贈りものをおくる日々 5
姉さんが体調をこわした。
昨年末、いや、昨年の頭ぐらいから眠れない日が続いていたり、胃腸の痛みを訴えていたような気がする。
そう思い返すと約1年間ぐらいずっと体調が悪そうだった。
つねづね会った時は気丈にふるまっていたが、昨年末に会った時は本当に辛そうにしていてこちらも辛くなった。
みんなでごはんを食べに行こうとなった時もひとりで車に残り、清涼飲料水を片手に遠くを見つめていた姿が目に浮かぶ。
今回は潰瘍が見つかったらしく、結果次第で大きな病院へいく必要があるようだ。
彼女が体調を崩したことはインスタグラムのストーリーという機能で知った。今は遠く離れた場所にいるので、インスタグラムで近況を伝えあったりしている。
ちなみに姉さんと呼んでいるが、実の姉さんではない。
実の姉さんではないと書くと、義理の姉さんかと思われそうだがそうでもない。
元同僚の女の子だ。ちなみに彼女は年下であり後輩でもある。
本人の前では姉さんと呼んではいない。あくまで私の中で姉さんと呼んでいる。
少し前に「闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん」が放送されていた。
犀原茜。そう、彼女は犀原茜のような雰囲気をしているのだ。
彼女は、もちろん取り立てもしていないし、暴力も振るわないし、食べ方も汚くないし、突然大きい声も出さない。がしかし、出ているオーラが犀原茜なのだ。
村井が犀原茜を姉さんと慕って呼ぶように、私も彼女を慕って姉さんと呼んでいる。
そんな姉さんが元気なさそうにしているので差し入れを探した。
今回はgifteeというサービスでスタバのドリンクチケットをインスタグラムのストーリーに返信する形で送った。
病人にスタバはどうなのかと少し躊躇したが、生きていくには水分はとらないといけないし、ソイラテという少し健康に気をつかっていそうなメニューもある。スタバに決めた。
彼女は喜び、少し元気がでたと言ってくれた。
翌日、彼女はインスタグラムのストーリーを更新していた。
覗いてみると、とても元気そうに美術館めぐりをしているようだった。
私は彼女のストーリーを見て、すっと上にスワイプし、そっと画面をとじた。