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父と母

私には祖父がいない。
父方も母方も、二人が幼いころに亡くなったそうだ。

海女さんだった母方の祖母は
私が生まれたばかりのころ海で亡くなった。
だから母にはもう両親がいない。

父方の祖母は30代で未亡人になり
5人の子供を育てた。
私の父は長男だからと
弟、妹の父替わりをしていたらしい。

大人になった今感じることは
父と母は頼る人もいない中
2人でお金を稼ぎ、家族を作り
一生懸命私たち兄妹を育ててくれたってこと。

小さいころ家族旅行がなかったことも

日曜日に父が遊んでくれなかったことも

鍵っ子だったことも

両親が頑張っていたからなんだと
今は理解できる。

私の父はかなり寡黙で頑固な
典型的な関白おやじだ。

今の時代にふさわしくない男。

家事は全て母の役割だった。

逆に母は元気で騒がしい
常に笑顔で明るい太陽のような女性で

真逆の二人が一緒にいることが
たまに不思議になるくらいだ。

そんな母は今年の夏に病気が発覚し
一か月の入院を経て
今はのんびりと暮らしている。

つい先日父との会話を話してくれた。

「ごめんね、病気になっちゃって」
「お金もかかるのにね」

と少し弱気になり
父にそう謝ったそうだ。

父はじっと聞いていて
最後に一言母にこう言った。

「そんなのはいいんだ。俺が稼いでるんだから。」

父、、、

なんてかっけえんだ。
涙が出た。


2人は母の病気に対して嘆くことなく
日頃の感謝をちゃんと行動にして
言葉にしていた。


母は病気になった時
「今まで健康でいてくれた自分の身体に感謝だね」
と言った。


心から感謝できる人ってどのくらいいるんだろう?
自分が病気になったら
世界の終わりの中心にいるなんて
錯覚に陥るんじゃないのかって。


母の常に感謝する心

父の覚悟

お互い言葉と行動は全く違うけど
根本にあるのはお互いがお互いを想う心。

この2人の子どもに生まれたことを
誇りに思う。

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