贈りものをおくる日々 2
「明けましておめでとうございますー今年もよろしくお願いいたします!Boldのスタンプカードですが、一旦本数変えたものをテストとしてアップしているのでお手隙の際に確認お願いいたします!」
エンジニアのゆずるちゃんから年始のご挨拶と同時にテストアップの連絡がきた。
普段は苗字に君づけで呼んでいるのだが、あだ名で呼ぶことにする。ちなみに彼の名前はゆずるではない。
テストアップの報告があるから年始の挨拶をしてくれたのか、
年始の挨拶があるからテストアップを報告してくれたのか分からない。
ただ、自分から挨拶できていなかった。
いつもそうだ。
私は、自分から声をかけることができない。
人を誘うことが苦手なので、誘われることを待つようになった。
もちろん仕事では声かけもするし、「また遊ぼうね」などの声はかける。
そこから具体的な日程や内容を決めて誘えないのだ。
そういう性質なのだともう諦めている。
「あけましておめでとうございます、こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いします🙇♂️スタンプカードありがとうございます!」すかさず年始のご挨拶とお礼をした。
以前、私は会社の裏にあるクライミングスペースボールドというクライミングジムへ通っていた。
会社から30秒で行けることをいいことに、お昼や夕方に1時間ほどしれっと抜けてはジムへ通いつめた。
そのことに周りのデザイナーは気づいていないと思っていたが、思いっきりばれていた。
何も言っていないので、嘘をついているわけではないのだが、ばれるという表現が正しいであろう。
そのジムでは、毎月どれくらい登れたか記すスタンプカードがコピー紙で運用されいてコロナ禍もありデジタル化したいなと個人的に思っていた。
そんな話をゆずるちゃんとしていると、どういう動機か忘れたが実装面で手伝ってくれることになった。
完成したデジタルのスタンプカードはクライミングジムでも取り入れていただき、私は毎月のジム通い放題半額という対価を得た。
今回のテストアップはそんなスタンプカードの改修に対する連絡だった。
ゆずるちゃんへなにか贈りものをと思いgifteeのサイトをひらいた。
私は転職をしたため、彼と連絡をとる手段はSlackしかない。
エンジニアの彼は1日のほとんどがパソコンへ向き合っている。
それは仕事を終えた後もそうだった。
本を読むときには強制的にパソコンがない環境を求めてよくミスドへ行くと雑談したことを記憶からたぐりよせた。
しかしその記憶はすぐに疑わしいものとなった。
コメダが浮上してきた。
ミスドとコメダ。共通点は同じ3文字ということだけなのだがどちらだったか全く思い出せない。
そんな彼には「giftee Box for 新年」というミスドもコメダもはいっている、新年にふさわしいおめでたいギフトを送った。
すぐに彼から返事がきた。
「ありがとうございます!これでミスド食べます!🍩」
ミスドが正解だった。