【レビュー】プラモ用精密金属ヤスリのススメ
相も変わらず趣味のプラモデルに関する四方山話。
今回は私がプラモデル制作(2024年9月現在)に使っている金属ヤスリについて。
金属ヤスリの有用性
まずプラモデルで金属ヤスリが活躍する場というのは極端な話、耐水ペーパーでも賄えると思っていて、それをあえて金属ヤスリを置き換える理由は「切れ味」と「耐久性」の2点が優れているからである。
ヤスリに「切れ味」というのはおかしいかもしれないが、「切削性」と「仕上がりの綺麗さ」を合わせたものと思ってほしい。
よく削れてきれいに仕上がりそれが長持ちするのだから、そもそも金属ヤスリを使わない手はないと思われるのだが、切削性が高いというのは失敗した時にやっかいな傷が付いたり余計に削ってしまったりと、リスクもあり扱いにコツがいるのも事実。
私もガンプラに復帰して3年の間に金属ヤスリの有用性を活かしつつ失敗しないよう、良いヤスリの噂を聞いては導入してきたのでヤスリに対する考えを改めて整理しようと思った次第。
使う場面と求められる性質
プラモで削るという作業に時間を奪われる2大シチュエーションは「ゲート処理」と「パーティングライン消し」なのでそこで使いたい。
「ゲート処理」と「パーティングライン消し」箇所はナイフにより粗方処理されているのでペーパーの番手的には400位からの切削性で仕上がりで600~800位になって欲しい。
あらゆる箇所に対応すべく手頃なサイズであってほしい。
決して粗削りや面出しに使うわけでないというのは予めアピールしておきたい。
なお、上記2大シチュエーションは私にとって非常に苦痛を感じる作業である。これを耐水ペーパーでやろうとすると、大判からの切り出しに時間を取られたり、目詰まりおよび砥粒の劣化によって切削性が不安定になる。
このようなことすら大きなストレスなのだ。
ただいま使用中
というわけで、私が使っている金属ヤスリが上の写真のものである。
おすすめ順に紹介していく。
②ミニヤスリカスタム 単目 [中目 & 細目](GodHand)
単目ヤスリの切削性と仕上がりのキレイさ、裏と表で中目と細目を使い分けられる対応箇所の広さ。ブレにくいギリギリの細さと使いやすい最低限の長さでありつつ持ちやすい木製の柄付き。
ちなみに中目側でキレのある400番くらい切削性でうまくやれば600番程度くらい程度に仕上がる感じ。細目側は中目よりもなめらかな切削性で、中目でやすったものを800番くらいに仕上げる感じ。
これが使いやすいのは、ヤスリ面と側面との境のエッジを落としてあることでヤスリがけの際に左右に動きがぶれても側面に傷がつかず、気軽に細かいところにも対応できる点。
小さなパーツならこれでも面出しできるし慣れればC面処理もいけるはず。
逆に小さいので大きなパーツには向かない。
③ステンレス製ショートヤスリ シャインダガー(シモムラアレック)
http://shimomura-alec.co.jp/product/pdf/alk275.pdf
②ミニヤスリカスタムの代替え&弱点克服を期待して今年導入したもの。
ミニヤスリカスタムに限らず金属ヤスリの弱点は錆である。錆さえなければプラスチックの切削程度では品質は変わらないが錆は劣化の始まり、死への道である。
しかしこの製品はステレンス製でメンテナンスに水洗いを推奨するほど錆に強いらしい。さらにフライスで作られたヤスリ目は目詰まりもとれやすい。
ミニヤスリカスタムと同じ裏表で異なるヤスリになっていて、A面は複目で#600相当、B面が単目#1000相当というのがカタログスペックであるが、個人的にはA面が固い400番耐水ペーパー、B面が600番位の固い耐水ペーパーのような感触だった。金属なので当たり前だけどミニヤスリカスタムに比べてやや重さもあり、なんとなく当たりも動かしやすさも固く感じた。
しかし、慣れればミニヤスリカスタムにとって代わるのではないか?と感じるポテンシャルを感じている。
④超精密 プロ使用最高級ヤスリ 三角(上野文盛堂)
コレは上の二つとは用途が異なる。
三角のエッジ部分をうまく使ってマイナス(逆)エッジ箇所をシャープにしたりするのに使用。
細いので狭いところも攻められるのでガンプラでは武器やバックパックなど複雑な形状のパーツの処理で使う。目が細かくヤスリ面の切削性は高くないがエッジの切れ味は鋭く綺麗に仕上がる。
①微美鬼斬 甲丸 [ONG100](スジボリ堂)
④の三角ヤスリと使う場所は同じだけど、合わせ目やパーティングライン消しの為の切削性重視で導入。甲丸を選んだのも使用箇所の汎用性を意識してのことだが、ヤスリのサイズに対し目が大きく切削性が高いけどコントロールが非常に難い。そのため左右にブレて余計な切削痕が付きやすい。
うまくいけば綺麗になるのだが使いこなすには時間がかかりそう。
しかし、この細さで単目ヤスリというのは他に見当たらない唯一の製品で、この圧倒的(今回紹介している中で一番削れる)切削力は細かい箇所の段差の大きなパーティングライン処理など絶対武器になるはずと思っている。
最後に
実はここに書いた以外に2つお気に入りの金属ヤスリがあったのですが使うシチュエーションがスジボリ系なのではずした。
そもそもこれも別に他の人に金属ヤスリを薦めたくて書いたわけではない。
最後にここで言っておきたいのは、金属ヤスリ自体はホームセンターや100円ショップなどでも入手できるが、やはりプラモ用はつくりの精度や取り回しやすさなど最適化されているということ。このへんは身銭を切って痛感してきた。
良いツールとの出会いはその後を大きく変えるのでその辺への投資もある程度は必要だと思っている。