タピオカと私たち
ちょうどタピオカが流行っていた頃だった。
中学生の私たちはタピオカを飲んでプリを撮るそして下世話な話をして今日も友情を確かめ合う。
そんな日常に嫌気がさしながらも週末は原宿に向かう。
彼女とは中学からの幼馴染みだ。
とにかく可愛いので本当に女子校でよかった。
きっと共学だったら私たちの周りに寄ってくる男子はみんな彼女狙いだ。
私は嫉妬狂ってしまっていただろう。
そんな彼女と久しぶりに2人で食事をした。
彼女は今年から社会人になった。
職業はダンサーだ。
彼女は好きを仕事にした。
私たちが憧れていた大人になったのだ。
まともに生きる。
何がまともで何がまともではないのか。
中学生の私たちには好きなことをすることがまともだったし紛れも無い正義だった。
私は今、まあ嫌いではない仕事をしている。
安定はしているし嫌いでないのなら良い方なのだと思う。
親の言うまとも、大人の言うまともな道を選んだのだ。
そんな彼女とタピオカを飲みながら
私は泣きたくなった。
領収書をもらう彼女に私はまだ叶わないのだった。