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【雑記】プラモ用塗料/配色と調色と発色

【色彩の基礎用語】

最初にこの手のテーマによく登場する用語について触れておきます。
特に知らなくても良いことですが、使われるシーンで微妙に真の意味が変わることがあり、プラモデルの雑誌や動画にも出現する用語です。

彩度

彩度とは色の三要素の一つ。色のあざやかさの度合。

※簡単に言うと
彩度が最も低い=どんな色でもグレーになる。
彩度が最も高い=色が赤なら最もあざやかな赤になる。

明度

明度とは色の三要素の一つ。色の明るさの度合。

※簡単に言うと
明度が最も高い=白になる
明度が最も低い=黒になる

色相

色相とは色の三要素の一つ。色あい。色調。
※簡単に言うと
赤い、青い、黄色いといったいわゆる色味の違い

トーン(色調)

上記の「明度」と「彩度」をあわせた考え方。

私はこれまで「トーン」というものを曖昧に捉えていてトーンを上げると言われれば明度も彩度も上げること、トーンを下げるは明度も彩度も下げることくらいに認識していました。
実際にはちゃんと系統ごとに名称があり、色についてのコミュニケーションを円滑できるようになっているとのことです。

補色

補色とは混合して無彩色(彩度が0の色、いわゆるグレー)を作れる2色の有彩色の組み合わせ

<簡単に言うと>
赤の補色は緑、黄色の補色は紫、青の補色はオレンジ
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E8%89%B2

【最重要:塗装する配色のイメージ決め】

イメージ通りの色を調色する為には、赤い感じとか青い感じとかの曖昧なイメージより、さらに具体的なイメージを持つことが最も重要です。

とくにその作品の中で一番キーとなる色を最初に決めると後がスムーズに行きます。

最初に具体的なイメージが出来ていれば色づくりの段階で迷うこともなく塗装後に後悔するような大きな失敗になりません。

よくある失敗1:良い感じの色の組み合わせがわからない

その作品でメインとなる色を中心に、配色カードや、WEBの配色ジェネレーターを使用して、相性の色にイメージを変更しましょう。

お勧め配色ジェネレーター

Adobe Color CC:https://color.adobe.com/ja/create/color-wheel

モードですが、単純に色探しは「類似色」さらに同色相の色選びなら「シェード」、彩度違いなら「モノクロマティック」といった感じで使うと良いと思います。

よくある失敗2:実際に塗装したらイメージと違った

調色に失敗していなければ、下記のような原因が考えられます。

※きちんと発色していない

塗料が下地を隠蔽しきれず下地が透けているということになります。

プラモ用塗料の場合、下地を隠す隠蔽力が色によって異なるので塗装する色によって近い色を下地として塗っておくなどの工夫が必要になります。

※錯視効果

塗装面の広さや隣接する色の組み合わせにより本来の色に見えないことがあります。

例えば…

隣接する補色関係の色はお互いを引き立て本来より鮮やかに見えます。

周囲を囲まれたグレーは周囲の色の補色の色相に見えるようになります。

色の組み合わせによって同じ太さの線、同じ面積が異なる太さや大きさに見えることがあります。

※ツヤの有無

塗面の微細な凹凸がツヤの有無の正体ですがいわゆるツヤ消しの状態ほど塗面が白っぽく見えるようになります。

【調色のコツ】

ここでは前提としてラッカー、水性アクリル、エナメルに共通する顔料系(ソリッドカラー)塗料の特性を踏まえコツを紹介しています。したがって純色シリーズや色ノ源〈イロノモト〉 といった原色系塗料や蛍光塗料、それから染料系塗料は除外した見解となっています。

コツ1:塗料の発色を覚える

特に下地の色と一緒に自分のオーソドックスな塗り方をした時にどんな発色をするかをたくさん覚えましょう。大体ベテランほどこの記憶量が半端なく多く、塗装後の発色までイメージできる為スムーズに調色できています。

面倒ですがカラーチップを作ると全部覚えられなくても都度確認できますし、もっと簡単な方法としては塗料瓶の蓋を実際の塗料で塗っておくだけでも塗装時の発色の見本になります。

コツ2:予め似た色を探す

実はラッカー系で販売されている模型用塗料の『純色』シリーズや『色ノ源〈イロノモト〉 』といった原色系塗料と白と黒でほとんど全ての色を作れると言われます。
しかし塗料という性質上理論どおり発色するものになるわけではありません。
また塗料中の主成分である溶剤の揮発により、量に対する色の成分である顔料の混合比が変わることから、正確な調合レシピの作成も実質不可能なのです。
また原色系塗料はソリッドカラーに比べて割高ですので、基本的に似た色を探して買う方が結果的に得。
そして色選びもその後の調色も安定するのです。

そうして買い足して増えていった塗料の分、調色したのと同等に経験値が増えたと言い換えることができるでしょう。
特に最初は知識がない分、塗りたい色のイメージどおりにならず失敗したときのショックが大きいでしょうが、それは次に活かせる知識となりひとつの基準となります。失敗して買った塗料も別の機会に出番が来るでしょう。

コツ3:複数の色を混ぜすぎない

彩度の高い色が欲しい時ほど複数の塗料を混ぜてはいけません。
塗料は混ぜることでどんどん濁り、彩度が下がり続けます。(※1)

混ぜることで彩度が下がるというのはその反面隠蔽力が上がるというメリットでもあるのですが、彩度を保つことが難しいことから基本的に混ぜる色は少ないほうが良いと言われるのです。

(※1)色は通常まざることで黒に近づいていくものです。しかしプラモ用塗料は隠蔽力を上げて発色を促すために意外と白の顔料が多く含まれています。
塗装時に余った白と黒以外の色塗料をいろいろ混ぜていくと真っ黒にはならず明る目の色になりますよ。

意外と黒くならない。

コツ4:塗料の特性を知る

色を混ぜると濁る(グレーに近づいていく)ということから、色でない白と黒を混ぜる明度の調整で済むようベースの塗料選びを行うと良いでしょう。
どちらかというと明度(できれば彩度も)が高い方の色をベースに選んだ方が良いです。
そんな時にも上で紹介した配色カードやジェネレーターを活用し候補塗料を見繕いましょう。

色味を変えたい場合はクリアカラーを使用すると通常のカラー塗料よりも彩度の低下を防げます。
例えば…
ほんの少し青みのある白が欲しいときは白に青を混ぜるのでなくクリアブルーを混ぜる。
また、明るい赤が欲しいときは白を混ぜますが、それだとピンクっぽくなるのでクリアイエローを少し混ぜる。
等々、ほんの少し色味を変えるのに最適なので各色揃えておくと良いと思います。

コツ5:まず極少量混ぜて変化を確認する

混ぜすぎて鮮やかさを失った(彩度の下がった)塗料は他に何を混ぜても元に戻りません。一度に大量に混ぜて不要な塗料にしないために、最初は少量ずつで色の変化を確認する程度を混ぜましょう。
混ぜるカラーが決まったらあとは分量の調整なので、そうしたらある程度多めに作ればいいです。

失敗した塗料は空いた溶剤ボトルなどに溜めて下地用途料などに転用しましょう。

コツ6:下地を工夫する

調色のコツではないのですが、最終的に塗装面をイメージ通りの色にするには実は下地色とツヤがかなり影響を与える要因となります。赤や黄色や青などせっかく鮮やかなイメージ通りの色を作ってもちゃんと発色させられなければ意味がありません。

個人的にはエアブラシにおける塗装ではグラデーションが多用されることもあり、調色にならんで塗装時の適切なテクニックと判断がより重要な気がしています。

【最後に】

私は2001年から2006年くらいにもプラモデルを作っていたのですがその時には主に筆塗り、たまにスプレーを使用したベタ塗りで楽しんでいました。
貧乏性な性格からソリッドカラー(主に白黒赤青黄緑)を直感で調色していましたが、そんな適当でも良かったのは基本塗装後にはつや消しクリアーして、ウォッシングして、ドライブラシしてという工程により基本色の発色に依存しない仕上げスタイルだったからです。

2021年8月にプラモを再開してエアブラシを使い始め、薄い塗膜できれいな発色の仕上げが簡単にできるようになると、これまで出来なかったグラデーションやメタリックなどの仕上げにもチャレンジしてまいりました。しかし、既存の塗料にはないオリジナル配色や、実際の塗料の調色にはまだまだたくさんの壁を感じていました。

ちょうど最近ツイッターのスペースで色彩についての詳しい解説を聞いたことなどを踏まえ、整理した知識とこれまでの経験を元に色彩の基礎用語からプラモ用塗料の汎用知識、それらを踏まえたちょっとしたコツを自分への戒めと備忘としてまとめてみました。

基礎的なことですかお役にたてば幸いです。


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