
日曜日の朝にお届けするショートエッセイ『にちようびの音。』です。
前回にひきつづき、クロノ・トリガーを通じてゲーム音楽の話をします。

たしか、私がクロノ・トリガーを知ったのは小学四年生の頃です。
シームレスでスタイリッシュな戦闘スタイルや、時を越えて旅をして巨大な存在に立ち向かうスケール感が当時の私に突き刺さりました。

友達の家でこのゲームの存在を知り、そのまま父にねだって買ってもらったと記憶しています。
「みんな持ってるから! クラスで流行ってるから!」
なんて言ってね。
「みんな(n=1)の理屈」は、どうにかして物を買ってもらいたい子供のささやかな知恵の発露ですね。



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さて、私の好きな「クロノ」の曲の話です。
一応の補足ですが、ゲーム音楽とはビデオゲーム(ファミコンやプレイステーションと言ったゲーム機や、パソコン、スマホゲーム等)内で再生される楽曲のことです。
ここでは、いったん「ゲームで聴く曲」と考えていただければと。

前回は『エピローグ 〜親しき仲間へ〜』を紹介し、ファンメイドアレンジもいいよね! というお話をしました。
いきなり原曲をすっ飛ばしてファンメイドのお話をしてしまったので、今回は原曲のゲーム音楽をご紹介します。

原曲というのは、実機や音源で実際に提供されている楽曲のことです。
業界用語なのか、ファンによる造語なのかは、正直なところわかりません。
ゲーム用語って、公式と非公式の境目が曖昧な用語がいっぱいあるんです。



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今回ご紹介するのは、クロノ・トリガーの『やすらぎの日々』。
よく晴れた日の朝に聴きたい曲で、昔から大好きな“にちようびの音”です。


寝ている自分を起こしにきた母が、部屋のカーテンを開ける。
カーテンレールを走る音が短くひびき、部屋に朝の日差しが入ってきた。
「いつまで寝ているの」
と、母が自分の名前を呼ぶ……。
近所のリーネ広場から、建国千年を祝う鐘の音が聞こえてきた。

即興でイメージを書き下ろしてみましたが、そんなはじまりとともに流れる曲が、この『やすらぎの日々』です。

前回の「エピローグ〜親しき仲間へ〜」とは対照的に、物語の最初に流れる曲。
現代という舞台で、主人公の家やフィールドを移動する際に流れる曲で、「クロノ」のにおける現代の穏やかさを象徴する曲でもあります。

穏やかで平和な「現代」の世界観を、プレイヤーと共有する役目を担った曲といえば、なんとなくこの優しいメロディにも意味があるような気がしてきますね。



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この曲、ずーっと聴いていられるんですよ。
曲としての長さは3分もないくらいです。
ですが、この3分弱を延々と繰り返して聴いていられる。
それほど好きな曲であり、なおゲーム音楽の面白みを感じるところでもあります。

私はあくまでファンの視点で語るのですが、ゲーム音楽はそのゲームをプレイしているあいだ、ずっと聴きつづけるものです。
フィールドを移動する間、戦闘している間、しんみりしたイベントシーンに浸る間など、シーンにあわせて特定の音源が流れつづけるという特徴があります。

ゲーム用の楽曲として制作される曲のうち、『やすらぎの日々』のようなフィールドで流れる曲は、その「遊ぶあいだ聴きつづける」というプレイヤー側の体験を意識して作られます。
聴きつづけても疲れない、という要素を大事にして作られているのかもしれませんね。

そのおかげか、ゲーム音楽は『にちようびの音。』と相性がいい曲が多いんです。
『やすらぎの日々』もおすすめ。
ぜひきいてみてください。
なんなら、クロノ・トリガー未プレイの方はぜひ遊んでみてね。



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とにかく「クロノ」は大好きで、そこで繰り広げられる曲も大好きで、必ず紹介したい〜と思って今回の記事を書きました。
タイム・トリッパーとしての躍動と主人公たちの成長が交差する「クロノ」のストーリーラインはとても鮮やかでわかりやすく、当時の私はまんまと「クロノ」の世界に引きずりこまれ、今に至っています。

『やすらぎの日々』も『エピローグ〜親しき仲間へ〜』も、作曲者は光田康典さん。
ゲーム音楽や劇伴で言わずとしれた作曲家です。

後の『クロノクロス』にも魅力的な曲を多く制作されたのですが、そこでひときわ好きな曲の『回想 〜消せない想い〜』もいずれ紹介したいと思います。



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ずっと紹介したいと思っていた曲でもあり、いつもより多めに語っちゃいました。
文字数が多くなってすみません。

ちなみに、同じ「クロノ」シリーズの「クロノ・クロス」もあわせ、あまりにも繰り返し遊んでいるため、何回クリアしたのかはもはや覚えていないというより、わかりません。
当時所持していたプレイステーションのメモリーカードを、全部クロノ・クロスのデータで埋め尽くしたあたりから、何回クリアしたか数えるのをやめてしまいましたからね。

ふと、そんなことを思い返しながら朝のひだまりに眺めていた『やすらぎの日々』。
それではみなさま、今日もよい一日を。

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ななくさつゆり
最後までお読みいただきありがとうございます。 今後も皆さまの読書体験に貢献できるよう活動を続けてまいります。 いただいたチップは創作の活動費に充てさせていただきます。 何卒ご検討をお願い申し上げます。