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名物を食べる
宮崎には美味しいものがたくさんある。宮崎に着いた日に、友達のスパダリ旦那さんから行った方がいいお店をたくさん教えてもらった。東京ではほとんど飲まず食わずの生活をしていたので少し不安だったが、気ままに散歩をしながら名物巡りをしようと思ったのだった。
12月◻︎日
今日は土曜日なので友達も旦那さんも仕事がお休みである。家から少し離れたところに、宮崎名物のチキン南蛮が食べられるお店があるということで、旦那さんに車で連れてきてもらった。旦那さんは他の用事があるから〜と言って、私と友達を送り届けて帰って行った。私はあんなタイプの男性に巡り合ったことがなかったので衝撃を受けた。私たちを、というより、友達(奥さん)を寒い中歩かせたくなかったのだろうと考えたら、その気持ちや優しさを想像してジーンとしてしまった。
無事にお店まで送り届けてもらうと、すでに店外まで列ができていた。しかし意外とお客さんの回転が早く、20分ほどで席に案内された。順番を待つイスからは厨房が見え、鶏を揚げたり南蛮液に浸したりするところが見えたし、全く退屈はしなかった。
友達は日替わり(?)ランチを頼んだ。私は最後まで悩み続けたが、鶏のモモ肉とムネ肉を両方楽しめるメニューを頼んだ。
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提供が早くて驚いた。
思っていたよりもボリュームがあり、食べ切れる不安だったが、なんとか完食した。それにしてもめちゃめちゃ美味しかった。モモ肉はプルプルとしていて、ムネ肉も本当にムネなのか…?と思ってしまうくらい柔らかくしっとりとしていた。
お店自体はチェーン店だが、ここ周辺ではこの店舗のチキン南蛮が一番美味しいらしい。友達よ、旦那さんよ、連れてきてくれてありがとう。
友達との話がとてつもない盛り上がりを見せたが、チキン南蛮完食のため、惜しまれつつも退店。
いい店だった。また機会があったら来たいな。
それから歩いてすぐのロフトのようなお店に来た。とても綺麗な建物の中にはパン屋さんも入っており、これまた不思議な空間。ロフトのようなハンズのような、生活の木の要素も感じられるようなところであった。ドラッグストアで売っていないような少しおしゃれ(?)な化粧品はここで買うらしい。
友達が保湿クリームを探している間に、私は衣料品コーナーを物色した。そして普段は絶対に買わないであろう、ナチュラルなブルゾンに出会った。買うか買うまいか、友達も巻き込んで吟味したが、なんと言ってもLCCで来た私には帰りの荷物量が命取りになる。惜しまれつつその場を離れた。
まだ帰るには少し早いかなということで、併設されているパン屋さんのイートインスペースで休憩することになった。パン屋さんは大盛況。どんどん焼きたてパンが並んでいく。食べたいなあと思ったものはたくさんあったけれど、お腹の容量と相談して、私はクリームパンを、友達はシュガーバターパンをチョイスし、小さなカヌレを半分こすることにした。
飲み物飲み物…とキョロキョロしたが、飲み物メニューが存在しない。そして目を疑ってしまったが、ホットコーヒーがフリードリンクになっていたのだ…!!なんて温かい世界…性善説という言葉を久しぶりに思い出した。
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パンを食べながら思い出話に浸った。
今までいろんなことがあったね。友達は紆余曲折を得て、東京から宮崎へ転勤した。そこで出会ったのが今の旦那さんなのである。私たちはよく「クズ同盟」と言いながら、よくわからない男たちに振り回されて生きてきたが、友達はやっとここで旦那さんと出会い、「クズ同盟」を脱却して幸せな日々を送っているのだ。本当に良かった。出会ってもう10年以上経つ。大変な時も悲しい時も辛い時も共有してきたからこそ、自分のことのように嬉しかったよ。
休憩を終えると、友達は当然のように旦那さんにお土産のパンを買っていた。私は小さなカットで売られていたシュトーレンを買った。そういえばもうすぐクリスマスの時期だったね。
帰りは30分くらい歩いて帰った。
ちょうど夕日が綺麗で、また澄んだ空気が肺に入ってくる。
「田舎すぎてなんもねえんだわ」と笑う友達には悪いが、私はこの地域を大好きになってしまいそうだった。東京にも実家のある街にも似ていない、のどかだけど人がいる世界。将来はこんなところに移住したいなあとかぼんやり考えた。
私も友達もお腹がいっぱいだったので、その日の夕食は簡単なスープにした。
旦那さんが明日朝早くからフルマラソンに行くと言っていたので、その日はみんなで早く寝ることにした。
私も薬を飲んで布団に入ったが寝られるはずもなく、ぼーっとiPhoneの写真フォルダを眺めた。いろんな写真を見ていくうちに胸がいっぱいになってしまったので、その日は中島美嘉や藤井風を聴きながら寝た。