京都サンガF.C. 2025 明治安田J1リーグ 独断マッチレビュー

京都サンガF.C. 2025 明治安田J1リーグ 独断マッチレビュー

【第2節 HOME vs浦和レッズ 14:00K.O.】

試合結果 △:1-1
前半 0-0
後半 1-1
(得点)
後半15分 ラファエル・エリアス〈京都〉
後半28分 チアゴ・サンタナ〈浦和〉

(スターティングメンバ―)
GK 太田岳志
DF 佐藤響
DF 鈴木義宣
DF パトリック・ウィリアム
DF 須貝英大
MF 福岡慎平
MF 平戸太貴(81分OUT)
MF 川崎颯太(75分OUT)
FW 原大智(87分OUT)
FW ラファエル・エリアス(75分OUT)
FW マルコ・トゥーリオ(87分OUT)

(交代)
MF 米本拓司(75分IN)
MF 奥川雅也(75分IN)
DF アピアタウィア久(81分IN)
MF 中野瑠馬(87分IN)
FW 長沢駿(87分IN)



雪の舞う亀岡。2025年シーズンホーム開幕戦。対戦相手はクラブワールドカップ出場を控え、戦力充実の浦和レッズ。終始サンガの押し込む場面が観られ、見応えのあるドローだった。第1節の不甲斐ない内容から、悪い流れは断ち切ったと言えると思う。

今年のクラブワールドカップの出場資格と参加チームに与えられる潤沢な賞金を持つ浦和レッズは、昨年のJ1ベストイレブンのマテウス・サヴィオや、右サイドに入る金子拓郎らをオフシーズンに補強し、ベンチには元日本代表の原口元気などが控える強力な陣容。間違いなく強敵であった。2021~22年の京都に在籍し、サンガのJ1昇格に貢献した左サイドバックの荻原拓也はレンタル元の浦和に復帰後、海外移籍を経験し、今期は浦和に在籍。未だサンガサポーターからも人気のある熱量の高いプレーヤーである。


サンガは前節の先発メンバーから2人変更。アンカーの位置に入っていたジョアン・ペドロに変わって福岡慎平、右サイドバックには前節途中出場だった須貝英大がスタートから入った。序盤から勢いがあり、特に前節ほとんど存在感の無かったマルコ・トゥーリオは明らかに質が向上。昨シーズンの印象からスロースターターな選手なのかとも思っていたが、第2節で既に昨年のトップコンディションに達しており、個人的には嬉しい誤算だった。対峙する荻原拓也とも相性が良かったのか、何度も引き剥がす場面を作り、前半ロスタイムにヘディングで得点したが、VARでファールの判定。VAR導入前の時代なら認められたであろうゴール。非常に残念だった。


浦和のマテウス・サヴィオは敵選手でありながら、すべてのサッカーファンを魅了する。近年のJリーグで最注目の選手の一人である。足元の技術とプレースピード、高い判断能力。試合結果を度外視して観ていたくなるような選手。しかしサンガのハイプレスもしっかり嵌っており、浦和の組み立てを封じていた。今シーズン加入した須貝英大は前節のプレーも含め、クオリティーが高く、良い補強だと感じる。左右両サイドでプレーできる強みは大きいし、福田の復帰後は左サイドでのプレーが予想される。今後さらに存在感を高めていく可能性がある。


後半15分にラファエル・エリアスのヘディングで先制。やはりこの選手。福岡のクロスボールも非常に精度が高く、良い得点だった。前半終了間際に取り消されたゴールの後も漂い続けていた得点の匂いが、ついにカタチとなった瞬間。ラファエルは得点能力に限らず、その人間性に魅了される。昨シーズン再終盤から得点が途切れていたチームにとって何かを払拭したゴールだった。今シーズン、彼は何点獲ってくれるのか楽しみだ。昨年のプレーの記憶も湧き上がり、何とも言えない高揚感があった。アシストをした福岡慎平は、このシーンを含め、第2節のベストプレーヤーだったと言える。アンカーポジションに試合のコントロールが効く選手がいることがチームにとっていかに重要かが見て取れる。加えてゴールアシストになったものも含め、今シーズンの彼のキックは何か違いを感じさせている。下部組織出身で背番号10を背負い、チームの象徴と期待されながらここまで選手として開花しきったとは言えないままであったが、25歳を迎える今年は、彼の飛躍の一年になるかもしれない。試合毎に波のあるコンディションにならずに、安定的な成果が出てほしいと思う。


後半28分の失点は、前半から高いパフォーマンスを披露していたマルコ・トゥーリオのミスだった。マルコ・トゥーリオのハイクオリティなボールタッチは柔らかさが強みであるが、キックの弱さがデメリットになり易い。このシーンはそれが顕著に出てしまい、最終ラインとゴールキーパーの間に中途半端なボールを流すという、いわゆる最悪のキックだった。相手のミスを確実に捉えたチアゴ・サンタナも素晴らしいが、このシーン以外をこの日はゼロ封したディフェンスラインにとっては、ストレスフルなシーンだったと思う。マルコは前半から魅了するようなプレーを連発していただけに、悔しいが、一つのプレーや一つのミスが、肝心の獲得勝点に影響することを教えてくれる。これがサッカーであり、ある意味で一番奥が深い部分でもあると言える。



最終盤に出場した長沢俊は2012年以来の京都サンガ復帰。数分の出場時間にも関わらず決定機を複数回作った。ゴールはならなかったが、ベテラン選手の嗅覚には期待出来る。出場時間は今後も長くないかもしれないが、注目したい選手の一人である。次節はリーグ2連覇中の神戸戦。楽しみな戦いが続く。


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