見出し画像

美しき紅葉の京都をめぐる      其の伍 ライトアップの平等院、東寺、清水寺

 今回の旅行で楽しみにしていたのがライトアップです。平等院、東寺、清水寺を訪れましたが、日中とは一味違った非日常的な紅葉と仏閣の美しさに癒されました。

 
平等院(12月3日 夜撮影)  

 JR東海ツアーズの「平等院の夜間特別拝観 瑞光照歓ー錦秋のあかりー」はネットでの事前予約制で人数制限されているので、混雑もなくゆっくりと見学することができ良かったです。平等院は世界遺産、国宝、国の重要文化財、国の史跡、名勝に指定されており、夜の幻想的な雰囲気の中に佇む鳳凰堂と浄土式庭園はこの世のものとは思えないまさに極楽浄土と言っても過言ではない美しさでした。春も夜間貸切拝観がありますのでお薦めです。
 
春の特別拝観|そうだ 京都、行こう。 (souda-kyoto.jp)

 嵯峨と宇治は平安貴族たちの別荘地で、嵯峨に山荘「棲霞観」(いまの清凉寺)を建てた嵯峨天皇の皇子 源融(みなもとのとおる)は、ここ宇治にも別荘宇治院を営んだ。それが藤原道長の宇治殿となり、さらに道長の子頼通によって、世が末法に入ったとされる永承七年(1052)に寺院に改め、天台宗平等院とした。(中略)
 阿弥陀堂を鳳凰堂と呼称しはじめたのは江戸時代以降のことで、屋根の鳳凰、また中堂と翼廊が鳳凰(古来中国で尊ばれた空想上の瑞鳥)が翼を広げたすがたに似ていることからの名である。

決定版 京都の寺社505を歩く(下)洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編 [平等院]
山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年

 今年のNHK大河ドラマは紫式部が主人公の「光の君へ」ですが、宇治は源氏物語の宇治十帖の舞台であり、平等院は光源氏のモデルとされている源融、藤原道長のゆかりの仏閣(道長の子頼通によって天台宗平等院とされた)です。
 主人公のまひろ(のちの紫式部 吉高由里子)と三郎(のちの藤原道長 柄本 祐)をはじめ周りを固める脇役も好演しており、二人の心の交流を軸に、二人を取り巻く人間模様、現代と変わらない厳しい権力闘争と平安時代の文化、風俗も描かれ、毎週興味深く拝見しています。映像も美しく、今後、平等院(宇治殿)がどのように描かれるかも楽しみです。  

  

 中堂の須弥壇上に、平安中期の名仏師定朝(?~1057)の典型的様式を示す大傑作である阿弥陀如来像が最近の修復をおえて金箔もあざやかに坐っておられる。像高約2・5メートル、定印をきっちりと結び、伏し目がちで丸く豊かで柔和なお顔である。光背は一枚の大きな葉が像を守るようにかさぶり、さらに天蓋は円蓋をなかにおさめた巨大なもので、透彫の細かい装飾がほどこされている。 

決定版 京都の寺社505を歩く(下)洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編 [平等院]山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年
 

 東寺 (12月2日 夜撮影) 
 
 東寺は、世界遺産、国宝、国の重要文化財に指定されており、真言宗総本山で、平安時代に嵯峨天皇より空海(弘法大師)に下賜されました。本尊は薬師如来像です。
 空海は「弘法も筆の誤り」の諺で有名であり、嵯峨天皇、橘逸勢と供に三筆のひとりに数えられています。

 平安京造営の際、都の中央に朱雀大路が大内裏に通じるように引かれ、南端に羅城門がおかれた。その門の東西の位置に官寺が一寺ずつ建てられた(796年に造営開始)。
 弘仁十四年(823)に弘法大師空海が造営のなかばの東寺に入り、真言密教の道場とした。空海は講堂を建て、淳和天皇から「教王護国」の勅額を賜り、それがこの寺の正式な寺名となった。

決定版 京都の寺社505を歩く(下)洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編 [東寺]山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年
 


 

 天長三年(826)空海が塔造営に着手して以来、四度の火災で焼失しており、現在の五代目の塔は寛永二十一年(1644)に徳川家光の寄進で再建したもので、高さ55メートルと国内の古塔では最も高い。「京都」の象徴として、さまざまな場面で「絵」になっているのも、そのほかをぬきんでた高さゆえであろう。
 東京人にはわからない感覚だが、京都の人が他郷からの帰路、東寺の五重塔を遠望すると、ああ、帰ってきたと安するという。

決定版 京都の寺社505を歩く(下)洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編 [東寺]山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年
 



清水寺(11月29日 夜撮影)

 京都に到着した日の夜のライトアップと帰京する日の午前中に清水寺を訪れました。午前中に撮った写真は、『美しき紅葉の京都をめぐる 其の一 清水寺、東福寺』でご覧になれます。この記事の最後にリンクがありますのであわせてご覧下さい。

 仁王門は檜皮葦の大きなそり棟と丹塗りのあざやかさをみせて、しかも京都最大級の仁王像(像高365センチ)を安置する。軒下には藤原行成筆と伝える「清水寺」の額を正面にすえる。

決定版 京都の寺社505を歩く(上)洛東・洛北(東域)・洛中編 [清水寺] 山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年
仁王門(手前)と西門、三重塔 

 本堂と「清水の舞台」の建築美をじっくり鑑賞するには、奥の院のやはり懸崖造の小さな舞台がいい。 

決定版 京都の寺社505を歩く(上)洛東・洛北(東域)・洛中編 [清水寺] 山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年
奥の院の舞台よりの眺め 

 
 

京都タワー、京都駅(12月4日午後撮影)

 最後に京都タワーと京都駅の写真を載せてみました。京都駅に戻ってくると、まるでタイムスリップしたような非日常の古都の散策から現代に引き戻され、この数日の美しい古都を散策した満足感と心地よい疲労感に襲われながらまた訪れたいと思いました。

 


 

最後までご覧いただきありがとうございました。
前回までの記事は以下のリンクからご覧になれます。


【参考文献】
決定版 京都の寺社505を歩く(上)洛東・洛北(東域)・洛中編
決定版 京都の寺社505を歩く(下)洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編  
           山折哲雄監修 槙野修著 PHP新書 2010年

街道をゆく26 嵯峨散歩、仙台・石巻 
 司馬遼太郎 朝日新聞出版 2013年

馬場あき子の「百人一首」NHK出版2016年

【京都市公式】京都観光Navi (kyoto.travel)

寺院仏閣の公式ホームページおよびウィキペディア



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?