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崩壊する実家

働き者の父。
その母を支える完璧なる良妻賢母の母。
明るくこれまた良く働く姉。
この時代に「婿養子」を受け入れて名字を変え、
同居してくれた義兄。
姉夫婦のこども3人。
その内の1人、長男が昨年結婚し、しかも家を継ぐべく同居。
三世代同居となった。
その甥夫婦に先月息子が誕生。
古くから続く旧家である実家に、
四世代が賑やかに暮らしている。

それなのに。

姪が結婚した夫がひどいモラハラで3年で離婚。
というより、「救出」。
仕事でも人間関係に悩んでおり、離婚をきっかけに鬱に。

もう1人の姪は大学の先輩と交際を始めるが、
なんとその先輩の家に「軟禁」され、帰って来られなくなる。
マンションの管理会社や、もちろん警察にも協力をお願いして助け出すも、PTSDが酷く、いまだに電車など不特定多数の人が集まる場所に行けない。
日常生活でも度々パニックに襲われる。

義兄が若年性アルツハイマーを発症。
まだ軽度なので生活に支障は無いが、
新しい事は全く覚えられないし、
周囲の出来事に脳がついていけないので
頻繁に癇癪を起こしてしまう。

歳を重ねた父は、
農業を義兄に託そうとしていたが、
全くアテに出来なくなり、
老体に鞭打って今日も早朝から畑に出ている。
腰や膝を痛めている母も無理をして手伝い、
姉も手伝っていたが、
その姉が病気をして入院、手術。
完治して退院はしたが、無理の出来ない体になってしまった。

誰のせいでもない。
悪い人は1人もいない。
けれど確実に狂った歯車が
ひとりひとりの気持ちを蝕み、
歪みを作っている。

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