若さについて
近頃、若さについて考えるようになった。それは自分が若さを失いつつあることの証かもしれない。若さについて最もよく分かるのはこの時期、最早若さの真っ只中ではないと同時に若さを懐かしみ美化することもない時期ではないだろうか。
若さは、年齢のような単純なものでは無論なく、美しさというほど捕らえがたいものでもない。ここでは、生活が習慣に従う度合いが低いことを若いという、このことさえ認めていただければよい。年少の者はそれだけ経験が乏しく、未知の出来事が多いものだから、その分若いことが多い。
便利な習慣を持っていなければ、それだけ予期し得ないことが増え、心配が増える。だからまず、若者は心配事が多い。そして心配事が多いために、感じやすく、せっかちである。傍から見ればちょっとしたことと思われるようなことを大喜びしたり、がっくり落胆したり、天地を揺るがす大号泣をしたりするし、自分の思い通りにならないとすぐイライラしたり、飽き性だったりする。
若者はそうした心配事だらけの生活から安らぎを得たいし、周囲から価値観や将来の職業を問われたり、強いられたりするので、生活の指針となる基準を定めることがある。そして、世間のことをよく知らない場合、その基準が実際の世間、常識を無視した極端なものになってしまったり、基準に固執して独り善がりになってしまったりする。だから若者は夢見がちである。
要するに、若者とは性急な理想家をいうのである。
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